TG3 KBA-BL82
manufactured & distributed by TG3 Electronics Inc.
諸元
キー配列 82keys/ANSI
メカニズム CherryMX/Black Axis
I/F PS/2
other specifications(from deskholi wiki) Dimensions:304 x 152 x 38 mm / 12 x 6 x 1.5 inches
Weight:907 g / 2.0 lbs
Switch:Cherry MX Black
Switch type:Linear
Keys/Layout:82; ANSI; low profile, full key size
Keycaps:black; unique 2 shot and sublimated process
Interface:PS/2, USB
Cable:fixed (non-detachable)
Water resistant:splash guard (Mil Std 810 compliant from top side)
Backlight dimming:8 levels; Fn+Up/Down arrows; Fn+0/Fn+7
LEDs life:200000 hr
Temperature:storage:
- -55C to +85C / -67F to 185F
Temperature:operating:
- -40C to +70C / -40F to 158F
Radiated immunity:20 volts/meter
Known model numbers:
- KBA-BL82-5RBIVS: 82 Key, Red Backlight, PS2
- KBA-BL82-5RBUVS: 82 Key, Red Backlight, USB
- KBA-BLT-5RBIVS: 82 Key, Red Backlight, Touchpad, PS2
- KBA-BLT-5RBUVS: 82 Key, Red Backlight, Touchpad, USB
- KBA-nBLTA-P3917A-RC: 82 Key, Non-backlit, Touchpad, USB
備考
Junk Point 光ればスゴかった時代

時系列な視点に立つと、筆者がこのコーナーで愛でているデバイスの数々は、大きく2つに分類されるかもしれない。
一つは、将来モノになるかもしれない(でも大抵はそうならない)「近未来」型のデバイス。
そしてもう一つはその対照.....というか、かつてはエッジが立っていた「当時の近未来」だったモノである。

筆者が集めたものといえば、以前は圧倒的に後者が多かった。というより、そちらだけだった。特に黒いノートを逝きまくっていた当時は、とても新品など買っている余裕はなかったのだ(ましてや当時の高級倶楽部向け炭団が6桁諭吉だったわけだし)。

それが、筆者の収集(散財?)志向が鍵盤に代わってから、若干その風向きも変化を見せている。
もちろん上を見ればきりがないわけだが、デバイスとしては常識外といえるこちらであっても、中古炭団とどっこいどっこいのお値段となっている。
したがって、今日隆盛を極めつつある大陸性鍵盤などにも興味を惹かれたりしている次第なのだ。....まだタオバオなどには首を突っ込めずにいるチキンではあるが。

そんな今日の大陸鍵盤をはじめとして、「ゲーミング」と銘打ったHIDの定番装備の一つが「イルミネーション」だろう。
現在ではRGBすべての色をLEDで出せるようになり、グラデーションなどの発光を鍵盤側のCPUでコントロールできるようになっている....それに意味があるのかは別として。
その源流が、本機「TG3 KBA-BL82」にある、というのは買いかぶりすぎだろうか。
キー配列
タッチパッド付き、いいなぁ.../中はこんな感じ

そもそも本機のキートップ発光機能は、その目的が違ったのだろう。
目に残像を残しにくい赤色LED単色の発光機能は、光ることによる視認性向上、つまり光ること自体が暗所での操作性(たとえば緊急車両内での車載PC操作など)を向上させるためのものであったと思われる。

そして....「機能重視」から生まれた特異な機能を持つ機器は、一般人から「Coool!!」との憧憬とともに模倣され、いつしかその機能とは関係ない方向へと発展していくものなのであろう。
かつて日本GP、そしてグランドチャンピオンシップに登場したマシンの空力パーツを「マブいぜ」と真似たグラチャン族が、いつしか出っ歯竹ヤリの珍走団へと昇華した如く。

....とまあそれはさておき。
筆者は本機を以前から知っている。今は亡きNeotecでガラスのショーケースの向こう側に鎮座ましましていたころからである。
当時の値段は、1.28諭吉。当時フリーターおとうさんだった筆者のサラリーには、なかなかに高い散財ハードルだった。
そうこうするうちNeotecリアル店舗が消滅し、Webサイトでも販売しているのだかしていないのだかわからない状況になり....数年が経った先日、イ意に本機が出品された。
当社比40%ほどのお値段で。まあ、喰いつくなというほうが無理でしょうな。

各キーに赤色LED装備
ラップで包んであるが、スイッチとキートップの間は...?

