Microsoft Ergonomic keyboard4000 v1.0(KU-0462)
製造元 Microsoft Corp.
諸元
キー配列 141keys+ズームシャトル/OADG
メカニズム ゴム椀+メンブレン/パンタグラフ
備考 I/F:USB
Junk Point 立派すぎて肩がこる(筆者私見)

以前から筆者は「Ergonomic keyboardを使うと肩がこる」と繰り返し述べてきた。
と同時に、「なら何故に....」と言われるほどに、Ergonomic keyboard をちょくちょく買っている(特に最近)。出逢ってしまうのだから、致し方のないところなのだが(?)。

高級感漂う箱(c)
だが投げ売り状態w

本機を捕捉したのはまたしてもハードオフN浜店、本体は1.68野口だった。
結局のところネタ拾い...ということになってしまうのだが、それにしても各社で同じ「エルゴノミック形態」とひとくくりにするのもどうか?と思える部分もある。

以前からも述べているように、現段階では筆者が ここに書いた「究極のergonmic」に向けてベンダー各社が試行錯誤を行っている状況である(と、筆者は思っている)。
なので、様々な形態が発売されるのは半ば必然とも言えるわけだが....現在に至るも、ディファクトスタンダードとなるガリバーは現れていない。
例えコンセプトは優れていても、独自の形態に慣れるめんどくささが普及の妨げとなり、様々な形態が生まれては消え...という事態を生んでいるのだろうか。

(上)配列全体。メディアキーいらね
(左下)チョット届きにくい/(右下)Chiconyと思われるスイッチ

MicrosoftはNatural multimedia keyboardから始まり、現在のSculpt ergonomic keyboardに至るまで、微妙に変貌を遂げながら、"ergonomic"という形態のキーボードを生産し続けている。今日キーボードというHIDが緩やかにシェアを下げている中で、これはなかなかに頑固...というか、希有なことではないだろうか。 細かな変更はあるが、これまでのMicrosoftエルゴノミックキーボードのラインナップを見る限り、そのコンセプトは一貫していると思える。

肘を内側に絞ることなく、また手関節(手首)の伸展(背屈)と内旋(親指側を下になるように旋回する)を伴わない『自然』な姿勢で操作する、ということになるのだろう。
そのコンセプトが、「中央部分が隆起し、手前が高くなるように逆スラント」という形態を継続して取らせていると思われる。

キースイッチは、Natural keyboardと同じ角柱スライダーのメンブレンタイプ.....と思ったら、円柱スライダの少し違うタイプだった。(Model#:KU-0462/2012-08)。型番から推測してChicony製と思われる。

タッチは可もなく不可もなくという感じだ。ほぼ未使用と思われる個体の為か、スライダーのきしみや、ひっかかりは特にない。操作音も割と静かだ。
また、パンタグラフ機構を持たないmembrane/ゴム椀のキーボードにありがちな、くぐもった「ぐにっ」という触感も比較的抑えられている。ここら辺は、さすがにメジャーになったキーボードベンダーの製品という気がする。
しかしキレのよいタクタイル感や、軽荷重/ショートストロークといった感触を持つ今日のキャパシティブ/メカニカル各スイッチを持つ(主にゲーミング用途の)キーボード群と比較すると、一昔前の打鍵感という気がする(ヴィンテージ・・・というのとは、また違う意味で)。

筆者がしばしば述べる、ショートカット使いの際の左alt/ctrlの位置についてはやや左寄りに過ぎる感じがある。url入力ダイアログボックスに移動する際に、ちょっとひっかかってしまったり、カタカナ変換にやや難があったりするのだ。

(上)逆スラントを作るリフトスタンド
(下)ご覧の通り手首が掌屈になる

上記のような細かな点を踏まえた上で、文章入力ということに限っていえば、「ergonomicキーボードが苦手な筆者でもわりと打てる」キーボードであることは意外だった。
所詮は慣れの問題なのかも知れないが、本来筆者が好まない中央部のうねりからくる「両肘の開き」姿勢と、逆スラントをもたらすパームリフトによる「手関節の屈曲(=掌屈)」姿勢が組み合わさると、個々の姿勢のみの設定では指を持って行きにくかったキーに、あまり力を入れずに指が届くのである。
....いや、これが当たり前、本来の姿であって、筆者が今まで使っていたergonomic形態(パームリフトを使わない、など)が、不完全なだけだったのかとも思われ、ベンダーやエルゴノミック使いの方にとっては「何を今更」ということなのかもしれない。まあ、「6」が左側なのはどうしても納得できないのですけどね。

この手の、というかこの時代のキーボードらしく、mediaキーが満載、かつファンクションキーのデフォルトには主にWindowsで使用すると思われる機能へのショートカットが割り当てられている。
これらのキーは...「自分大丈夫す」。ええ、筆者的には。
いや、まだ専用のドライバを入れなくても動作する(そりゃOSベンダーだから)独立したファンクションキーLockキーがついているだけ良心的に思えますけどね、そもそもホームポジションから手を離したくない筆者にとっては、慣れ親しんだ配列から特殊キーに手を伸ばす習慣を習得する意欲が湧かないのだ。

(上)「例のスライダ」
FnLockは標準ドライバで動作


それに加えて、本機中央部には何かと物議を醸し出している(いた)と思われるジョグスライダが装備されている。
「ズーム」しかできないとされるこのスライダに関して、こちらの方が、このスライダの機能をスクロールに変更する方法を紹介しておられた。

先達のご努力は敬服に値する。....と同時に、このスライダを使って「ズーム」を頻繁に行っておられる方がどのくらいおられるのか、本機所有の方々に聞いてみたいところだ。
Trackpoint使いの筆者としては、パームレスト上の「戻る」「進む」ボタンと本スライダの場所に、スティックポインタを装備するのはどうだろう...と妄想してみたりする。

Natural Ergonomic Keyboard 4000の型番はB2M-00010/00028/00029などいくつかあるようだが、Amazonで確認すると、Microsoftのロゴが現在のものになっていたり、ホーム/検索/メールキーの説明が英語表記になっていたりと、本機とは微妙に違う点がある。ちなみに本機ラベルには「KU-0462」とあるが、これはおそらくB2M-00010相当のものではないかと思われる。

で....割と打てるのは打てるのだが、やはり長時間(といっても休憩をはさみながら6時間程度)使用していると、肩こりと頭痛が生じてきた。
結局筆者は、エルゴノミックというキーボード形態に対して耐性が低いのかも知れない。...ってそれ、機械に歩み寄られてないし。



--- おまけ ---


裏面
ティルトスタンドは一応ついている


(2017/09/24記)

Keyboard Junkyリストへもどる

Junk Junky