FILCO FKB-109J BIG
FILCO FKB-109J BIG
メーカー FILCO inc.
諸元
キー配列 日本語/109key(Winx2/Fnx1)
メカニズム ALPS簡易黒軸
I/F PS/2
備考
Junk Point 逝った→もげた→また逝った

以前にもここで「何も考えず、なにげに買ったものでアタリが出る一方で、慎重かつ理性的な選択をした時は大抵ハマり、その『やっちまった』をリカバリーする過程でさらにツボる」筆者の性癖を述べた。

前者の例がこれぐらいしか思い浮かばないのに対し、後者は例示が困難なほど枚挙にいとまがない。
そうした無数の黒歴史の中の一つとして、新たにこのキーボードが加わった...のだろうか。

(左上)やっちまったぜ
(左下)2本電極だけで固定(右)元に戻らず(泣)

もともとスイッチ機構など細かいことに疎い筆者にとって、5576-0015576-002などに採用されているオリジナルのアルプススイッチと、本機の簡易ALPSスイッチの違いはよくわからない(詳しくはこちら)。

分かっているのは、このキーボードがいつもお世話になっている(?)PCNet大須店でいつものコンテナに無造作に放り込まれており、いつものように複数個の、それぞれ違うおじゃんくレベルの個体がロシアンルーレット的にこちらの物欲を刺激していたという事実だ。

コンテナ内には同じ機種が4つ。680円値段が付いた個体が1つと、1280円が3つ。

屋外に投棄されていたかのような風情の「激日焼け」680円君はポイするとして、「筐体マックロクロスケキートップの文字消え両面テープ貼りまくり」のどれを選ぶべきか。

過去の経験から、最近では筆者は蛮勇引力浪人・由比正雪最大の武器である「勘」を出動させることにしている....はずなのだが、なぜかこのときはキーを全部叩いてチェックしてみるという『理性的な愚挙』に出た。

結果、選んだのが....「ススワタリ」かつ「2」キーがもげたこの個体だった。何故だ....

いや、筆者のあやふやな記憶を辿れば、チェックした時は確かに全キーが正常に動作したはずだ。
だが一野口を支払い、大急ぎで家族の夕飯道具を入手し、黄昏の名神をすっ飛ばし....帰宅してテーブルに乗っけて撮影し、いざ接続して動作確認という段階になって、他のキーが正常動作しないのに気付き.....よく見るとこの為体だった。

筆者は当初、テーブルの上にあったこのキーボードを移動させた長兄に疑いの目を向けた。
だが改めて推察するに、よく行く沖縄ショップから多量の食料を駐車場まで持っていく過程で、それらの重量物がこのキーを直撃していた可能性が否定できない。何より長兄が移動させる前に撮影した↑の画像に、すでに外れかかったキーが写っている。で...結局筆者らしい自爆の可能性が高いとの結論に至ったのだ。

否、それは確かにその通りかも知れないのだが、日夜ブッ叩かれるキースイッチが、その程度のあたっくでもげるというのはやはり若干問題があるのではないかと思う次第である。実際かなり使い込まれた風情で、筐体も油ボコリが付着したような汚れようだったから、程度相応といえなくもないのだが、スイッチごと抜いてしまいそうとなると、安心してキートップを引き抜くことができないではないか。

かなりしっかりした鉄板が入ってる
ケーブルは引っかけて固定だけ

とりあえず、まずは触るのも躊躇われるような筐体を丸洗いするためにばらしてみた。
筐体自体は非常にシンプルな構造で、手前のツメと、奥裏側からの3本のビスで止めてあるだけだ。

基板はかなり厚めの鉄板とくっついていて、その基板に2本の電極を持つALPS簡易黒軸スイッチが半田で直付けされている。
当時としては平凡なものだったのかも知れないが、今日の薄いアイソレーション・キーボードを叩き慣れた方にはかなり重厚で剛性感のある感触に思われるかも知れない。

筐体自体は質のよいプラスチックと思われ、台所用洗剤でこすると汚れはかなり落ちた。
問題の「2」のキーは、どうやらナナメ上からの圧力を受けたようで、スイッチ内部から電極が引きずり出されたような状態になっていた。
とりあえず徒手修復したが、これで接触が復活する可能性はゼロに等しく、実際動作しなかった。

筆者はとりあえずスイッチを外し、使わないScrollLockキー辺りと入れ替えようと画策した。
その過程で....基板設置用の電極がもげ、とどめを刺してしまった筆者は、翌日結局もう一台買い直す羽目にになったのである。やれやれ。
(簡易軸スイッチだけを買って交換という手もあったかもしれないが、筆者のイモ半田技術とおサイフ事情、そして何より『めんどっちぃ』というモノグサすぴりっとが購入を躊躇わせた)

結局もう一枚逝く羽目に
ヤフオク相場は1000〜12000ぐらいか
ニワカkeyboard Junkyの筆者にとって、FILCO=CherryMXの印象は強く、逆にALPSスイッチの機種は殆ど触ったことがない(剣などを店頭でちょこっといぢった程度)。
ALPSスイッチと聞いて前出のIBMキーボードのような「軽荷重tactile」を想像していたのだが、どちらかというとDELLのAT101Wに近い「重めの押し下げ圧+tactile」だった。

ただいくつかのサイトで紹介されているように、このキーボードはキー真上からの垂直に近い打鍵を要求し、そうでない操作をした場合、わりと頻繁に取りこぼしが発生する。

この現象がこの機種に一般的な問題なのか、この個体特有の現象なのかは判断しかねる。
しかしそれを除けば、筆者にとって押し下げ圧もtactile音も好ましい印象の範疇に入るキーボードである(音の近所迷惑の有無はともかくとして)。

このページをまとめるにあたり、このキーボードが発売当初いくらぐらいだったのかを調べてみた。
だが、発売開始が今から18年前の1997年とわかっただけで、値段までは突き止めることが出来なかった。ヤフオクの出品価格を見ても、下は¥1,000から上は¥12,000という有様である。

筆者を含め、世に言う「メカニカルキーボード」つまりtactileがあるキーボードを好むむきには、悪くない選択だと思われる。

ただ問題は、程度の良い個体が残っているか....その点だろう。

尤も簡易軸をモノホンのALPSスイッチに載せ替える猛者も居られるようだし、一般人の方には今も簡易軸採用の安価な機種が発売されている模様だから、そちらの選択ということもありかもしれない。

なにより、筆者のように元より「おヂャンク上等、ネタ歓迎」な自爆主義者には、例えそれが本当に土から掘り出してきたような『掘り出し物』でも、まったく問題ないように思われる。(←こら)




(2014/03/23記)
 

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