IBM 5576-C01(後日談)
製造元 IBM Corp.
諸元
キー配列 106 OADG + TrackPointII
メカニズム membrane/バックリングスプリング
備考 I/F:PS/2(66G8362:x2/66G8363:x1)
Junk Point 2.1野口の部品鳥
上が今回購入の無反応key有りおぢゃんく
下がTPkey死亡おぢゃんく

筆者がちまちまと買いあさっているキーボードの中で、現在最大勢力となってしまった「IBM 5576-C01(66G8362/63)」。

筆者手持ちの4台のうち、1台はTrackPointが暴走し、もう一台は左クリックキーのフレキが断線してしまった。というわけで、仕事でほぼ毎日12時間近く叩き続けている現役機(実はコレが最初にネオテックで\3000で買ったおぢゃんく品)以外は、予備機が一枚だけといういささか心許ない状況になってきた。

もはや仕事場に不可欠な存在になってしまった、このTrackPoint付フルキーボードだが、いかんせんIBM5537/5538に付属して発売されたのが1994年。
IBMの年代物キーボードの中では新しい方とはいえ、「防弾キーボード」Enhanced101のように、今でも作り続けてくれるメーカーがあるわけでもなく(EnduraProは多分これのUS配列版だが)、たまにイ意に出品されると、かのA01といい勝負なくらいの爆裂価格につり上がってしまう。
現に筆者は昨年末あたりから何度か完動品落札を試みているが現在3連敗中で、しかもいずれも終了価格は1.5〜2諭吉と、コレクターズアイテム化しているとしか思えないような状況である。

そんな中、「最下段1列が無反応」というおぢゃんく品が出品された。開始価格¥100。
いきなり入札が入っているが、ここは部品鳥に徹してなんとしても落しておかねば....というわけで、¥2kで落札。
やや負け組ぽな感もあるが、まあ仕方ない。


到着したのは、PS/2が1本タイプの66G8363。(画像上)
IBM5537添付はこちらのタイプと思われるので、多分市場には2本タイプの8362よりも多く出回っていると思われる。

上にも書いたように、筆者が最初に在りし日のネオテックで保護したのは、二叉ケーブルの66G8362の方だった。
結果的に導入しやすい方を先に手にしたことが、筆者をしてここまでこのキーボードに没入させる遠因となったように思われる。

66G8363にはオプションとして「PS/2マウス/キーボード分岐ケーブル」が存在していて、IBM5537/5538に接続するにはこのケーブルを必要とした。
勿論、今日そのようなものが容易に入手できる筈もない。ネット上にはピンアサインを調べて分岐ケーブルを自作する手順を解説している猛者もおられるようだが、ミニDINを購入しただけで絶賛放置中の筆者の技術では、とうてい自作など不能であろう。

ヴィンテージキーボードを扱う店舗が殆ど無くなり、オークションでも出品されることが希になった今日では、贅沢も言っておれない。
そういう意味では、筆者の手元にある66G8362が装備する都合3本の2又ケーブルは、今となっては貴重なものなのである。
一列外し(実際には矢印キーだけでOK?)

....まそれは置いといて、さっそくニコイチ作業に入る。

この時代のデカイキーボードらしく、分解はきわめて簡単。
裏面奧に4本の5mm六角タップビスがあり、コレをゆるめれば上部フレームが外れる。
ただ、外すときに最下段一列が引っかかって、ムリをするとフレームが折れてしまいそうな心配があるので、念のため一列だけ外すと作業しやすい。

.....と思っていたのだが、実際にやってみると、上部フレームがひっかかるのはTrackPointの左右キーと、左右のカーソルキーだけのようである。
したがって、この2つのキーを外し、後はTrackPointのキーを押下げて無理な力がかからないようにしながら上部筐体を手前に持ち上げると、よく知られた「バキャッ。」という、「やっちまったか?!」ぽな音を残してアッサリと外れる。

基板の表裏
上部プラ基板と鉄板はプラ融解リベット締めで分解困難

筐体を開けてしまうと、後は特にネジ止めされているわけでもなく、ケーブルを順次外していくと、各パーツが分離できる。

ただし以前にも書いたが、日本製の他のIBM5576シリーズと違い、基板上部と下部鉄板がプラのリベット締めになっていて、中のメンブレンをメインテナンスするためには、この構造を不可逆的に破壊しなければならない。

某有名キーボードサイトの管理者さんは、破壊の後、開けた穴にボルトとナット止めを施されていたが、A01のお掃除の時に、メンブレンの位置あわせがかなり微妙なモノであることを筆者は身を以て体験している。

また、先に書いたTrackPointのスティック死亡個体への移植だが、こちらも同様に上部プラ基板に接着されているようで外すのが困難なようだ。

そんなわけで、今回はとりあえず、分離できるTrackPointの左右ボタンを摘出し、移植することにしよう。


左右どちらかのフックを押し込むと外れる
ロットによってフレキも微妙に違う?(右が死亡個体のフレキ)

TrackPointのスティックはキーボード基板上に装着されているが、左右クリックボタンはキーボード基板から独立していて、下部筐体に左右2本ずつのフックで固定されている。

以前から使っている方のボタンはアッサリ外れたので、ただ溝にはめてあるだけなのかとばかり思っていたがさにあらず。今回開けてみたらボタンのフックが折れて筐体内に残っていた(汗)。

現在故障中の個体(黒いフレキの方)は、このボタンにつながっているフレキが根元あたりで切れているらしい。現に筐体から外して、曲げを伸ばしてみると導通してボタンが反応するが、筐体にセットして組み直すとまた無反応になる。
セットされた状態では、かなりキツく折り曲げられているので、経年劣化により切れてしまったのではないかと思われる。

だが、見た目には何処が切れているのかわからない。折り目の所に微妙な線が見える...ような気がするのだが、ひょっとしたらもっと接点に近い位置がダメになっているのかも知れない。

とりあえず届いた個体に付いていた白い方と交換してみた。ちなみにこちらは購入したおぢゃんくC01の下部筐体に両面テープで留められていた。

フレキの色も違うし、長さも微妙に違うような気がしたので「どうかな?」と思ったが、問題なく動作した(当たり前か)。


さて、次のTrackPoint暴走個体と、残された「キー死亡+TrackPointボタン死亡部品鳥」はどうするか。

出品者の方によると、届いた個体は「お茶をぶちまけた際にやっちまったかも」ということだったので、メンブレンを含む基板内部が逝っている可能性がある。

キーボード基板そのものの修理が困難となると、TrackPointだけでも活かしたい所だが、こちらもまた分離が困難ときた。
しかもドライバの関係でTrackPointにかける荷重に対するカーソルの反応がイマイチなので、操作の際につい大きな荷重をかけてしまう。
なので無理にTrackPointをひっぺがして移植したとしても、生半可な固定ではすぐに破損してしまう可能性が大いに考えられる。

いずれにせよ、ここからはかなり難儀な作業になりそうだ。ま、そちらは時間のあるときにでもまた。
(.....という放置の言訳)



(2012/02/21記)

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