KODAK DC-20

製造元 コダック
諸元 たしか27万画素CCD/493×373モード8枚撮影/シリアル接続転送
Junk Point Windows95以上では無理
備考 何につけても、「割り切り」ということは大切であると思う。特に道具についてはそうであろう。

ドライバーにさまざまな大きさがあるように、ペンチに色々な形状があるように、道具は基本的に「一つの機能」に特化していたほうが使いやすい。その道具にない機能は、他の道具で補えばいいのであるから。

だが、「オプション」という言葉は人を惑わせる麻薬である。

本来「割り切りPDA」として発売されたはずのPalmTopPC110が、山ほどあるPCカードをとっかえひっかえされ、メモリをカメカメされ、キーボードもっこりでHDDを内蔵され、タンクに乗っけられてバイクナビと化し....と満艦飾の様相を呈し、気が付けば最新型ハイエンドノートを余裕で買えるほどの投資をしている自分に愕然とすることになるのだ。
それはそれで「拡張性」という商品の魅力なのだろうが、付き合わされる(というより勝手に暴走しているような気もする)ユーザーとしてはたまったものではない。

さて、このDC-20だが、とにかく「割り切りデジカメ」の最たるものである。
もちろんこの分野のパイオニアであるカシオQV-10と共に、最も古参のデジカメであるから、基本性能的には今日の、銀塩カメラに肩を並べるほどになったデジカメ群とは比較しようもないのだが、そんな2台のうちでもこのDC-20は、極端に「撮影すること」だけに特化した機といえるだろう。
ストロボはない(フラッシュアダプタはオプションであったらしい)、液晶モニタはない、ファインダは撮影レンズと別....正にでぢたる版「写るンです」である。
だが、筆者の見聞きするところ、このカメラのファンは意外に多かったようだ。
筆者が使っていて感じたのは、とにかく「光量が少ない場所でもそこそこきれいに撮れる」ということだったが、それ以外にも「発色がよい」「画像のきめが細かい」という評価があった。(評価の対象がQV-10だったわけだからその程度のよさではあるのだが)
この辺の性能には若干ウラがあった。このカメラは、TWAINデバイスとして動作させるためのドライバ側で生データのフルカラー化と圧縮を行っていた。画質が良かったのはハードの性能ではなく、この画像修正ドライバの性能であったのだ。そういった仕組みも「割り切りのよさ」のひとつではある。

しかしやはりというか、このカメラのユーザーほぼ全員が感じていた不満、それは「標準サイズで最大8枚」という、今では考えられないメモリの小ささだった。
筆者もこのHPのネタを街で拾いつつ不満を抱えていたそんなある日、「『ロジックラフト』(という会社)が、DC-20用のメモリ増設キット発売!!」という記事が、今は亡き「PC WAVE」に載った。見出しには「8枚しか撮れなかったDC-20で64枚撮影が可能!!」とある。

「これだ!!」

....筆者の脳裏で、暴走機関車のボイラー圧が急上昇した。

板谷峠の急勾配を転がり落ちんばかりに記事を読み進む。「キット価格\15,000....メモリバンクをロータリースイッチで切り替え....キット内容・メモリーチップ3枚、耐熱被服コード 約50本、ロータリーSW 1個、両面テープ 少々、マニュアル 1冊....増設方法・まずチップの載ったボード上の端子40本にコードを半田付けし、2枚目のボード上のスルーホールにその40本のコードを間違えないように通し(つまり並列接続)、半田付けの後同様に3、4枚目を....

ぷしゅしゅしゅしゅしゅしゅううううぅぅぅぅ....

....筆者の蒸気圧は一気にぜろとなった。

その後もうるとらまん上で使用するためにシリアルカードを血眼になって探したりしたこともあったが、結局「やぱ時代はVGAあんどメモリーカードだよな〜」などといいつつAXIA ix-20へと移行することになる。それがドはまりであるとも露知らず....

ご覧のように左側面にあるシリアルケーブル接続ジャックの目隠しラバーが千切れてしまっている。これも今は亡き町田ダイエーでの生向委オフ初参加の時に、フェイクさんにお会いしてこのカメラを紹介していたときに、力余ってもいでしまったのだ。愛しい方に初めてお目にかかって、やはりかなりドキドキしていたらしい。

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