FILCO FKB-108Z/JB "Zero"
FILCO FKB-108Z/JB "Zero"
メーカー FILCO inc.
諸元
キー配列 日本語/108key(Winx1/contextx1)
メカニズム ALPS簡易白軸
I/F USB
備考
Junk Point オフィスのニギヤカシ

過日、仕事の都合で夕食が遅くなった筆者一家は、近所に出来た「何の変哲もないチェーンのファミレス」に出かけた。
メニューも特徴のあるものではなく(『高齢者の方は24時間モーニングセットをサービス!』というのが、地域に対応したサービスだが)、このような平日にお客はあまり来ないだろう...と思っていたら、食事の途中から三々五々お客が入ってきて、筆者達が席を立った21:00頃にはほぼ満席になっていた。

これが大都市の繁華街だったら、このような集客はまず望めないだろう。正直なところ「夜間の地方都市における飲食・娯楽サービス」の選択肢の少なさが、このような現象を現出させていると思われる。

都市の魅力は「何でもある」ことというよりも、個々人の嗜好に合ったサービスを提供できるだけの「受け皿の多様さ」にあるのだと、実感する今日この頃である。

で、同様のことがおぢゃんく市場においても言えるのである。

筆者最寄りのデンキ街は、言うまでもなく大須なのだが、それでもさすがに片道50km、往復2時間の彼方に足繁く通う時間的&金銭的余裕は今の筆者にない。
畢竟、ネタ探しましんの物色は近所になる。そして筆者の足の向く先はというと大型古物商....○放倉庫とか、ハー○○フとかになってしまうのだ。

先日店員さんとお話した中で感じたのは、こうしたお店とおぢゃんく屋の決定的な差は、主に扱う商品が「個人放出品」か「法人処分品」か...という点にあるということだ。
法人のリースアップ品は、大量の無個性なマスプロダクツの中に、得体の知れない業務用ハードが紛れ込んでくることがしばしばあり、これが筆者の食指をそそるのだが、個人放出品中心の古物商では、そうした「掘り出し物」にブチ当たるのはまず期待薄である。

そんな中の一日....とくに期待もせず(というより業務用ハードを仕入れに行ったついでに)訪れたお店に、この"FILCO ZERO"はあった。

正札には「2,160円(税込)」とある。

発売価格は¥9,800
本板は硬値引で¥2,160

Majestouchがこの値段だったらかなりの「掘り出し物」であるか、あるいは「動作不能のおぢゃんく」というオチが待っているかのどちらかであろう。それなりに筆者もwktkするところだ。

だが、ZEROだ。(キリッ)

遙か以前、今は亡きネットサイクルで箱付き新品の「剣」が1,980円で山積みされていたのを目撃している筆者としては、正直....今ひとつそそられる感じがなかった。

だが、せっかくみいそや不治痛の有象無象鍵盤に埋もれて輝く"FILCO"の文字を見つけたのだ。

ボウズで終わりそうな状況下、最後の引きでウツボを釣り上げたような微妙な気分で、もうひとつの釣果業務用品を携えて、筆者はレジに向かった。

で、以前にFKB-109J BIGをここで取り上げた際にも書いたが、筆者はCherryスイッチ以外のダイアテック製キーボードに疎い。

ネットの情報を漁ったり、キートップを引っこ抜いて見たりしたところ、こいつはXM白軸(簡易ALPSスイッチ)ということのようだ。
FKB-109J BIGは簡易黒軸だったが、軸色の違う二種の構造的差異がどのようなものなのかはよくわからない。

実際叩いたところでは、白軸のほうが押し下げ圧がやや重く感じられ、かつクリックが発生する(=コンタクトする)ポイントが少し上にある感じがした。
ネット上のレビューの中には、明確なクリック感がCherryMX青軸と同じであるとしているところもあるが、筆者が叩いたところでは青軸はもう少し繊細で軽く、押し下げが軽快である気がする。

簡易alps白軸
限定版で黒軸仕様もあったらしい

キーレイアウトはMajestouchシリーズのフルキーボードと全く同じにしか見えない。なので操作性もそれに準じているように思う。スペースバーが長い分、altキーが端によって左片手のaltショートカットが使いにくいのも同じである。
だが他サイトのレビューにもあるように、押し下げ圧をかける角度幅が狭い(より垂直に近い角度で叩かないとひっかかる)性質のタッチである。筆者はキー上を指を滑らすように叩く癖があるので、他のキーボードよりも少し「叩く」意識を強くして操作する必要が有るように思う。

とあるインプレッションをされている方のBlogには「(経営している)事務所のキーボードをすべてこれにしている」というのがあった。

だが....5576-C01やModel-Mシリーズ、あるいはMXスイッチとはまた違った賑やかな音がするこの鍵盤が、梅雨時の田圃におけるカエルの大合唱の如くオフィスで響き合うのは....一般人にとってはどんなふうに感じられるものなのであろうか。いや、筆者のようなKJにはともかくとして。





(2015/06/22記)
 

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