IBM 1379590(ModelM4-1)
発売元/製造元 IBM Corp./Unicomp inc.
諸元
キー配列 87key/US
メカニズム membrane/rubber cup
備考 I/F:PS/2(KB/TrackPointII)&PS/2-in
Junk Point 偉大な先人からの譲受
当たり前のことだが、社会の進化には地域的時差が存在する。
今日(2013/02現在)の某大陸大国からの大気汚染などはまさにその例だと思う。

報道によれば、現在のかの国の大都市近郊の大気汚染レベルは、四日市喘息がピークであった頃の三重県四日市市の状態と肩を並べるという。

一般に公害は、廃棄物を産生する(個人の生活も含めた)経済活動と、廃棄物の処理や軽減のための規制を行なう公共福祉行政のバランスの上に存在する。
前者を優先すると高度経済成長と引き替えに環境破壊が進み、後者を優先する社会では経済成長は緩やかになるが、環境の保全が行なわれるという図式になるのだ。

つまりかの国は、表面に現れた環境汚染のみならず、社会状況まで40〜50年前の日本の状態とほぼ同じ...ということになるのではないか。
今後自体がどのように推移するかは予断を許さないが、市民の活動が公害問題を解決の方向へと導いた日本の事例に倣って欲しいと思う(非民主的政治体制の国である点が気がかりだが)。

Silver_IBM
白銀のIBM

社会の進化のみならず、テクノロジーの世界でも同じような「時差」が存在する...かも知れない。
筆者がこのキーボードを手にした時にまず思ったのはそれだった。

筆者がよく参考にさせていただく著名サイトに、このキーボードは紹介されている。
が、うっかりというか、寡聞にしてそのことを筆者は知らなかった。つまりこのようなキーボードの存在自体を知らなかったのである。

筆者にとってTrackPoint付のキーボードといえばまず浮かぶのが5576-C01Model-M type13、そしてSpaceSaverIIだ。UNI4G06は...まぁ置いとくとして。
だがよく考えてみると、SpaceSaver「II」があって「I」がないはずがない...同盟末期に「第15艦隊」があるのに、実際に国家が運用していたのは4個艦隊だけだった例はあるとしても。
著名サイトも含め、どこにもそのように明記はされていないが、おそらくはこれが「I」と考えて良いのではないだろうか。

コネクタは3つ
ModelMコードとPS/2...RJ-45は?

裏面のシールを見ると、製造は「20-FEB-94」とある。をを、あちらに出ている個体と全く同じ日に生産されているぞ...ってそこ、驚くところでないし。
ということは、4日前(2013/02/24)に19才になったということだ。スゲェ、ウチの長男より4才も年上だ。

「ModelM4-1」で検索すると、ブラックモデルも存在したようだ。ただあちらは最近のUniComp製のようで、IBMのロゴも青になっている。こちらはシルバーのエンボスだ。これはこれでかなりカッコイイ。

で、肝腎の打鍵感だが、かのサイトではかなり辛辣なレビューが書かれている。

たしかにパンタグラフ機構を持つ、日本設計のThinkPadを叩き慣れた手には違和感を感じる。
堅めの押下圧を打ち抜こうとやや強めに叩くのだが、そのまま「ガツン」と底突きする感じで当たりと音が感覚に優しくないのだ。
筆者はやや古くなってゴム椀が固くなり、軸の滑りが渋くなったSpaceSaverIIを所有しているが、そのストロークを短くしたような打鍵感なのだ。

TrackPointボタンはC01と同じスイッチの模様
筆者はこれと同じキー機構を持つ「PS/2 Model L40 SX」は所有していないのだが、これに似た打鍵感のキーボードを持つノートは所有している。ThinkPad330と、もう一台はPS/55N27sxだ...こちらはノートというべきか否か微妙なところだが。

ラップトップコンピュータの開発初期において、それまで堅牢・大型・複雑(今日のマシンに比して...という意味だが)な機構を持つキーボードを、堅牢さと打鍵感は維持しつつ、いかにコスト&サイズをダウンしていくかという、その試行錯誤を始めたばかりの頃のプロダクトという気がするのだ。
今日的な感覚からすれば中途半端なゴム椀機構と、堅牢さに(かなり)不安の残るチャチなキーの軸も、エンジニア達の手探りを感じさせる。

....で、そんなキーボードのレビューの冒頭に先の如きマクラを持ってきたのは多少のワケがある。

ついDeleteとHomeを叩いてしまう縦長2x3配列の右端キー
「まどマギ鍵盤」ばりの細い軸
このModelM4-1の「ラテラルに配置された細いキー軸」に、筆者はどこかデジャヴュを感じていたのだが....以前ここで取り上げた「まどマギ(けいおん!)キーボード」に似ているような気がしたのだ。

18年の時を経て、歴史は繰り返すのか。
いや、繰り返しているのではなくて、単に安上がりな構造を採用した結果なのだろう。

問題は彼方のキーボードに、今後の展開があるかということだ。
「鍵人」の管理者さんが、「このコンパクトキーボードとしては未だ未完成だったModelM4-1以降、ThinkPadに搭載されるキーボードが目覚ましい発展を遂げた点」に言及されているのと同じように。

....いや、これ以上語るまい。つか、語れるほど叩いていないのだ。あまりの変態配列+キートップの見にくさ故に。

それと比べれば、TrackPointも付いているし(右クリックボタンは現在ほぼ不動だが)、ついHomeとDeleteを叩いてしまう右サイドの配置には困ってしまうが、こちらの方は普段使いには悪くないキーボードだ。
なにより筆者がThinkPad530以来長らく使用しているIBM/LenovoノートPCのご先祖様に振れ、来し方を振り返るのは楽しいものなのである。




(2013/02/24記)

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