IBM 5576-A01


製造元 日本アイ・ビー・エム
諸元
キー配列 日本語/OADG106
メカニズム メンブレン/独立型バックリングスプリング
備考
Junk Point 餅が腐ると勿体無い
ジャンク屋を回るのを半ば趣味としているような筆者であるからして、使用するPCのパーツのメーカーや出自、あるいはリーガル/イリーガル(←こらこら)についてはさほど気に留めるほうではないのだが、そのなかでキーボードだけは比較的こだわっている方だという気がする。
勿論「何枚も買い揃えて、使い心地を比較する」などといったマニアではないのだが、やはり基本は押さえてほしいと思うのだ。最近のノートにおいて英語/日本語キーのパーツ共通化のための文字キー右端2列ナロー化や、(IBM如きは不等長のくせして『フルピッチキー』などとのたまうものだから余計腹立たしい、好きなメーカーだけに)東芝などに見られるEnterキー右側へのキーの回り込みなどは問題外としても。
そんな筆者だが、周囲の評判に乗せられる(というか、勝手に舞い上がった)形で衝動買いしたのが、この半ば伝説と化しているキーボードである。購入先は言わずと知れたムラオカ、しかも展示されていた品がほとんど使用していないような雰囲気のある逸品だっただけに、せっかく義母から贈られた国家資格試験合格祝いの過半を注ぎ込むのを防ぐことができなかった。
ここをごらんになるような方はこのキーボードの性能や評判についてよくご存知と思うので、あえてここでは解説を入れないが、筆者が使用した感じは重厚かつ精緻、といったところである。Dellのように、タッチや反発が軽すぎてまるでヤクルトの瓶をこすり合わせているような音のする最近の安物キーボードは疲れる上に不快であると思うのは筆者だけではないだろう。
メカニカルノイズ(実際にはmembrane switchなのだが)には好き嫌いがあるかも知れないが、自室で一人使う分には近所迷惑でもないし、打鍵のリズムを出すにはこちらの方が良い感じがする。
今まで使用してきたデスクトップ用のキーボードに比べてaltキーが若干小さく、ショートカットが多少やりにくいという所はあるが、これは慣れが解決してくれるであろう。
タトえ首さんたちの絶賛ほどではないにしろ、この名機を好ましく思う筆者ではあったが....11年付き合った初号機付属部品最後の生き残りである106キーボードもまた捨てがたく、完全移行を躊躇している。というわけで、購入先のこともあってここに掲載した。決してネタ枯れ対策というわけではない。と、思うのだが....うーん....気持ちいいぞ....(使用中)

(2008/12/12追記)
.....まだ使用中、なわけではない。

前段に書いていたような状況が一変、深みにハマってしまっている筆者の現況だが、それに伴ってデスクトップコンソールは目まぐるしく変更を繰り返している。
ここ何ヵ月間はIBM以外の鍵盤に手を出すことが多かったのだが、改めてこうしてA01を叩いてみると、そのしっかりとした作りはやはり別格だな、と思う。

単に剛性を比較するなら、Topreなど他社の高級キーボードも遜色ないのだろうが、打鍵という外力の受け止め方というべきか、打った時の指に反ってくる感触のソリッド感が明らかに違うのである。

この辺は好みが分かれるところなのだと思う。かっちりとしたアタリが筆者は好きなのだが、ソフトコンタクトを好む方にとっては「重い・うるさい・堅い」という感じになってしまうのかも知れない。
実際に「長時間打っていると疲れそう」という評はネットのあちこちで散見される。筆者にはそれほど疲れることはまずないと感じられるのだが。

某所にも書いたが、A01はメンブレンスイッチを叩くキーのハンマーが独立している。
Model-Mや、5576-C01など他のIBM製バックリングスプリングキーボードはハンマー部とメンブレン部が一体型で、容易には分離できない(また分解してしまうと元に戻すのが至難)構造になっているのだが、この構造だとひとたびスイッチがダストの詰まりなどで接触不良を起こすと、それが致命傷になりかねない。

これに対し、A01は原則的に分解掃除すれば、こうしたトラブルからも復旧させることが可能である。

....「原則的に」と書いたのは、実際にやってみて、それがスゲェ大変だったからだ。

分解して掃除、そこまではよかった。
さて後は組み上げるだけ....という段になって、メンブレンスイッチの位置決め/シワが寄らないようにフラットに設置すべくハンマーを一つずつ土台に装着していくのだが、最後の方になると、どうしても微妙にズレたり、たくしあがってしまったりするのだ。

106コ装着してテスト→NG→分解→再装着→NG→分解→再装着→NG.....という無間地獄ループにハマり、夕方から始めた掃除が終わる頃には、東の空が白み始めていた。
もう少しメンブレンスイッチのガイドを増やしてくれればと思ったが、考えてみればそこまでする一般ユーザーもそうはいないと思われる。

精緻さと剛性を微妙にブレンドさせたPC黎明期の傑作鍵盤、それが5576-A01のテイストなのだろう。

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