DSI KB-8861 Financial Keyboard
Distributed/Designed by: DSI/ ユーエーシー(株)
諸元
キー配列 US/101keys....はウソ、基部69 + ファンクション45keys = 114keys + touch pad(2 Buttons)
メカニズム Cherry MX 青軸(無刻印キーは白軸)/Stroke: 2.5mm±0.5mm/operating pressure: 65gf
備考 I/F:PS/2x2
SIZE: 330W x 245D x 60H
JAN: 4510387910305
Junk Point 変換アダプタは自前で用意しました
本稿をしたためている現在(2020-03-31)、お隣の大陸大国に端を発したとされるCOVID-19が世界中に拡散している。
欧州のVIPや、本日逝去が報じられた日本のコメディアンなどをはじめ多くの方がその毒牙にかかっており、いまだ予断を許さない状況だ。

多くの人々がひしめき合う都市部と比較して、空間のほうが多い筆者の居住区域ではいまだ感染者の報告がないとはいえ、その社会的影響は様々な領域を蚕食しつつある。期末/期初ごとの歓送迎会などの会食や仕出しが売り上げの大きな部分を占める地元の飲食店や、零細のイベント企業などは、こうした過疎地域であっても、いやむしろ過疎地域だからこその重い打撃を食らっているのが現状のようだ。
筆者が属する医療/介護業界は、収益という面での影響はクリティカルではないものの(それでも来所される患者さんの数はかなり減じている)、クラスターの発生源となることを防ぐため、常にない緊張を強いられている。とくに発熱されている患者さんを(たとえほぼ間違いなく単なる風邪だとしても)、ほかの方々から離隔しつつ対処するための労力は、想定していた以上と言わざるを得ないのである。

直上から鑑賞すべし
国内ではユーエーシーが販売していた
今は亡きクレバリー/高速電脳でも取扱があった模様(税込1.38諭吉前後)

そのような緊張した日常の一方で、社会の動向に留意すべき別の側面がある....ことは、皆様もお気づきのことだろう。
そう、金融の冷え込みである。

ここ数年の異常ともいえる金融緩和により、市場に通貨が溢れた結果、なんとか日本の景気動向は緩やかながらインフレ含みで上昇を維持し続けてきた。
それが今回の「ヒト・モノ・カネ」の全地球的寸断によって、本来なら安定を維持すべき銘柄までも含め、株式市場全体が雪崩を打って急激な下落に転じている。

これを「一時的な急性症状」とみるか、「重篤な疾患」と考えるかは、経済アナリストの間でも見方が分かれているようだ。
しかしどうやら前者とみている一般の方々は多いようである。この機会に証券取引を始めようとしている方々が口座登録に殺到し、開設までに通常の数倍の時間を要しているとの情報があったのも、そうした見方から首肯しうるものといえよう。なかなかに経済活動というものは、社会危機や民衆の不安とは別領域で進行するものであると思った次第だ。

青軸と白軸(無刻印の用途は不明)

で....そのような「活動」に参加する時間も、ブチかます「実弾おぢぇぢぇ」も、狙いを定めるための「目知恵」もない筆者は、せめてそうした切れる方々の真似事でもしてみようと、本機「KB-8861 Financial keyboard」を購入するのである。

....で、メーカーさんも本機を「Financial keyboard」と呼んでおられるのだが、本当にこれは取引所などでトレーダーに使用される「金融市場向けデバイス」なのだろうか。

形状は御覧の通り、文字入力を行う下半分と、数字/ファンクションの上半分に分かれている。
その結果、フルキーを備えながら、幅は10キーレスキーボードと同じである。我々素人が持つ情報/取引端末のイメージに合致するような気もする。

筆者所有のBloomberg keyboardと比較してみると、概ねではあるが、bloombergにおいて色付けされているキーが、上半分に配置されている。しかも....一部は重複する形で(カーソルキー/PgUp/PgDown/Insert/Delete/home/End)。
とすると、あくまで想像でしかないのだが、これらの上半分のキーは、トレーダーにとって頻用されるのではなかろうか。例えば、このキーボードがなんらかの機器に組み込まれる形で、常に使うのは上半分だけ....という可能性もある。
そう考えると、本機にティルトスタンドがついていないのも納得できる。机上に設置すると文字キー部分は水平となり、一般のスカルプチャに慣れている手には、逆スラントがかかっているように思えてけっこう違和感があるのだ。これだけ大仰な鍵盤だが、実は文字入力部はおまけなのかもしれない。

タッチパット
クラシックな2ボタン式

しかしおまけにしては、無印の2キー(白軸。配線があるかは不明)を除いてすべてにMX青軸をおごるなど、若干無駄に豪華な仕様になっている。一般的なUS配列とは最下段のキーが違っているのだが、上記の重複キーが存在するおかげで、日本語の入力にも割と不自由しない。というか、けっこう快適に入力できる配列になっている。

そして、筆者などにとってはまさにおまけであるタッチパッドだが、発売時期が2006年ごろのハードということもあり、2本指スクロール/ピンチイン/アウトなどのジェスチャーには対応していない。あくまで2ボタンのマウスだ。

このタッチパッドを挟んで、左にページスクロール/カーソルキーブロックと3x4にブロック化されたFnキー、右にテンキーが配置されている。
これらのブロックは、左右両手を使って同時に操作することを想定されているのだろうか。そもそも普通のキーボード操作では、カーソルのコントロールを左手で行う機会はないように思う(Ctrlショートカットも含めて)。そう考えると、これはなかなかにイレギュラーなレイアウトではないかと思うのである。

筆者が落札した個体は、永らく死蔵されていたせいなのか、使い始めはやたらとチャタリングが発生していたが、この文章を打っていくうちにいつもの青軸の快適なタイプフィールに戻っていった。
もっとも....一向に口座開設の審査が下りてこないブラックな筆者としては、本機最大の特徴である上半分がほとんど無用の長物で、下半分だけあれば十分の気がするのだが。



裏面
ティルトはナシ


(2020/03購入、2020/03/31記、2020/04/06脱稿)

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