Apple Desktop Bus Keyboard (for AppleII GS)
製造元 Apple Co.ltd.
諸元
キー配列 US配列 78keys
メカニズム ALPS?白軸(=Made in Taiwan)
備考 I/F:ADBx2(connecting to USB via iMATE)
Junk Point ¥打鍵で指がつる
「コンパクト」の意味は奈辺にあるのか。

以前筆者は、British Airwaysの国内線で、ある英国人母娘と乗り合わせた。
小学校就学前と思われる2人の娘は空の旅にかなりはしゃいでいたが、周囲を気にしたお母さんが、鞄からジュースパックを取り出して与えた。
たちまち黙り込んでチューチューやり始めた2人、みるみるうちに飲み干してしまった。

「花より団子」はどこの国でも同じなのだが、違ったのは団子のサイズだった。
お母さんが餌として持参したのはコレである。

またここのコーナーらしく、別の例を見てみる。

IBMのヴィンテージキーボードレプリカを製造し続けているUNICOMPのサイトを見ると、"Spacesaver M"なるキーボードがラインナップにある。

しかし拡大してみると.....これは単に "EnduraPro"(IBM 5576-C01と酷似したUSキーボード)のTrackPoint無し版であると思われる。日本人の感覚からすると、どうみても「フルサイズキーボード」以外の何者でもない。

これらから推察するに、彼ら西洋人の手や胃袋のキャパシティが違うのは当然として、おそらく彼らにとってはサイズそのものよりも「形状的にまとまっている」ことがすなわち「コンパクト」なのでは....と思った次第だ。
スイッチはAlps(型?)白軸/キーは現代では有り得ない凝った作り
コントローラはNEC製チップだった

そういう意味に於いて、この「Apple Desktop Bus Keyboard」(Apple II GS用)に始まる一連の林檎鍵盤は、全体をシュリンクさせる多くの日本製「カワイイ系」コンパクトプロダクトとは一線を画す思想で生まれた物と言えるのではないだろうか。

筐体の大きさからすると、AT互換機〜WindowsPCのテンキーレスコンパクトキーボードと同じぐらいであるにもかかわらず、10キーまで装備されている。しかも文字キーはフルピッチだ。
もちろんファンクションキーが無いところはサイズ的に大きなアドバンテージなのだが、HHKBなどと比較すると、コンパクトキーボードにありがちな「Fnコンビネーション」などを多用せずに操作できるという点で、フルキーボードと読んで差し支えないシンプルな操作を実現しているといえる。

この頃の林檎鍵盤と同じく、スイッチはAlpsスイッチを使用している。多層構造のキーや、キー下層素材を表面に部分露出させたキー刻印など、ものすごく開発費用と製造コストがかかっていそうな作りになっている。
筆者所有の他のAlpsスイッチキーボードと比べると、押し下げ圧は重いほうだ。5576-001/002Apple Extended KeyboardDELL AT101W<本キーボードといった順番であろうか。
尤も、このキーボードの押し下げ圧はメンテ不足と経年劣化の影響があるかも知れない。

資料によると、このキーボードには日本製(橙軸)と台湾製(白軸)があるとのことだ。
この鍵盤に関するWebサイトを眺める限りにおいては、日本製のタッチを好まれる方が多いようだ。
筆者所有はこのかなり経年劣化している様子の台湾製のみなので比較はできない。だが、このサイズで下までスコーンと抜けるような、軽いタクタイル感と十分なストロークを持つキーボードは、今日筆者の知るところではあの2.5諭吉もするHHKB Proぐらいしかなく、新品の頃の素性の良さを感じさせる。
筆者がずぼらをせず、ちゃんと掃除とメンテをすれば、かなり快適な操作感になるのではないだろうか。
内部へのアクセスは非常に楽
製造年月日は88/10/24と刻印されている

先日久しぶりに秋葉を巡回した際に、不本意ながら林檎屋さんも覗いてみた。が、流石にマカー御用達の中古専門店でも、置いてあるADB鍵盤は「Extended keyboardII」ぐらいしか見あたらなかった。

そもそもヴィンテージ林檎鍵盤を使用するためのキラーデバイスである「ADB→USB変換アダプタ」が、入手がきわめて困難になっているので、「使いたくとも使えない」状況が急速に広まっているのではないだろうか。

「計画的陳腐化」を開発コンセプトに掲げているのではないかと疑われるような林檎社製品だけに致し方のないところかも知れないが、古林檎ファンや、あるいは全くの門外漢である筆者などにとっても、こうした状況は残念に思われるところである。

ソレと同時に、先日おぢゃんく屋の片隅でホコリを被っていたアレのように、四半世紀前のインプットデバイスを、普通にそこら辺に売っている変換デバイスを介してそのまま使える状況にある「AT互換機陣営」に属する筆者などは、幸福なのだと改めて感じるのである。

....などという著述を林檎製品用HID...もといMID(彼らはHumanではなくマカーだ)で行なうのもどうよ?とは思うのだが。



We all Japanese thank you for your support to recovery from East Japan Earthquake.


(2012/04/14記)

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