物品の価値は、需要と供給のバランスによって決定される。...ということでOKだろうか。
一般的な商品ならその通り...ということなるのだが、いわゆる「コレクターズアイテム」になると、もう少し話が複雑になってくると思う。
とあるドキュメント番組で紹介された、某中古ヴァイナル店の最高価格品はこれだった。
需要が多い商品とはとても思えないが、それ以上に供給が少ない...ということもあるし、そこへもってきて「来店者の購入衝動」が一般消費者に比して桁違いに高い...といったことが複合要因となり、そうした狂乱価格を生む原因なのではないか。
つまり、売り手の側はそうした闘牛のような突進本能を持ったマニアに対して、むしろ「高価格です。希少ですから」という赤い布をちらつかせて煽っているのではないかと思うのである。
まあ筆者も含めて、まんまと仕留められている牛は数多いるわけで、事ほど左様でありながら「いい買い物したな〜」などと、マタドールの槍を背中に突っ立てられて血まみれになっているのに幸せな顔をしているのだから、おめでたい限りだ。
ただここで問題になるのは、その世界から一歩でも外に出た人、あるいは別カテゴリーに興味を持つ人から見れば、その内部で行われている価値判断の基準は、凡そ理解を超えたモノである可能性が高い..ということなのだ。
ここ一ヶ月ほど、筆者は大須巡回をいつにも増して繰り返している(特に用事があるわけではないのだが)。
その行き先の一つ「まんだらけ大須店」で、乱雑に積み重ねられたガラクタ(....と筆者には見える。このコーナーで取り上げるブツ以外は)の中から、3枚ほど痛板を掘り出した。
その中の一枚が、この「俺の脳内選択が学園ラブコメを全力で邪魔している(長げェ。以下脳コメ)」痛キーボードなのだ。
...が。
掘り出した痛板に付けられた価格は以下の通りだ。
このうち、AとBはキャラアニ販売の同じタイプのキーボードだ。
雑多に痛板を集めている筆者などからすれば、鍵盤が同じなら価格は同じ...とはいかないまでも同じような値段が付いて当たり前と思うのだが、すでに「コレクターズアイテム」として販売されているものに関して、その概念は当てはまらないということなのか。たとえばヲのポテチや○○○に汚された跡がないかとか、そういったところが価格差になってくるのだろうか。あるは、キャラの人気とか。
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もしそうだとするならば、この「脳コメ」板のこの価格は一体何なのか。
しょこらたそ+お断り2/5は、ユークリウッドたんの1/4、エイラ&サーニャの1/20の人気しかないのか。
ひとつには、他2品との出自の違いがあるかも知れない。
後2者はキャラアニサイトで販売されていた、いわゆる「商品」であるのに対し、どうやら「脳コメ」はクレーンに入っていたプライズ、つまり「賞品」であったようだ。
本来その2者間で希少性については差異が出るか判断がつきかねるところだ。だが、もしかすると筆者のような一般人の計り知れないところで、キャラのくおりてぃに大きな差があるのではないか(本体製造はともかく、印刷に至るまで大陸に全部任せたとか)。
いずれにしても、これと同じ価格(こっちは税別だけど)でげとしたとはいえ、筆者の心情は大きく違っている。かの鍵盤のときは「こんな価格でいいのか?!」だったし、こちらの板でも「こんな値段でいいの?」という感想なのだが。
そのノンバーバルな表現内容が、皆様に伝わっているだろうか。...前者は「走召火暴ラッキー」だし、後者は「まあワタシはどうでもいいけどね」とつづく。
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さて、上にも書いたように、このキーボード本体は「Slim Chocolate Keyboard」だ。通常のキーボードとして日本で売られていた形跡は発見できず、ベースとなる機種が中国のサイトにおいて、日本円に換算して400〜500円で販売されているのが散見される。ちなみに艦これ大破Ver痛板にも、このキーボードが採用されているものがある。
500円のゴム椀/メンブレンキーボードが「完全防水、タイピング回数1000万回以上の耐久性」...こうした駄法螺を平然と吹いてくる所が、かの大陸国の愛すべき点と言えるだろうか。
「巧克力」の所以は、エッジを丸めたアイソレーションキーが飛び出している姿が、なんとなく板チョコにみえる点なのだろう。
パンタグラフ機構がついておらず、キートップ直結のスライダがゴム椀を押す仕組みだ。
叩いてみると、動き自体は渋くないが、55gという押下圧以上に動き出しに抵抗がかかる感じがする。
その重さと、比較的ぐらつきが大きいキートップが相まって、妙に不安定な感じから手に余計な力が入ってしまうのである。
ゐんキーの左が得体の知れないマスコットキャラ?、右がショコラたんの頭部に載っかっている非実用的なちび帽と、キートップが若干カスタマイズされている。
筆者のような一般人(←ひつこいぞ)が見る限り、痛印刷の精度はそれほど低くはないと思う。キャラの線は連続性を保って描かれているし、このての直噴痛板恒例のはみ出しもそんなに見当たらない。
裏面にはティルトスタンドと、ゴム足が装備されている。このようなキーボードの割りには、意外と据わりの良い感触だ。
一応フルキーボードだし、普通に使う分には、決して心地よくないけど、まあ使えないことはないキーボードと言える。
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(左上)左ゐんはしょこらたその帽子/(右上)右ゐんは?? (左下)筐体とハコにK(ADOKAWA)/(右下)一体キートップ |
で、何がこの安値を生んでいるのかというと.....
筆者が昨日これをげとしての帰り、兄ヲと弟ヲに板上のキャラについて聞いてみた。
返ってきた答え。
「知らーん」
筆者は最初、謳歌さんをハルヒ、しょこらたそを宇宙人と主張していた。
(あながち間違ってもいなかったが)
兄ヲは「最近見たから最近のアニメに違いない」と検索を始める。
弟ヲは「嘘で塗り固めたロリキャラに興味はない」と、どこぞの狂気のマッドサイエンティストのような事を宣う。
....で、鳩首協議しつつ帰路の途上で調べたが、結局分からなかった。
判明したのは、キーボード上部に「@2013T.Y/K/NP」、そしてついていたハコに、角川の鳥マークがついていたことがきっかけとなった。あーでもない、こーでもないと探して、ようやく正解にありつけた。
まあ、要はキャラの知名度が足りなかった....ということだったのかも知れない。
制作チームが「ショコラたそ→チョコレート→Chocolate keyboard」とつなげたのであれば、座布団一枚差し上げておくことにしよう。
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