Fujitsu FKB-8520 T101(TS-9900VL用106キーボード)


製造元 富士通
諸元
キー配列 日本語/OADG106
メカニズム メンブレン/ゴム椀
備考 ツクモBTO「TS-9900VL」に添付
Junk Point 左shiftキー渋り
前の5576-A01の所に出てきた、我が家における最古参のAT互換機用キーボードである。
構造そのものは現在の低価格PCについているようなmembrane switchのキーボードである。だが流石は今や絶滅寸前のmade in Japanというべきか、あるいは11年も使い続けた慣れなのか、タッチが筆者にはとても使いやすいのである。
5576-A01がピアノの名品とすれば、こちらはよくできたシンセのタッチとでもいうべきか。クリック感はあまりないが、押し込んだ時のキーの当たりが強すぎず頼りなさ過ぎず、キーを押すように素早く操作するには丁度いい感じなのである(5576-A01はリズミカルに叩く感じで丁度いい)。
今日撮影のためにひっくり返してみて初めてP/Nを見たのだが、8520-101ということは元々101キーボードだったのだろうか。いささか出自が言迷なキーボードではある。

2008/12/07より追記
またまた久しぶりに筆者のデスクトップに往年の鍵盤が還ってきている。
筆者Blogによると最終的に撤収したのが2004/07/24ということなので、4年半ぶりの実働ということになる。
....のだが、実はその間に筆者の「ボツツボねた」用途で使用のために、まざぼや電源と一緒にテグスに吊り下げられかけたことがある。
このときは「電源落下→まざぼ直撃→DIMMスロットPIN折れ」というアクシデント発生のために難を逃れ、その後筆者宅の倉庫の奥深く死蔵....されていればまだ良かったのだが、地層の最上層に保存されていたせいか、筐体が当初のベージュとは似ても似つかぬ黄土色に変色してしまった。

しかしこのキーボードをお蔵入りにするきっかけだったはずの左Shiftキーの接触不良はここまで全く発生しておらず、他のキーも至極順調に入力できている。
では何のために....とは言うまい。それがきっかけで筆者は5576-A01を入手し、以降鍵盤つぼへと突入した結果、こうしたコーナーをしこしこ書いているのだから。

....全然関係のない話になってしまった。

前段の記事で「出自が言迷」などと書いているが、名にし負う「富士通高見澤」の、それも結構評判のよかったキーボードのようである。知らないということは恐ろしい。
まあ直感的に「悪くないキーボード」と感じていたのだから、良しとせねばなるまいが.....

ここの記事を増量しようと先日検索していたら、奇しくも2004年に秋葉原で、このキーボードの新製品がリバイバル販売された記事に遭遇した。
このときの情報をみると、その価格はなんと10,290円、今のマジェスタッチ並みだ。

はたしてこのキーボードが、今日の高級キーボードに伍するほどの価値があるのかどうか、何ともいえないところだが、考えてみると筆者が購入したときのツクモBTO機の価格が255,000円だから、本体価格の約4%ということになる。
ということは最近のBTOでミッドレンジ商品が7〜8万円と、当時のおよそ1/3の価格になっていることを考えると、あながち高いと言えないかもしれない。

FKB-8720のコーナーで、このキーボードとの感覚的共通点について述べた。
割とフラットな筐体+キー傾斜取り付けによる浅いシリンドリカルスカルプチャと、眺めてみた感じではよく似ている。

で、改めて触ってみるとストロークやコンタクトのタクタイル感は似ているのだが、こちらの方が若干コンタクト後さらに押し込んでいくと反発がやや強いような感触があるように思う。
上の方で述べた「頼りなさ過ぎず」というのは、「ごつんと底突きするような感じがない」という意味で書いたと考えられる。かといって今日のラバードーム廉価キーボードのような「ぐにゅうっ」という感じではない。しっとりと底突きし、その上筐体の剛性が結構あるので、たわむ感じもほとんどしない。

惜しむらくは、やはり以前および今日の筆者宅があまりに埃っぽいのと筆者の不精故に、内部にかなりゴミが侵入しているのではないかと思われる点だ。
所々キーの動きが微妙に渋い感じがするのは、そのせいである可能性が高い。一度キートップを外すだけでなく、筐体を開けて掃除をしてみたい....って、まさかFKB-8720みたくはめ込み爪がやたらと多いって事はないよな.....?目に見えるのは筐体裏下部の5本だけなんですが。

(2009/01/12追記) 前出の筐体を開ける方法だが、実はすごく簡単だった。
筐体手前の3つ+側面各1つのツメを外すだけ、ネジが使われていない単純な構造だったのである。
しかしそれにもかかわらずこの剛性を実現しているということは、嵌め合わせ精度の高さと材質の良さを物語っているのではないだろうか。

ところで、このFKB-8520/FKB-8720に意外な特性があった。

筆者はPC Pinballをよくプレイするのだが、ストロークが少なめのこれらのキーボードだと、思ったようにFlipperを操作しやすいのだ。
ストロークが深めのタッチの良いキーボードだと、素早い操作が要求される場面でほんの一瞬タイミングがずれるのである。
しかしストロークが浅くても、パンタグラフの堅めのモノだと、これもひっかかりがあって力が入りすぎ、軽快で高速なオペレーションには不向きだ。

世のゲーマーの人々とは比較にならないレベルの話だが、耐久性を考慮に入れなければ、意外と良い選択肢ではないかと考える。

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