SEGA Kids' keyboard PICO
製造元 SEGA Enterprises
諸元
キー配列 JIS?/60keys
メカニズム 多分メンブレン+ゴム椀/ラバーキートップ
備考 I/F:PS/2
Junk Point 単漢字変換
子供が新しいことを憶えるのはあっという間だと思う。

何かの記念日にゲームソフトを買うと、プレイを始めてものの10数分でコンボを発動して必殺技を繰り出していたりする。
筆者のごときは「あんなものは一本道RPGだ」などと揶揄してみるのだが、その一本道とやらに足を踏み入れることすらおぼつかないのが現状である。
以前「人間の最大の力はその適応能力だ」というようなことを書いたが、彼らを見るにつけそのことを実感するのである。

だが一方で、その能力が当の本人を害することもある。

この社会には「ディファクトスタンダード」というものが存在し、多くの人々がそれに倣う事で活動を営んでいる。
その標準から外れた能力は異端としての価値を持つ一方で、日常生活を送る上で微妙な、だが決定的な障害となることもままある。

筆者が持つ特性というか、標準から外れたタト属性については自らが制御できる範囲で獲得したものである(と信じている)のだが、そうした選択肢を大人に握られている子供の場合、獲得する能力についての安易な選択は、それがシャレで済まない範囲に逸脱する危険性を内包しているのではないかと思うのだ。

このキーボードも、そうした微妙な境界線上に位置しているガジェッツの一つと言えるのではないだろうか。

キー配列
ファンクションキーはともかく
カーソルキーは...?"
ご覧のように、このキーボードはSEGAがかつて販売していた低年齢層向けゲーム機「PICO」のタイプ練習用ソフトに添付されていたモノだ。
筆者は例によって「開放倉庫」のワゴンに放り込んであるガラクタの山から\500で発掘したのだが、当然の如くソフトが付いていた。本体もないのにどうするというのであろうか。

....I/FはPS/2ポートだ。問題ない。

そんなわけでPS/2←→USB変換ケーブルに接続すると、あっけないほどにWindows機で動作する。
多分PS/2ポートに繋いでも同じであろう。

元々「親が子供に与える初めてのキーボード」という知育風味が香ばしい製品だから、QWERTY(JIS)配列の部分はきっちりと押さえてある。
この格子構造(?)が
意外な剛性感をもたらす
構造としては「チープ感ここに極まれり」といった構造だ。

キーもスイッチという感じが全くしない、「ポクポク」という正にオモチャっぽいクリック感のモノだ。
どちらかというとボタンを「押す」感覚に近い。

だが内部構造を見ると、筐体の下部が格子構造になっていてかなり剛性感がある。
おそらくは子供の乱暴な扱いを考慮した設計だと思われるのだが、この構造故にタイプによる沈み込みが鉄板入りのキーボード群(例えばIBM Model-Mシリーズとか)と同レベルに感じられるというのが何とも凄い。

むろんサイズは子供向けでパームレスト(?)も極めて狭いし、シリンドリカルスカルプチャなどといったものとは全く無縁のフラットな鍵盤面なので、長時間の使用には向かないだろう(当たり前か)。
半角/全角は英数/かなで切り替えられるが
...が、変換位置はカーソルキーがないと

動画はこちら

実際のタイピングはどうか。

感覚的にはキーサイズ/ピッチは以前に紹介した小型キーボードのいくつかと同様な88%シュリンク程度なので、慣れればそれほど難しいわけではない。

だが、かなり省略されているキーが、特に日本語を入力する際に大きな障害となる。

CTRL/Alt/F**といったキーがないのは当然として、もっとも特徴的...というべきところはカーソルキーがないことであろう。
それゆえ、連文節変換は不能で、単漢字でちまちまと変換していくか、誤変換の連続を承知の上で自動変換をONにするかの非効率な二者択一を迫られるのだ。

製造は20世紀末

「幼児向け」と割り切って漢字変換機能を使用しないのならそれでもよいと思うのだが、メーカーとしてはもう少し上の年齢層(小学校中学年あたり?)までの使用を促そうと欲張ったのか、いずれにしてもやや中途半端な印象は否めない。

もっともソフトのパッケージを見る限り「これを漢字で書くとどうなる?」みたいなお勉強型のソフトのようだったから、一字だけ変換出来ればそれで桶ということだったのかも知れない。

Webで検索をかけると、以前にポンバシで放出されたことがあるらしい。

実用している方はおられるのであろうか。



(2011/09/03記)

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