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短期集中連載(笑)

−この物語は、フィクションである(?)−


その222


小椋良二「今日あるオバアチャンのおうちに行ったら、茶飲み話に花が咲いてしまいまして」
木下隆雄「それはなんともジジむさいことですね。大体なんで貴方が....」
小椋「まあそれもお仕事のうちということで」
木下「お金がたまる枕とか、幸運を呼ぶ便器とかですね」
小椋「ワタシは大久保に知り合いはおりません」
木下「それはともかくとして....でそれが何か?」
小椋「そのおばあちゃんは昔の主婦の例に漏れずヌカミソの糠床を大切にされているのですが、それが何と既に50年以上保っているとか」
木下「う、うぎょっ」
小椋「もちろん新しい糠を足しては漬け、足しては漬け....ということらしいのですが、戦後の焼け野原の川崎で漬け始めて以来、現在の海老名まで一度も腐らせてないと言うのは驚異といえるでしょう」
木下「日本の母の鑑ですね....」
小椋「日本人すべての、ですね。新しいまざぼが出たといっては買い換え、winnyで集めたむふふが溢れたと言ってはHDDを交換する今日のタトえ首さん達に爪の垢でも煎じて飲ませてあげたい気分です」
木下「毎日かき混ぜなきゃでしょうからさぞかし酵母豊富な垢でしょうね」

木下「....で、上の写真と今の話に何か関係が?」
小椋「そこなんです。ワタシの母艦も今や初号機導入から数えて11年めになりました」
木下「胡瓜を漬けるにはまだまだですね」
小椋「浅漬けぐらいなら....ってそれはともかく、オリジナルのデスクトップ型486機の姿は見る影もなくなっていますが、核となる部分はオリジナルのままといういい味出してる状態なのです、これも」
木下「ほほぉ....11年間使いつづけている部品があるということですね、どこですか、それは?」
小椋「キーボード」
木下「あ、そう」
小椋「....もう少し感動してくれませんか」
木下「だって....このキーボードなんて別に何の変哲も無い106OADGキーボードじゃないですか」
小椋「とはいえ11年も使いつづけてるんですよ。なんか手に馴染んでて他のも買ってはみたんですが結局長続きしないんです」
木下「貴方みたいなげしやーに11年も叩き続けられて無事だなんて、その耐久性だけは感服に値しますな」
小椋「ところが残念なことに、最近左shiftキーがリリースできないことがたまにあるもんで....そこで泣く泣くこのキーボードにご勇退いただいて、新しいのを買おうかと思うわけです」
木下「新しいのですか....じゃ赤緑青好きの貴方のことですからこれとかですね」
小椋「では早速行きましょう....はい着きました
木下「何でやねんっ」
小椋「しょうがないでしょう予算が限られてるんですから....\1,000ぐらいで掘り出し物があるのを期待してっと」
木下「家にタムロしてるのでは駄目なんですか...?」
小椋「あうとおぶまんたい」



木下「....さ、帰りましょう」
小椋「すみませーん、この辺にア○ムのATMありませんか」
木下「こっ、こらこらーっ」



小椋「やっちまったぜ」
木下「4ターン前の言葉をもう忘れてますな。新品のSpace saver大盛すーぱーかっぷ1.5倍も大枚つぎ込んで貴方と言う人は」
小椋「仕方が無いでしょう....1991年の初出荷以来の『伝説』の新同品が目の前にあるのに黙って見過ごせるのですか貴方と言う人は」
木下「店員さんが言ってましたね『誰もが一度は通る道です』と....かの柴田練三郎が『太宰は誰もが一度は通るハシカのようなもの、大人になって読んでる奴がいるとしたらそいつはバカだ』とのたまわっておられたのを思い出します」
小椋「しかしどの方面の鍵盤マニアサイトを見ても、絶賛しこそすれ悪く言ってるところが見当たらないですから....とりあえず使ってみるということで」



木下「どうですか?」
小椋「いやーいいですねー....メカニカルっぽいタッチのキーボードを本格的に使うのは実は私初めてなんですが....重からず軽からず、しっとりとしていてそれでいて軽快なクリックは癖になりますね」
木下「バックリングスプリングのノイズも軽快感を演出するための要素ということですか、たしかに良さそうですね」
小椋「そうなんですけど....」
木下「何か問題が?」
小椋「やはり糠ミソを新しくしてしまうのは心苦しいので....元に戻しましょう」
木下「な、なぞ....まさか....ネタ行きとか?」
小椋「ま、まさか....こういう使い方もあります」



木下「ちなみにこのキーボード、重量が約1.7kgもあるんですけど....」
小椋「まあいいじゃないですか、最高の贅沢ともいえます」
木下「コンビニおにぎりのおかずにフレンチのフルコース、みたいな」
小椋「それ、いただきです」

.....ネタ行き

....その223へ続く(Winner's curse)