KEYBOARD PC II Pro Edition
テックウィンド WKA-W10PBK "KEYBOARD PC II Pro Edition")
発売元/製造元 テックウィンド/言迷OEM
諸元
キー配列 82keys/JP(Fnx1/Shiftx1)/TouchPad
メカニズム Rubber dome/ membrane switch...だと思う
I/F -(HIDデバイスとしてのI/Fはなし)
備考
CPU Intel Atom x5-Z8350
RAM/Storage 4GB DDR3L/32GB eMMC
Size 321.46mm(w)x115mm(d)x26.6mm(h)x550g(weight)
I/O WLAN(IEEE802.11b/g/n), LAN(RJ-45)
HDMI(2560x1440), VGA(FullHD)
USB3.0x1 + 2.0x1, Headphone, MIC, MicroSDXC(upto128GB?64GB?), Bluetooth4.0, Stereo Speaker
Power 5V, 3A(AC-DC adaptor)/6000mAh Li-Polymer
OS Windows10 Pro 64bit
Junk Point ノマドワークには使いにくい(が,IIでちょっと前進)

初号機と後継機、導入するならどちらを選択するのが得策なのだろうか。

常識的には、改良版である(はずの)後者を選ぶのが妥当だろう。

たとえば、初期プロダクトが「エポックメイキングだが、どうしようもない未完成品」だった場合である。
ソフトウェアによる修正が一般的になった今日の工業製品では、「アップデートパッチという伝家の宝刀(c)サトゥー」をやたらと振り回すメーカーが数多く見受けられる。例えば現在情報社会のインフラを担っているMicrosoft Windowsがその極致といえよう。Windows1.0などは「これのどこがウィンドウ表示?」と誰もが首をかしげる代物だった。

しかし、実際の市場では必ずしもこの原則が当てはまるわけではない。
筆者が以前購入したこちらの製品などは、「単機能に特化」という当初のコンセプトを忘れた「機能追加による劣化」の典型であった。

いずれにせよ、ユーザーのニーズというか、セグメンテーションのベクトルを広げることは、広範な支持を得る事につながる一方で、プロダクトコンセプトを曖昧な物にしてしまうことにもなりかねない。

WP004-WH(上)と本機(下)鍵盤面
タッチパッド巨大化はどうだったのか....ジェスチャが使えるのはちょっと便利かも

さて、この「KeyboardPC 2」である。

「1」が発売された当時は、スティックPCなど「超小型PC」+TV/LCDの組み合わせによる「大画面省スペースデスクトップ」が一つのトレンドを形成していた。

以前のコーナーでも述べた通り、筆者は自らに適したHIDトポロジーを選択した...のか、それとも単なる趣味の結果かは分からないが、この「鍵盤一体型PC」を導入した。
筆者宅の同居人たちが使用するメディアコンソール(主に動画視聴だが)としての機能に期待したのである。.....が、それは程なく裏切られる事になる。
電源ONのたびに繰り返されるWin10の自動アップデート、それによりCPU使用率はほぼ100%に張り付き、ローカルストレージに置いたSD品質の動画ですらマトモに再生できない....かくして同居人たちの手はCorei3搭載のThinkPadへと移り、KeyboardPC1はTVの横でホコリを被ることとなった。

そして数年が経過し、巨大パッドと内蔵バッテリー駆動を備えた「2」が発売されたと風の便りに聞いてココロを動かされる筆者であったが、フトコロを動かされることはなかった。

....Win10Professional搭載の本機が発売されるまでは。

背面パネルの比較
USB3.0に変更以外はほぼ同じ
廃熱/Speakersスリットが裏に移動している

筆者は昨今PCの基本性能にあまり拘泥しなくなっている。いや、エンコードやエンコードやエンコードを行う自宅鯖にはマルチスレッドな性能を求めるのだが、端末として使うマシンは次第にローエンドのものが増えている。それは外出先でVPN+仮想デスクトップでの作業を行う機会が増えていることと関係が深い。

