コカコーラコーヒープラス
販売 コカ・コーラ カスタマーマーケティング
諸元 名称:炭酸飲料
原材料名:果糖ブドウ糖液糖、コーヒーエキスパウダー、カラメル色素、酸味料、保存料、安息香酸Na、香料、甘味料(アセスルファムK、アスパルテーム)、カフェイン
内容量:185mL、栄養成分表示(100mLあたり)エネルギー22Kcal、タンパク質0g、脂質0g、炭水化物5.5g、食塩相当量0.02g、カフェイン18mg

売り口上『カフェイン50%増量(コカ・コーラ比)』
Junk Point 別領域からの刺客

日本人で初めて、世界の8000 m 超峰14座全ての登頂に成功した登山家・竹内洋岳氏が、コーラはどこに行っても味が変わらないので必ず登山に持っていくと述べている。
彼のドキュメンタリー番組を見たところでは、携行している銘柄は地球上で最も売れているコーラ飲料だった。

かの飲料について「なにやらヤヴァい原料が含有されている」という都市伝説は根強く流布されている(資料によれば、発売開始当初はコカの葉が使われていたとのことである)が、現在では代替としてカフェインを使用しているとされている。
カフェインは強心作用とそれにともなう利尿作用を持ち、登山家の間では「摂取しない方が良い」とされている一方で、高山病による頭痛を和らげる作用もあり、これが超高山無酸素登頂を目指す竹内氏が愛飲する理由の一つではないかと想像されるのだ。

で、一方。

筆者が発売になる度に何故か手を伸ばしてしまい、またこのコーナーでも度々取り上げている「炭酸珈琲」である(これとか、これとか)。
筆者の提唱する「五味のバランス理論」からの類推によって、試飲する当初からこの類の飲料が「言迷の味」であることは既に結論が出ている。
にもかかわらず、メーカー各社は時折思い出したようにこの不毛の地を開拓すべく、不毛な努力を4年毎に(・・・でなくなってきているけど)行ってきたのである。

注いでみる。見た目はコーラと変わらない
珈琲のサポニンによりやや泡が細かいところが炭酸珈琲ぽ。

そうした努力に対し、無精卵を温めるが如き結果ばかりが積み上げられていたと思われるが、少し風向きが変わってきたと感じられたのが、3年前のこれの発売であった。

コーヒーと、ケミカル風味の邂逅。

相変わらず味的には暴投ではあったと思うのが、元々相性と呼べるようなものではなかった炭酸と珈琲の間に僅かながら味の統一感という一筋の条光をもたらしたという点が新機軸であった。いや、そんな大層なことではないのだけれど。

そして時は流れ、満を持して(?)本品が発売された。

炭酸飲料であるコーラと、珈琲の出逢い。
従来の多くの炭酸珈琲に少なくて、この「コカコーラ コーヒープラス」にあるもの。それは以前にも述べた「酸味」であろう。
キリマンジャロやブルーマウンテンなどの豆は、元々酸味が表に出ている。この程度の酸味が加わっていると、珈琲と炭酸の味の架け橋とできる可能性が出てくる。

しかしながら、珈琲を主役にすると、結局珈琲本来の味である「苦味」と「炭酸」のガチンコ対決になってしまう。その配合比が、この手のプロダクツのキモとなるのだろう。
「炭酸珈琲視点」から見ると、本品はこの配合比問題にコペルニクス的転回でアプローチしている。

つまり・・・・「炭酸珈琲」であることを放棄しているのだ。「珈琲風味のコーラ」という形で。

羽島PAの設置状況
コーラとは離れたポジションに入れてある。エナジードリンク扱い?

実際に飲んでみると、まずコーラの味がする。
その後、珈琲の風味が追いかけてきて、後味は酸味のある珈琲....という感じになる。
以前にご紹介した「フルスロットル」は、酸味をケミカルに演出していた(ビタミンなどで)。その辺に後味のイマイチさの原因があったのだが、こちらのほうがより違和感の少ない後味を演出することに成功している・・・気がする。

....いやおそらく、万人に歓呼を以て迎えられる味....とは、到底思えないのではあるが、不毛であったこのジャンルにフルスロットルが道筋を示し、その後継として本品が世に出たと言えなくもない...のではないか。現になぜか、結構売れているようだ。

筆者は本製品のことを、今年から一人暮らしを始めた長男から聞いて知った。
本品は「自販機限定発売」とのことだ。彼と筆者のリサーチによれば、本品が充填されている自販機は、筆者宅の近傍では東海圏の駅構内と、名神高速のSA/PAに集中している(北陸道、SG県内の名神SA/PAには存在しなかった)。そして....おおむね筆者または長男が購入に訪れるたび、売り切れているのだ。どういうわけか。

一日、大須ウォッチに向かうという某オグキノ両氏に、筆者は本品を可能な限り購入するよう依頼した。
で、両名が持ち帰ったのは....総勢17本に及ぶ本品だった。どうやら羽島PAの自販機をカラにしてきたらしい。まったくもって迷惑な話だ。

筆者にとっては、味はともかくカフェイン濃度の高さ(推定:筆者の体調変化[心拍数増加、覚醒効果、顔面紅潮、利尿作用など]に基づく)が気に入っており、大切に取っておいて必要時服用....と思っているのだが、なぜか筆者母(82)がコッソリ持ち出して飲んでいるらしい。
どこかにケース売りしてはいないだろうか。おそらくは短命に終わると思われる本品の保全のために。



(2017/11/26記)

Junk Junky