Cherry G80-3600LYCJA
Cherry G80-3600LYCJAMX赤軸
メーカー Cherry Corp.
諸元
キー配列 日本語/109key(Winx2/Contextx1)
メカニズム MX赤軸
I/F USB/PS2
備考
Junk Point 乱高下
筆者初のサクランボ
いまさら何なのだが、PCを普段ふつうに使っているユーザーは、実際のところ入力装置にどのような印象、あるいは好みを持っているのであろうか。
いや、そもそも嗜好などというものをキーボードに抱くことがあるのだろうか。

このコーナーの存在理由を全否定するような問いなのだが、多くの人にとって、「んなもの何でもよい」というのが正直な所ではないのだろうか。

初めてPCに出会った時点で、すでにアルファベットのブラインドタッチを習得していた筆者からすれば、逆に想像の範囲を出ないのだが、例えば一本指タイプの人にとっては、ストロークがどうの、押し下げ圧がこうの....などということは、本来の操作性とはほとんど関係がないことで、それよりもあの妙ちきりんなキーの並びはなんとかならんのか....ということの方が、重要な問題なのではないのだろうか。

それは極端な例としても、タイプが人並み以上できる人であってもキーボードの捉え方というか、評価する視点は千差万別である。

先日職場の上司にキーボードの交換を相談された。今使っている「出る」キーボードのストロークが深すぎて、イライラするとのことらしかった。

筆者は少し考えた。
ストロークに問題があるのなら、思い切りショートストロークな、例えばパンタグラフのこれなんかが良いかもしれない。一方で、上司のタイピング音を聞いていると、比較的軽めの、リニアなタッチのタイプも合致するかもしれない。
結局筆者は、静音である必要性も鑑み、こちらを貸し出してみた。

数時間後の上司の反応。
「重くてどっしりとしているので、いいね」

....そっちへ来たか。

つまるところは「しばらく使ってみないと、しっくりくるかどうかはわからない」ということのようである。
MX赤軸
様々な意見があるが筆者はRealForceに似ていると思う
で、昨年発売されたMX赤軸の本家版である。
筆者がその当時大須&秋葉のショップで、もう少しで落ちそうになったお品なのだが、あれから1年を経て、半額になってしまった。どういうことだろう。

それにしてもこのキーボードを価格.comで検索してみると、最高値は筆者購入のTSUKUMO特価のおよそ3倍、ものすごい価格差である。

筆者が考えるかぎりでは、CherryというメーカーはLenovoなんかと違ってそれほどCIカラーがはっきりしていないと思う。
よって色が不人気だからといって叩き売りということもないと思うのだが、なんらかの理由で不良在庫が発生したのではと疑ってしまうような値段での販売である。

筆者は発売当時、このキーボードを手にとることができなかった。
お店の壁面ディスプレイに固定されているのを、ちょこちょこっとつつく程度だったのだ。

ネット上では賛否あるが、このMX赤軸は東プレのキャパシティブとタッチが似ているという意見がある。
入りのスムーズさがその辺の根拠なのかも知れない。実は筆者もそのように感じ、感触としては良いと思ったものの「キャラカブりかな」という理由で当時は見送ったのだ。
G81-3234同様かなり堅いチルトスタンド
筐体はかなり軽い
まず箱から取り出して思ったこと。

「....箱より軽いぞ」

ま、それはいささか大袈裟なのだが、以前に紹介したロイター仕様のMY白軸と同じボディ、当然それに見合った重量かと思い込んでいた。それが、匡体を叩くとポコポコという音がするほどだ。全身プラスチックでできてるのではないか。

しかし、実際にタイプしてみると意外なほど剛性が高い。
波のようにうねるRT6652Jなどとは比べものにならないほど、カッチリとしたボディである。
多くのページで語られているように、赤軸はクリック感のないリニアアクションで、茶軸に比べてほんの少し押し込んだ時の荷重が多くセッティングされているようだ。

筆者所有の茶軸キーボードと比較すると、押していった底突き直前のところでほんの少し多めに抵抗があり、結果指がバウンドして隣のキーを叩いてしまうようなミスを抑制することができる。
筆者の雑なタイピングには、茶軸よりも向いているような気がする。

ただ、他のサイトでも指摘されているように、このキーボードはスペースバーに難点がある。
どういうわけか、戻りが渋くて妙な動きをするのだ。

キーが戻らないとか、誤作動をするとか、そういった不具合ではなく、戻りが微妙に遅いため、連続して叩くと、親指が「おっとっと」という感じにフェイントをかけられた感じになるのだ。

"Made in Germany"
スペースバーの渋ささえなければ...
そしてさきほどの筐体の軽さにも関連するのだが、タイプの際の音が比較的大きい。

同じリニア系のCherryスイッチと音の質は同じなのだが、筐体に響いているのか、もう少しハッキリとした打鍵音になっている。

周囲に気を遣わずにすむ環境であれば、かえって快適な感じがするのだが、職場で使用するにはやや気が引ける仕様と思える(5576-C01をブッ叩いてる筆者が言うのも何だが)
ちょうど当日このキーボードが到着したので、件の上司にこちらを勧めようかとちょっと考えたが、そんな事情から思いとどまった筆者である。

基本的には素性の良いキーボードだと思うのだが、多分使用する人によって評価がかなりばらつくのではないかと思う。
現在の価格差もその辺を反映しているのではないだろうか。

(2010/03/20記)
 

Keyboard Junkyリストへもどる

Junk Junky