実際に作業している鯖はもともと高速だし、昨今の公衆回線を利用すれば、コンソール側のマシンにはそれほどの性能がなくとも、そこそこ快適な作業が可能になっているからだ。
またそれはVPN鯖として使用するマシンとしても同様である。

ただし、筆者のようにいくつかの仮想デスクトップを経由して自前鯖を操作する場合となると、中継するVPN端末にはRDPサーバ機能の有無が重要になってくる。
そうした経緯から、中古でも新品の格安PCでも、筆者はWindows10Pro搭載機にこだわることになるのだが....これがなかなか選択肢が狭い。
新品はもちろんなのだが、Proを標準で搭載しているとなると、中古でもThinkPadか、もしくはIBM refreshedPCあたりに限定されてくるのだ。

そんな中、登場した格安PCのPro機である「KeyboardPC II Pro」。
しかも....というかしかしながら...というか、筆者が食指を動かされる第一要因であり、一方でブリッジ機として使うにはおそらく不要であると思われる「鍵盤」がついている(ていうか、そこが最大の特徴)。
そんな非常に微妙な位置づけとなっている本機を、さっそく試してみる。

側面
バッテリーが載った分座りと剛性感が増している(重いけど)

キーボードのハードウェア的に原版となるモデルを検索してみたが、似たような配列はあれどどれも微妙にキー形状やパッドが違っており、KeyboardPC 1のように「これだ」と思われるモノは発見できなかった。

筐体の幅は1より大きくなっているが、奥行はやや縮小されている。
拡げられた幅はタッチパッドのスペースとして使用され、キーボード部は1よりもせせこましくなっている。
キートップの大きさは、かつてのA5サブノートぐらいか。そのため、少し両手を寄せるような感じでホームポジションに乗せることになる。
キータッチ自体は、ストロークとコンタクトポイントにタイトな感じが有り、1の「どのぐらい押下げればコンタクトするのかわかりにくい」点がだいぶ改善されて打ちやすい。

バックスラッシュが凸配列カーソルキーの「↑」右、「¥」が「←」の左と、変態位置である上に接近している。
日本語配列なので、どちらもアサインする必要が有ったのかも知れないが、実用上はどちらかがコンビネーションでもかまわなかったのではないかと思う。むしろ、バックスラッシュのポジションは本来あるべき「右shift」があったほうが良いのではないかと思う。

タッチパッドは右クリックやドラッグ/スクロールもジェスチャーに含まれる多機能型。なによりサイズが大きくなった上にキーボード部と分離されて、うっかり接触してしまうケースが激減したのが大きい。

ただ、鬱陶しいのは、タッチパッドの左右両辺付近をタップした際に、「左(右)からスワイプ」と判定されやすいことだ。これにより「タスクスイッチ」や「通知の表示」が意図されず表示されてしまうのである。

肝腎....かどうかは分らないが(筆者にとって{笑})、PCとしての性能は、「1」を「当初レビューした時」とほぼ同じぐらいであろうか。昨今筆者はFullHDで動画を保存しないのだが、1280x720/最大17.5Mbpsの動画は問題なく再生できる。

「1」に比べてCPUの世代が少し新しくなっており、メモリ帯域やベースクロックが上がっていることもあるが、それらは僅かなモノにとどまっており、むしろメモリが4GBになっていることの影響が大きいのではないだろうか。

バッテリー内蔵となったことで、HDMI/VGAケーブルがどちらか一本あればTV/ディスプレイにつないで使える。ドキュメント作成などの軽い作業であれば、数時間は連続して使用できるのではないかと思われる。

しかしいずれにしろ、HIDとしてのI/Fは装備していないので、本体がソフトウェア環境に対して陳腐化すれば、無用の長物と化してしまうのは「1」と同じである....といってしまうと身もふたもないのだが。



D-SUB I/Fの旧型LCDにつないでみる
まあ普通に使えます(SXGAですけど)




(2018/7購入、2018/08/15記、2018/11/11脱稿)

 

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