g910
Logicool G910 ORION SPARK
発売元/製造元 Logitech GmbH
諸元
キー配列 108key/JP
メカニズム OMRON Romer-G tactile mechanical contact switch/coil spring(key stroke/actuating stroke/Weight for operation:30/15mm/45g±20g/)
I/F USB
備考 -
Junk Point 赤TKBも思いのまま

先日ニュースサイトを眺めていて、ある記事に目が留まった。
中国国内の雑誌に、日本を手強いと思うかどうかという記事があったそうである。
その中で、「手強い」と評価する根拠として「最終プロダクツの生産から早々に手を引き、工作機械の生産分野にシフトして生産業の根幹を押さえている」点を挙げる論者がおられた。
これはおそらく一般的な視点なのではないかと思うのだが、一方でそうした現在の日本が得意としている分野も、実は安閑としていられない側面もある。

別のTV報道で、日本の産業用ロボットが、アジア向け市場において、韓国や台湾といった後続国メーカー相手に苦戦しているというものがあった。
その原因が、装備しているHIDにあるというのだ。

従来の生産現場で、諸元入力を行うのはキーボードが一般的だったと思われるのだが、今日産業新興国においては、キーボードの操作に習熟していない作業員が多くなり、そうした人々が使用するデバイスはタッチパネルとフリック入力になってきているとのことなのである。
尤も日本の工作機械産業界でも早晩こうした流れに対応するのは確実と思われるのだが、Keyboard Junkyの筆者としては、ことほど左様にマン・マシンインターフェイスの変遷が急速に進んでいるのかと、隔世の感を抱かずには居られない。

現に今筆者はスタバのすみっコに陣取り、MemoPad7+BTkeyboard for Nexus7でこの文章を書いているのだが、店内を見渡すと同様の電子機器を使って物書きをしている方々の半数以上はキーボードを使用していない。伝え聞くところの「学生の多くがスマホやタブレットでレポートを書く」「キーボードを使えない(使わない)学生が多数派になりつつある」というのも、あながち誇張ではないのか....と実感しているところだ。

一世代で終わったfacet keycap
tiltを立てない方が指の運びがスムーズ

で、物理的あるいは非物理的いずれにおいても生産現場のメインストリームから外れつつあるメソッドやデバイスが向かうところはというと....カルチャーやアミューズメントということになるのだろうか(いや、筆者がいつも言う「業務用機器の陳腐化→現役引退→おぢゃんかーに拾われる」という図式とはちっとちがうとは思うんですけどね)。

キーボードの入力に対する特長である「Speed」「Acullacy」「Endurance」を生かす現場....それがゲーミングと言うことになるのだろう。
今日新機軸を以て登場してくるハードウェアキーボードの多くがゲーミングにフォーカスしていることを考えれば、上記の考察はあながち的外れではないはずだ。たぶん。

だが、そうしたゲーミングキーボードと、e-sports....いや、それどころかPCゲームに全く無縁である筆者との接点はほとんどない。
そもそもが限られたニッチ市場であると思われる上に、求められるハードウェアスペックが高杉であることも重なり、畢竟市場価格も一般人はおろか、逸般人にとってもおいそれと手の出せる....というか、手を出そうと思えるお値段ではなくなっているのが現状だ。

そんな中、筆者はしぽぽさんの顔本書き込みで、アマゾンの「Logitecタイムセール」を見た。

メーカー希望価格¥24,700のところ、今だけ¥11,200offの特別価格¥13,500。
あははは、わけがわからないよ。
通常価格なら絶対に手を出さないだろうし、半額近くになったとはいえ、ふつうの感覚からすれば「ほちい」と熱望していた人でない限り、まず逝く価格ではないだろう。うん、間違いなくそうだ。

プログラマブルなイルミネーション
文字ごとにも設定可能

.....ポチっちゃいました。

これが通常のCherryスイッチ、あるいはその互換スイッチのモデルであれば、まず購入は躊躇しただろう。如何に筆者がこれ以外所持していないDQN....いやいや、キラキラきぼどであったとしても。
Romer-Gという、久々に新登場した日本メーカー製スイッチを採用していることが、筆者の物欲をちょこっとかき立てたのは間違いない。
タイミング良く(悪く?)このセールサイトをみる直前に、Colsair K70 Rapidfireを見ていたことも、気絶した遠因の一つといえるかもしれない。

到着しての感想。「デカい」
筆者のデスクトップ環境からすれば、同社のRomer-G採用の別モデル「R610」ぐらいがちょうどいいのだが、残念なことに今回のセール対象外だったから仕方がない。モデル的にも先行品であるR910のほうが、値がこなれているということだったのだろう。

かくして、パームレストを装着し、デスクからはみ出さんばかりの本機を打ってみた。

ティルトスタンドは一段。これがかなり低めだ。ティルトを立てないと逆スラント(奥が低い)になる。
筆者が慣れ親しんでいるのは手首が折れる手前が低いスラントなのだが、今試しにティルトを倒して打ってみると、このキーボードに関してはこちらの方が打ちやすく感じる。
これはもしかすると...このキーボードのfacet keycapとの相性なのかも知れないと思った。ティルトを立てた角度だと、指のキートップへの当たりに微妙な違和感があり、逆スラントで指を伸ばすと、その独特の形状にすっぽりと指が「ハマる」感じがあるのだ。

噂の(?)ROMER-Gスイッチ
走召ショートストロークというほど扱いにくい代物ではない。快適

Romer-Gに関しては、約1.5mmというショートアクチュエートストロークが取りざたされているが、以前にも書いたように、薄型のパンタグラフkbではこのぐらいの動作ストロークは一般的なのではないだろうか。少なくとも、筆者はコンタクトが浅すぎて使いにくいということは全くなかった。
そのうえ打鍵音が静かなMX赤軸、あるいはALPSスイッチのような上品な打鍵感があり、筆者のような文章入力のみであってもかなり高速にタイピングできる感触だ。

ただし....当然ながら筆者には無用のプログラマブルキー(G1〜G9)は筆者にとっていまのところ邪魔なものでしかなく、特に「半角/全角」の横にあるG1(情報によれば、これでも位置が改善したとのこと)と、左Ctrl横のG5はひたすら誤爆の対象となっている。そして小さいBSキーもミスタイプ大王の筆者としては辛いところだ。

事ほど左様に、筆者が使ってみたところでは、 この国産キースイッチはCherry/互換スイッチ全盛のハイエンドキーボード群の中にあって、その上質なタッチゆえにより長時間の文章入力に向いているスイッチと言えるだろう。
2017/02/12現在、Logicool(Logitech)以外のメーカーからは採用機種が発売されていない模様(Creative Mediaからは発売予定とのこと)だが、筆者としては是非「一般人向け」モデルが発売されることを望みたい。A、S、D、Wなど特定のキーだけぶっ叩いたりしないユーザーにとっては、コンヴェンショナルなqwerty配列ASCII/OADG配列の鍵盤がありがたいのだ。
....いや、BSやdelは連打しますけどね。実際は。




こういう使い方ではないが....


(2017/03/08記)

 

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