DSI DCK-LH104v2 Left-handed Keyboard
Distributed/Designed by: DSI
諸元
キー配列 US/104keys
メカニズム Cherry MX 赤軸
備考 I/F:USB
Junk Point ビル・ゲイツ養成ギプス
資料によると、全人類の7〜15%が「左利き」であるという。

そして利き手は社会的に生み出されるものではなく、生まれつきであるという複数の研究結果が報告されている。
一方、後天的に利き手でないほうを使えるようになるケースももちろんある。

筆者は生まれつきは右利きであるのだが、小学校1年生の時、実業団野球(草野球に毛が生えた程度の最下層地方リーグだが)でキャッチャーをやっていた父に教えられて野球を始めた際に「左投げ左打ち」を選択して以来、若干だが左も使える能力を身につけている。打撃はは王貞治、投球は高橋一三に憧れて...というと、お歳が知れてしまうが。
当然のことなのだが、筆者が所属したチームにネイティブなサウスポーの選手はほとんどおらず、対戦相手も右投手がほとんどだったので、試合には割と重宝がられていたのだった。

直上から鑑賞すべし
最大の特徴である左端
カーソルキーが....(チモくて涙目)

このように、個の人間同士が対戦することで身体能力や技能を競う場では、希少な左利きの優位性が顕れることもある。
しかし、実社会ではどうだろうか。....と、それは検証するまでもないだろう。

筆者をはじめとする多数派のネイティブ右利きがまず意識をせずに日常を送っているこの社会には、右手で操作をすることを前提としたツールがあまりにも多いわけで、「だから、そうした環境での生活に常にストレスを感じておられる左利きの方々は、右利きの方々に比べて平均寿命が9年短い」という、なかなかに極端な研究発表をされている方もおられるようだ(検証されていないが)。

もちろん、左利きの方用でなければならないツールもあるだろうし、実際に作られているツールもこの世には存在する。
しかし、もしかすると左利きの方は、世に溢れる右利き用のツールに四苦八苦しながら、おおむね環境に適応されているケースの方が多いのではないだろうか。


右端
こちらは普通にCherryKBぽい

例えばこの「DSI DCK-LH104v2」である。
メーカーサイト記事によれば、本機は「左利きのタイピストに最適なキーボード」とのことである。
だが、本当にそうなのだろうか。ネイティブな右利きの筆者がたたいてみると、ついそのように思ってしまう。
QWERTY配列については右利き/左利きに共通で動かさないものとして、筆者が上記のように感じるのは、本機の特徴である、左側に配置されたカーソル操作部と10キー部だ。

10キーとカーソル操作部は配置が通常のキーボードと逆になっていて、これは操作の頻度からしても理にかなっているように思われる。

一方で、10キーの配列も右利きの通常キーボードと同じになっている。
ということは、右利き用キーボードの10キーとは違う指(人差し指←→薬指...など)で操作をすることになる。

みんな?大好きMX赤軸
これで左利き用でなければ(火暴)


文字キーのブラインドタッチは、各キーを担当する指を分けることが基本であると思う(もちろん一本指ブラインドの方などは例外だが)。
とすると、理屈で考えれば、10キーなどは右利き用と線対称の鏡像配置にしたほうが、本来はより左利き用となるように思う...のは筆者だけであろうか。

何が言いたいかというと、このキーボードは実はメーカーが謳っているように「ネイティブな左利きタイピストに最適化」されたのではなくて、「普通の(右利き用)キーボードや10キーパットに慣らされた左利きタイピストに、ちょっとだけ操作しやすさをもたらす」ぐらいのモノなのでは....と感じるのだ。

で、言うまでもないことだが....右利きの筆者が本機を操作した時の違和感は半端ない。
とくにギクシャクするのが、カーソルキーの操作だ。
筆者はプルダウンメニューをalt+上下カーソルキーで操作することが多いのだが、身についている右手でのコンビネーションキーがなかなか左手側にうつせない。
またそれ以前に、日本語入力に必須の文節指定のところでついつい反射的に右手を動かしてしまい、非常に高頻度で「あれっ?カーソルキーは?」ということになっている。

そんなこんなで、タイプフィール自体はCherryMX赤軸の軽荷重さが快適で、しかもCherryオリジナルの赤軸キーボードにみられるスペースキーの渋さもなく、よくできたキーボードのはずなのだが.....久しぶりに打鍵で肩こり頭痛を起こしている次第だ。



裏面


(2020/04購入、2020/04/06記)

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