NINTENDO NTR-034「バトル&ゲット! ポケモンタイピングDS」
発売元/製造元 任天堂/言迷(大陸製)
諸元
キー配列 JIS
メカニズム ゴム椀+メンブレン?/アイソレーションキー
備考 I/F:Bluetooth
Junk Point ジムに行くつもりは毛頭ない
以前にこのコーナーで餓鬼ドモ子供達の適応能力について言及したことがあったと思う。
その一方で、リテラシーが単一であった古の時代と現在では、どちらの方が人間の成長に適した環境なのかということも考えてしまうのだ。

今の日本の小学生で、何らかの携帯ゲーム機を持っていない人はほとんどいないのではないだろうか。
どの街角でも、どこの観光地でも、あるいは文教施設におらいても、周囲の喧騒に背を向けてひたすら画面をつつく小学生の姿が当たり前になっている。
現時点ではまったくの妄想ではあるが、社会における記述作業の全てをゲーム機型携帯端末とスタイラスとタッチパネルで行うようになったら....幼少時よりその手順に習熟した子供たちに対して社会の門戸は大きく開かれ、社会自体の運用効率も飛躍的に向上するのではないだろうか。

....だが残念ながら、現実はそう甘くはない。

「ゲーム脳」の概念に科学的根拠が希薄であることは多くの研究者が認めるところであるにしても、とりあえず必殺コンボ発動で鍛えたボタン操作とスタイラス遣いは、高速で正確なブラインドタッチのためには○○の役にも立たない。

そんなわけで少年少女は、いつかは大人のリテラシーという「通過儀礼」と向き合うことになる(しけべな意味ではなくて)。

筆者がブラインドタッチを憶えたのは、卒業論文という、正に「必要に迫られたから」という理由以外の何者でもない。後にげしや〜となったときに役に立ったのは、あくまで副次的産物なのである。
筆者の義父は、事あるごとに筆者に「かちかち山は火が付いたら走り出すもんですよ〜」という人生訓を授けてくれた。これはその典型的な例といってよいのではないだろうか。

キー配列
HHKBより若干面積は小さい
こちらはチルトはナシ
一方で、たぶん全てのタイピング未習得者にとって苦痛でしかないその学習を「遊びで楽しく」やってしまおうという試みも多く存在する。
この「バトル&ゲット!ポケモンタイピングDS」も、その一つである。

この手のタイピングソフトについては、「北斗の拳」や「カウンターストライクNEO」など、何度か体験したことがある。ただ、それは筆者がブラインドタッチを習得してから遥か10数年後の事なので、こうしたソフトの効用については実感できていない。

筆者が考えるに、ブラインドタッチ習得にあたって「手に憶えさせる型」は2つある。
ひとつは「目標のキーとホームポジションとの位置関係の型」、そしてそれが出来た後にもうひとつ「入力する語句に対応する動きの型」だ。

この2者のうち、非常に労力がかかり、かつ圧倒的につまらないのが前者だ。
しかしそれさえ習得してしまえば、こうしたタイピングソフトでも高得点が狙えるだろうし、まずはそこそこのスピードで、自分の思い通りの文章を書けるようになる。

つまりタイピング練習ソフトの善し悪しは、この「つまらない」所をいかに効率的にかつ楽しく習得させてくれるかにかかっているのだが、残念ながらその部分をすっ飛ばしてしまっている筆者にはその辺の評価ができないのである。

しっかりとしたグリップの脚がついている
SUM-3x2駆動・バラすんならY字マイクロ持って来い
そんなわけで、今からタッチタイプを学ぶ必要もなく、ポケモンにも全く興味のない故、おそらく本体を開封することがない筆者も含めて、意外な数の大人が、この「おまけ」キーボードを求めて購入ボタンをポチることになった....ようだ。
そう、DSソフトとしてはターゲットの子供たちにあまり...というかほとんど見向きもされなかった不良在庫が、最後の投げ売り段階で予想外の評価を得ているのである。iPhone/Android、あるいはPCのBluetoothキーボードとして。

「ポケモンブラック&ホワイト」の絡みか、本体は白と黒の2色が存在するが、どうやら黒は限定版のようで、一般に入手出来るのは白の方が多いと思われる。
キートップ/筐体上部いずれも、最近の任天堂製品によくあるマットホワイトで、オールプラスチック製の安っぽさはあるが、触った感触はしっとりと手になじんで悪くない。

それに意外に筐体の剛性が高い上に、シリコンゴム製脚の踏ん張りがかなりしっかりしている。この辺は以前にここで紹介した「SEGA PICO KIDS' keyboard」と同じく、子供の不器用で乱暴な扱いを想定したものと思われる。
背面にある固定ビスが全てY字タイプなのは、ちょっとやり過ぎのような気もするが。

Fn押しながらPowerOnでボンディング待機
PC,そして動作が多少怪しいがiPhone4Sでも使える
特殊ビスで解体できないため、現段階で内部構造は不明だが、タイプの感触からおそらくゴム椀+メンブレン構造を持つと思われる。
最近一般化してきたアイソレーションタイプのキートップを持つ。叩いた際に若干上下左右にキーがぐらつくので、パンタグラフ構造ではないと思われる。底付き時の「ぐにっ」という感触がいささか残念だが、キーは意外に打ちやすい。

「DS専用」を謳っているだけに、Bluetooth機器とのボンディングについての説明は何もないらしい(筆者は説明書を見ていないので分らない)のだが、Fnキーを押しながらPowerOnにするとボンディング待機状態になる。

キーは一般的なJIS配列で、文章を入力していても異和感がない。
Android/iPhoneでの使用も可能だそうだ。iPhoneの場合日本語入力はAlt+Spaceで切り替え可能である。
ただ筆者のiPhone4S+evernoteでは、文末が画面最下部に来たときに、カーソルの挙動が若干おかしい現象があった。再現性は不明である。

『大きなおともだち』が群がるのも分かる
なかなか良く考えられたキー配列
ファンクションキーがないので、PCでの使用はちょっとツライ場合が有るかも知れないが、必要最低限のキーが「有るべき場所に配置されている」ので、その点は非常に使いやすいと思う。

たとえば、PC遣いの筆者としては左端の「Tab/CapsLock/Shift/Win/Alt」がPCそのまんまで、加えてFnキーがキーボードから見て右手、カーソルキーの左横に配置されているのがありがたい。

おかげで(今日大抵のノートPCに装備されている)左Fnキーに邪魔されることなく「左掌底Ctrl」や「左Altショートカット」が使えるうえに、Delete/Rup/Rdownが、backSpace/カーソルキーとコンビネーションになっているにもかかわらず、片手で操作できるのである。
この辺はよく考えられたレイアウトと言わざるをえない(DSにTab/Home/Endが必要かは微妙なところだが)。

打鍵面はHHKBLite2よりやや小さいぐらい。スマホのお供として常時持ち歩くには、若干サイズが有る様に感じられるかも知れない。
しかしキータッチや筐体の剛性感を考えると、このキーボードという選択もアリの様に思われる。
なにより、信頼の置けるメーカーが出している「格安キーボード」だし(Made in 中華だが)。



おまけ(たち)

ソフトとDS用スタンド(ほぼ死蔵の予定です)



(2012/09/12記)

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