ナショナル マックロードNV-3700
製造元 ナショナル
諸元 ステレオ/音声多重対応チューナー内蔵
Junk Point な、内部にキノコが...ミヽ(;>o<)丿ヒイッ
備考 「先鋭型か、普及型か」....工業製品を購入する際にいつもユーザーの頭を悩ませる問題だ。
かつて筆者は多くの場合前者を選択してツボるパターンを繰り返していた。このマックロードは数少ない例外であるが、とはいっても自力ではなく他力によってこちらを選んだのだ。
筆者が中学生の頃、実家に降って沸いた「ビデオデッキ購入祭り」。
それまで「マガジンマチック」でTV番組をモノラル音声録音していた筆者は、それこそ赤いモノを見た闘牛のような目で電気屋に突撃してはカタログを山のように持ち帰って、穴が開くほど詳細に(....というほどでもないが)検討していた。
そんな中で、筆者が真っ先に目をつけたのは、言わずと知れたソニーの「ベータマックスSL-F11」であった。それはそうであろう。薄型8cmのスリムなボディ(後にその薄さ故にヘッド故障が多発し『モロさ8cm』と言われたようだが)、BNR搭載、逆転スロー再生機能、そして極めつけはPCMプロセッサと組んでデジタル録音デッキとして使える機能と、20数万円を投入しても欲しくなるようなスペック満載であった。ただ一点、『ベータである』ということを除いては。
筆者はマニアックな方向に走る割には、『将来性』とか『互換性』にこだわる思い切りの悪さがある。だがこの時はその慎重さに物欲が勝ってしまった。危うし、筆者宅のAV環境....

だが、同意を得られることを前提にスポンサー(父)の意思決定を仰ごうとした筆者は、ついうっかり口を滑らせてしまう。
「ベータはこの先どうなるかちょっと怪しいけど、まあなくなることはないやろなぁ」

それを聞いたスポンサーが一言。

「んな使えんようになるようなもんあかんがな」

普段は物静かだが、こうと決めたら一歩も譲らないスポンサーであった。
....こうして筆者は後ろ髪を引かれるような思いでSL-F11を諦め、大きく引き離された次点のこの機を提案したのである。

まもなくベータは市場でほとんど見かけなくなり、筆者もこの巨大なデッキを駆使して音楽番組を撮りまくるようになるのである。やはり親の意見は聞くものだということだ。

確か購入当時\200,000ぐらいだったと記憶しているが、VHSでステレオ/音声多重対応なのはこの機種ぐらいだった。それ以外にはあまり見るべき機能を持っていない。
だが「凡庸の非凡」とはこのマシンのことである。ポップアップローディングなのでラックに入らず、うっとうしいほど場所を取るこの機械は、かなり長く実家のTVの上に鎮座ましましていた。車で言えば『鈍重な牛』と呼ばれ、丈夫なだけが取り得と評されたL20のようなもんであろうか。

久々に倉庫の奥からSONYのターンテーブルと一緒の箱にホコリまみれになって突っ込まれていたのが出土したが、こちらのほうが下敷きになっていたせいか、湿気てカセットメカ内部にはカビともキノコとも判じられない胞子がびっしり付着していた。
とても恐ろしくて動作確認などできないが、こうして見てみるとその鈍重かつ巨大な筐体も、昔ながらの機械式カウンタも、なかなかに愛嬌のあるデザインに見える。

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