このスタンプを押した当時は、新都庁もサザンタワーもなかった。これ以降世は急速に異常な好景気を呈し、次々と無駄な摩天楼が林立することになるのである。
筆者とカミサンは、一時住友ビル最上層にあたる、46Fのオフィスで働いていたことがある。その当時はなんの気なしに仕事をしていたのだが、今にして思うとなかなか稀有な体験だったと思う。
台風の日に休日出勤したときは、まるで嵐の洋上に投錨した大型客船のようにゆったりとオフィス全体が揺れており、一緒に出勤していた年長の同僚が「船酔い」で早退してしまうという事態に至ったことがあった。
また同じセクションにいた筆者とカミサンが、仕事を終えて消灯し、窓の近くに座ってロマンチックな気分に浸り....さて帰ろうとしたら、常務が今は別居している先妻の娘を連れてやって来て、かなり気まずい思いをしたこともあった。いまでは良き思い出である。