SONY PS-150

製造元 SONY
諸元 フォノイコライザー内蔵DDターンテーブル
マニュアルランディング/オートリジェクト
Junk Point 老いてますます盛ん
備考 正直なところ、ウォークマンプロと共にこの機を「ぢゃんく」扱いしてよいのか判断に迷うところである。

筆者が高校1年か2年の頃に発売され、「カタログを見て即買い」だったので、生産されてからすでに23〜24年が経過している。そのうえ一時遺失していて家中を探し回り、ようやく倉庫の片隅でわが実家初のビデオデッキ「ナショナル(....まだ"Panasonic"でなかった頃です)NV-3700」とともに埃まみれになっているところを発見されたのだから、扱いはジャンクも同然だ。

だが一般的なオーディオ機器がPHONOイコライザーを持たないのが当然となった今、我家で唯一運用可能な、貴重なターンテーブルだ。のみならずこの機は、買った約四半世紀前、つまりCDが市場に出てくる直前の、アナログレコード全盛時のターンテーブルと比較しても、驚異的なコストパフォーマンスを誇っていた。

一応「オートプレーヤー」を名乗っているが、操作はいたってシンプルである。
どこの家庭にもよくあったスピーカー内蔵のおもちゃのようなプレーヤーと同じようにアームを手でスタート位置にもっていき、レバーでランディングさせて再生を開始、終わったらオートリジェクト、それだけである。
だが、手許に資料が残っていないので確かなことは言えないのだが、このプレーヤーの実力は侮り難いものがあった。

このプレーヤーは、ターンテーブル外周内側に塗付された磁性体と磁気ヘッドで回転速度を読み取るサーボシステムを持ち、アナログデバイスの宿命であるワウ・フラッターは当時のハイエンドターンテーブルと同格か、あるいは機種によっては上回る正確な回転制御が可能だった。

そして、これは筆者が耳で感じただけではあるが、後に購入したリバティCDに付属のプレーヤーと比較しても、明らかにノイズのレベルが低かった。
現に10万以上の大枚をはたいて買った当のリバティCDのプレーヤーで、初めてLPを再生した時に「こんな音でしか再生できないのか?!」と、心底ガッカリしたのを覚えている。結局筆者は、そのフロントローディングプレーヤーをわざわざ外してしまい、場所を取るのを覚悟の上でこのPS-150を使い続けたほどだったのだ。

これほどの基本性能を持ちながら、元々ラジカセユーザーのための「とりあえず再生」用プレーヤーというセグメントもあって、発売当時の標準価格が1万円台(前半....だったと思う。ひょっとしたら1万円を切っていたかも?!)という設定だったのだ。
普通のコンポに使用するプレーヤーが最低でも3〜4万円したことを考えると、恐るべきお買い得商品だったことがわかる。

現に2005年2月の今、昔買ったEPやLPを回してみたが、何の問題もなく、昔聞いたままに近い音で再生できる。DDプレーヤーで構造が至ってシンプルなだけに、経年による劣化がほとんどないのかも知れない。

これほどの「隠れた名機」なのだから、今でも愛用しているユーザーがいるに違いないと思いネットで検索をかけてみたのだが、引っかかってくるのはPioneerの同じ型番号を持つカーオーディオと、「PS」、つまりプレステばかりというのはいささか残念だ。

.....と思っていたら、なんと熊本のとある市民会館に「音響装置」として今でも配備されているそうだ。(2004年9月現在の資料)
このような「一見安物」がプロユースに使われているらしいというのは何とも痛快な話で、ユーザーとしては胸のすく思いである。

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