F6962KB1A(CA06673-B401)
製造元 Fujitsu Co.ltd.
諸元
キー配列 JIS配列 145keys(うち18keyはロック状態)
メカニズム membrane?/板バネ
備考 I/F:PS/2
Junk Point にこらでないよ
機器製造企業の思惑が多分に含まれているとはいえ、情報端末のユーザーインターフェイスが統一の方向に向かうのは、使用する側にとっても恩恵の多いことには違いない。

かつてワープロ専用機が割拠し、多くの独自規格が乱立していたPC黎明期の80年代から20数年を経た現在、少なくとも個人ユーザー向け機器のハードウェア入力装置はほぼ数種類に統一をみているといえよう(メディアキーなど細かな違いは除外するとして)。

企業ユーザーにおいても、特殊なハードウェアに習熟するための(ある意味無駄な)時間を節約するという点において、共通プラットフォームのメリットは大きい。システムを構築するメーカーにとっては、囲い込みをソフトウェアの差別化のみによって行わなければならなくなったということで、より厳しい競争になったということであろう。
赤囲みのキーは不動
外すと首がバトルロワイヤル状態ヽ(゚ワ゚;)丿

さて、一方で規格の統一化はデメリットもある。
多くのユーザーがその一定の操作方法に習熟してしまうと、独創的なアイデアがハードウェアに導入される機会が少なくなるということだ。

現在殆どのキーボードで採用されているQWERTY配列からして、それを全く操作したことのない人には難解至極なシロモノであろう。
にもかかわらず、140年も前に策定された規格を、「慣れているユーザーが多い」という理由だけで、今もなお採用し続けなくてはならないのである。
今日タッチパネルを用いたフリック入力が新たなる可能性をもたらしているが、これが可能なのは市場に一定の影響力を持つ企業が製品化したからであり、もし全く無名の中小企業の一技術者が提唱したとしても、ここまで迅速な市場の反応を得ることはできなかったのではないだろうか。

規格が統一されるもう一つのデメリット、それは「面白みがない」ということだ。

コレクターにとって「レア」であることは、収集動機の中で最大、というか唯一のものであろう。
特定のジャンルにおいて、全てのアイテムが金太郎飴状態であったら....そのようなものにコレクターが存在しうるはずもない。

メカはメカニカルスイッチらしい
キートップは軸分離型

さてそんな中、またしても我々一般人には全く言迷のキーボードの登場だ。捕獲場所は今回も「PCNet」大須店の軒先である。

何枚かがコンテナに突っ込んであり、そのうちの殆どは日焼けかヤニ焼けで黄色く変色していたのだが、2枚だけどうみてもほぼ新品....と思われる物があったので、その1枚を拾い上げた。

普段OADGキーボードを使い慣れた普通の人が、最初手に取ったときまず目に飛び込んでくるのはスペースバー手前のShiftキーとおぼしきものであろう。

てっきりアレだと思ったから、店員さんに

「今時『親指シフトキーボード』なんて珍しいですね」

とたずねたら、

「そうですね、多分一般法人さんのリースアップだと思うんですが」

という返事が返ってきた。

「Vistaってドライバ自前で持ってたっけなぁ...?」などと思いながら家に戻り、包装を解いてみたら、何か違う。
メインの文字キーはどう見てもNICOLA配列ではなく、普通のJIS配列なのだ。

しかもその親指シフトキーを押してみると....「をろ、動かないぞ」

故障かと思い、キートップを外してみたら、何とスライダにロック用の透明プラリングが嵌っていた。何なんだコレは....

このプラリングは上記画像の赤枠で囲んだキーにはまっている。つまりは以前のユーザーはこの部分を使用しない設定のシステムで使用していたと言うことなのだろう。

簡単に外れる割に
カッチリとしたハメコミ&2kgの重量級
そもそもこのキーボード、カナ刻印があるにもかかわらず、日本語関連のファンクションキーが「カタカナ」キーしか存在しない。「無変換」および「(左)Ctrl」にあたるキーは無刻印でロックされているのだ。
Vistaの日本語キーボードドライバで使用すると、「Inst」キー直下の「Home」にあたると思われるキーでIMEのOn/Offが可能なのだが、どうも本来は日本語、特に漢字混じりの文章を入力するようなセッティングになっていないのではと思わせる。

分解はネジが一本もなく、上部カバーの9個のツメを外すとアッサリと内部にアクセスできる。

基板には鉄板が使われていて、総重量は2kgとかなりどっしりとした感じだ。
(壊れるともったいないので)基板の内部まで分解していないため詳細は不明だが、キートップを外してスライダの中から覗いた限りでは、メンブレンスイッチを金属の板バネが押す仕組みになっているのではないかと思われる。つまりコレと同じ仕組みだろうか。

もっともタッチはかのCherry白軸に比べてかなり軽快だ。
押し込んでいくと中間から少し押し込んだ所で微少なクリック音が聞こえる点からすると、ひょっとしたら金属接点のメカニカルスイッチなのかも知れない。
いずれにしても入力ツールとしてはかなり疲労が少なく、高速で打鍵が可能なげしや〜向けのキーボードと言えるだろう。(Delキーに相当するキーが無いのは結構辛いが)
(左)言迷のFnキー群/(右上)日本語はHomeキーで
(右下)親指シフト....なのか?
....とここまで書きながら、平行して検索してきたら、どうやらFMV-KB101と同じ物らしい(→メーカーサイト)。接点もどうやら金属板メカニカルスイッチが合っているようだ。

FMV-KB101は(そして恐らくこのF6962も)、PRIMERGY6000やFMV-DESKPOWERなどでOASYS Kシリーズの端末エミュレータを使用する際に使われるものだったとのことだ。
PRIMERGY6000シリーズの発売終了が2007年で、このキーボードの製造時期が2007年9月だから、ギリギリ符合する。

あちらの画像と照合していくと、不明だったキーアサインも判明する。どうやらHomeキーの右のロックされているキーがDelキーのようだ。ありがたい。

それにしても、このキーボードの型番「F6962KB1A」では、全く検索に情報が引っかかってこない。

なぜキートップの刻印が大幅にカスタマイズされているのか(ユーザーの用途?)や、ScrollLock/NumLockキーにインジケータが無いのは何故かなど、細かい所を追求していくと色々と興味の尽きない巨大キーボードである。




(2012/02/27記)

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