スイッチは、一機ごとに赤色LEDを組み込んだCherryMX。筆者にとっては初めて入手する黒軸だ。

とはいえ叩いたことがないわけではない。何度か入手の機会もあったのだが、tactileがなく、押し込むにしたがい指への抵抗感が増してくる感触はMY白軸に少し似ている気がして、筆者としては当時高価だった黒軸にその額を投資してまで、あの「ぐにっ」とした感触を手にしようとは思わなかったのである。

ただ、他の方のレビューにもあったのだが、本機は防滴機能を実装するためか、キースイッチの上部全体に薄い透明なラップがかけてあり、これが黒軸の上記の感触をさらに「ぐにっ」の方向へと振っているようだ。

これをむしってしまえば、防滴機能と引き換えに黒軸本来の打鍵感を手に入れられる....のではないかと思われるのだが、まあこれはこれで一つの味であるということにしておこう。MY白軸ほど違和感のある打鍵感でもないし(といいながら、非可逆的破壊を入れたがらない筆者であった)。

腰高でストレートなスカルプチャ/手首はコキンと折れ、鍵盤はズリズリ

筐体はコンパクト10キーレスとしては高さがあり、デスクにおいて使用すると、パームレストがない限り手首が折れる角度が大きくなる。それに加えて、底部に滑り止めがついていない。これが手のひらの微妙な横圧を受けて、本体が滑っていく原因となっている。

それにもまして、コンパクトなボディに不釣り合いなほど太くてごついカールコードの張力と重量が、滑りやすい卓上に置いた、手で姿勢を保持していない本機を、あらぬ角度へと引っ張っていくのであった。もっとも、接地部分がビスの頭であり、そもそもそれらの高さがばらついていて、叩くとガタガタと揺動するという程度の組み上げ精度なので、仕方ないのだが。

....つまり、このキーボードはそのようなデスクトップでの使用を想定していないと思われる。防滴機能(防水ではないらしい)も含め、作業機械や車両内にアームで固定して使用することを前提にしているのではないだろうか。

「alt+~」の全角/半角切替がevernote on USB2BT+YOGA BOOK C930の環境では効かない。代わりに、スペースバー左に配置されたチルダキー単体を押すと、キーボード設定が「日本語←→英語」に切り替わる。ということは、shiftとのコンビネーションであるチルダはともかく、「'」は入力できないことになる(←カッコ内は「('Д')」を使って入力した)。
USB2BT経由で問題なく動作(?)
バッテリー駆動でも点灯可能です

先にも触れたように、発光機構はキースイッチ1機ごとに実装された赤色LEDによるものである。

つまり82本もの「キーボード機能とは関係ない電力消費デバイス」がのっかっているのだが、意外にもUSB2BTで発光させながらタイプすることが可能だ。
たった4本程度のLEDしか装備しないこちらが動作不可だったにもかかわらず、である。

そうなると、ガラス敷きのテーブル上でガタガタ言わせながら本機をたたくのではなく、本来のあるべき姿(コックピット内でのタイピングなど)で使用してあげたくなるものであるが...残念ながら本機を固定するアームがどのようなものか、筆者には見つけることが現時点ではできていない。

いや、そもそもPS/2接続の本機をどのような環境で使おうとも、スマホ+BluetoothHIDのほうが便利に決まっている.....発光機能を除いては。

というわけで、「過去の先進機器」が「現代の微妙なイチモツ」となった典型例と言えるのではなかろうか。

.....で、そのようなところが筆者の嗜好を刺激してやまないのである。



おまけ

10年ぐらいズレた「近未来」同士の邂逅
(こちらは5野口)



(2018/01購入、2019/01/28記)

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