Fujitsu "Libertouch" FKB8540-052/B
Fujitsu "Libertouch" FKB8540-052/B
製造元 富士通コンポーネント
諸元
キー配列 日本語/108keyOADG
メカニズム メンブレン/ゴム椀(45g)
I/F USB 1.1(Hubx1)
備考 35g/55gゴム椀x各15個添付
Junk Point 半額セール

筆者の周りを見渡してみると、キーボードオペレーションで「叩く」人と「押す」人がはっきり分かれているのを感じる。
ピアニストとオルガニストの違いとでも言えるだろうか。

キーボードは機械式タイプライターから派生したのだから、元々「叩く」のが主流だったと思われるのだが、「メカ」が「スイッチ」に置き換わっているのだから、本来の機構からすると「押す」だけで十分のはずである。

だが筆者も含めてまだ多くの「タイピスト」が、日々げしげしとキーをブッ叩いては、キーボード本体および周囲の人の耳と気分に負担をかけているのである。
「げし派」の立場からすれば、入力のリズムを作るのには叩いた方が良い。そこにクリック感があればなおさらだ。

だが最近、筆者の嗜好が少しずつ変化して、クリック感が少なく、軽いタッチのキーボードも心地よく感じるようになってきた。
昨年来頸椎症で左手(特に#4・5指)の利きが少し悪くなって重いキータッチがきつくなってきたこともあるし、そこにさしてRealForceを自宅で常用するようになったことも大きいと思われる。またあまり夜中に派手にIBM系鍵盤のゲシ音を上げられなくなった....という事情もある。

専用引き抜き工具でキートップを外す
このラバーカップは45g
そんな中、気になっていたのがこの"Libertouch"だ。

筆者が感じるに、例外もあるとはいえここ数年のキーボード業界は、

メカニカルスイッチ/キャパシティブ(高級)←→(安物)メンブレン

という構図で推移してきたように思う。

こうした状況に一石を投じた(というか投じ続けている)のが、このLibertouchと、製造元の富士通コンポーネントだ。
このサイトでも紹介した「FKB-8520-T101」の復刻版を10,000円強の価格で販売したりと、メンブレンでありながら強気の価格設定を仕掛けている。その根拠はどこにあるのか。
一度叩いてみたいと思いつつ、近所(=大須)の店舗ではパッケージを指をくわえてみているしかなかった。RealForceやCherryスイッチのキーボードは実機に触れるのだが、なぜかLibertouchは展示品がないのだ。メンブレンスイッチであることによる展示劣化、加えて高額商品ということでショップも二の足を踏んでいるのかも知れない。

そんな一日、またしてもヤフオクに出品があった。「新品未使用/即決11,000円」....うまくすれば定価の半額近くだ。"I can't stop the ぽちり" だった。
(うまくいかなかったがorz)

早速届いた本機を試してみる....これは.....正に「オルガン」だ。

何処が「オルガン」かというと、まず静かだ。
筆者は、Majestouch茶軸やRealForceのタイプ音はかなり静かだと思っていた。だが、このLibertouchは次元が違う。
流石に静音をパッケージに謳うだけあって、強く叩いても残響音がほとんどない。しかもクリック感はあるが、殆どリニアで同じ45gのRealForceと比べてもさらに軽い感じがする。

もう一つ、以前FKB-8520やFKB-8720でも感じていたのだが、この手の(というか富士通高見澤系の)キーボードは、比較的ルーズにタイプしてもリズムよく打てる。

RealForceはそのキャパシティブスイッチの感度の良さ故に、Majestouchはそのキーのコンパクトさ故に、またIBMバックリングスプリング鍵盤はその高荷重故に、だらけた姿勢で打つとミスタイプが増える。特に手首が手背側に折れた状態だとなおさらだ。
したがって高速で打つには、背筋を立てて、手のひらを少し浮かせた「正しいタイプ姿勢」を保つことが必要だったように思う。

ところが富士通系のキーボードはそうした努力が不要だと感じる。
「画面をのぞき込みながら、猫背で、パームレストに手のひら乗っけてテキトーに」叩いてもオッケーなのだ。それは「直上から叩かないと引っかかる」というような渋さが皆無ということも意味する。

そうしたメカ的な特性以外にも、筆者が気に入っているところがある。108keyなのだが、Ctrl/Alt/無変換/変換キーのシュリンクが最小限に抑えられているのだ。
この辺りのキーを多用する筆者には有り難い。左Ctrlを掌押しするのも非常にスムーズだ。

不安があるとすれば、メンブレンスイッチをコイルスプリングで叩く機構の耐久性なのだが、こればかりは時間を経てみないとわからない。

とにかくここまで叩いてみて、筆者的にはRealForceを置き換えてしまいそうなほどスムーズで好感の持てるキーボードである。

(2009/10/13記)
 

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