上海問屋DN-914757
発売元/製造元 Unknown / 上海問屋
諸元
キー配列 64keys/US/Rollable shape/pitch 1.6mm
メカニズム pantagraph?
I/F Bluetooth 4.1 / HSP/HFP/A2DP/AVRCP Speaker: 2Wx2
OS Android 5/ iOS10/Win7 later
備考
Junk Point 輪中根性とイニシエの中華品質

HIDにおけるダウンサイジングは、大きく2つのアプローチに分けられるように思う。

1つは、PDA(大昔のPalmTopPC110や、今日のこちらなど)標準とされるサイズから全体の寸法をシュリンクさせる方法。
そしてもう一つは、使用時には標準サイズになり、未使用時にコンパクトに収納するタイプ(伝説のこちらなど)だ。
前者は元々コンパクトなサイズなので、可搬性に優れている一方で、操作性にはやや慣れを必要とする。

それに対し、後者は使用時はサイズが標準サイズなので、操作性に一日の長があるが、機構が複雑になりコストや耐久性の面で不利である。
ここで紹介する「DN-914757」は、おそらく後者にあたるのだろう。だが本機は、「スピーカーというヨケイなモノ」がついているという点で、真にダウンサイジングを目指した....というのとは、チョット違う気がするのである。
キー配列
丸めることはできても 結構横幅がある

2018年も終盤にさしかかる一日、筆者が一日大須をブラツいている際、定期巡回先の上海問屋でみかけた。
...のだが、調べてみると当該店での発売開始は2017年の6月ごろ。
当時の価格は4,900円とのことだった。筆者購入価格は2,900円。筆者はつい手に取ってしまったが、刷れたパッケージの同品が、まだ棚に何本かゴロゴロと転がっていた。
つまり....何かご事情があって売れ行きがこんな感じ....と、つまりそういうことなのだろう。

とりあえず捕獲し、自宅に持ち帰って試してみる。

スピーカーの幅というか、横の長さはかなりある。A5長辺ぐらいはあるだろうか。

スピーカー部に装備されているタブレットスタンドは、工夫はされた形状にはなっている。
のだが....基部がきわめてチャチい。2度ほど収納/展開をしただけですでに押さえの金属プレートが浮き上がって、スタンドが外れそうになっている。
スタンドのスリットは、筆者所有のASUS MemoPad7が丁度はまるぐらいの幅で、これ以上の分厚いWinタブレットなどはセットできない。...ていうか、スピーカー部の重さとスタンド長からして、同じく筆者が所有するStylistic Q702/Q550などは、セットできたとしても支えきれずにひっくり返ってしまうことは間違いない。

当然だがキーを内側に丸める
スタンドは無理に動かすと簡単にもげそう

巻き取り構造を実現しつつ、おそらくパンタグラフ型でほぼフルピッチのアイソレーションキーボードを実現したのは特筆に値すると思われるが、その代償なのか、タイプするとキーボードが基部のプレート内に沈み込むような構造になっており、これがスムーズなタイピングを困難にしている感じがする。

つまり押し下げてコンタクトする前に、指が基部のリムに当たってしまい、タイプできない場合が多々ある(特に奥の方のキーで顕著)のである。
このタイプミスを減らすためには、なるべくキーの直上から叩くようにしなければならない。つまり意識して指先をその直上ポジションに持って行く必要があるのだ。

となると、掌底を卓上に据えてタイプすることは阻害要因になり、畢竟手を浮かせてタイプすることになる。

そのため、無意識に肘周囲と肩が緊張し、キーそのもののストロークは悪くないのにかなり疲れを催す仕様となっている(と試すうちに、手前の方のキーを押すときが窮屈になるのを覚悟の上で、掌底を鍵盤面ぎりぎりに近づけ、指を丸めてホームポジションに置くぐらいの感じで全体をカバーできるようにすれば、手を卓上面においた状態で多少スムーズに叩けることがわかった。相変わらず腕の緊張は高いままだが)。

(上)キーボードSW
(下)スピーカーSW←ビックリします

以上に述べた、キートップの構造上の(クリティカルな?)問題を除けば、発売当初のレビューで言われたほどにはキー配置自体は悪くない。ただ、スピーカーとキーボードを接合した状態だと、最上部のキー列が非常に打ちにくい。切り離しても使えるようなので、そのほうがよいかもしれない(キーボードの電池の保ちが心配だが)。

スピーカーにはしっかりとしたゴム足が付いており、動揺することが少ない。一方でキーボード部はというと固定する部分がスピーカーとの接合部だけであり、先述のリムに指があたってしまうイベントが発生するごとに左右にキーボード全体がスイングするという、やっかいな不安定さを持っている。
総じて考えると、「スピーカーの付いた外部キーボード」というのは確かに特徴あるアイテムではあるのだが、それがユーザーのニーズに合致しているかは別問題となるであろう。

発売当時の"Hermitage Akiba" や "PC hotline"の記事には「外出先での動画を使用したプレゼンテーションなどに有用」と紹介されていたが、そのような使用方法であれば、スピーカーとキーボードは分離していた方が、提示がしやすいのではないかと考える(ディスプレイも外部であればなおさら)。
勿論上述のように両者を分離して使用することも前提になっているのだが、キーボード部が不安定であり、またポインタは別途用意しなければならない。
bondingはスピーカー/キーボード別個に

そうしたプレゼン用途以外....となると、タブレットやスマホにH/Wキーボードを必要とするのはドキュメント作成となるであろうが、そうした場合にスピーカーが必要となるケースは希のようにおもわれる。
そしてハンズフリー通話機能もついてはいるのだが....いまどきその機能が付いていないスマホはほぼ皆無だろう。

と考えてみると、この「海苔巻きキーボードの豪華な末裔」の行く先は....筆者のような人物の許ということになるのだろうか。うん。多分長期に亘って使用する可能性は低い気がするけど。



おまけ

ちょっとくぐもった音質だが、パワーはある
キーボードは....まあ、何事も「慣れ」だ(後藤)



(2018/03購入、2018/05/03記)

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