SALMIAKKIサルミアッキ(キャンディー)
販売 Fazer Inc.
諸元 名称:Pastiller
原材料名:各種(SALMIAK{=Anmonium Chloride}だけは分る。後は芬蘭語でサパーリわからん)

北欧人のSoul Flavor
Junk Point ミントの代わりにならないことは確か

こちらにお越しの皆様は、小学校か中学校の時に「フェノールフタレインの噴水」実験を経験されたことがあるだろうか。

(詳しくはこちら)

弱塩基である塩化アンモニウムと強塩基である水酸化カルシウムを反応させて発生するアンモニアガスでフラスコを満たし、水溶による減圧で水を吸い上げる....というものだが、視覚的にインパクトがあるので、覚えておられる方も結構おられるのではないかと思う。

一方で、その時に使用した薬品を原材料とする嗜好品を食している方が、この地球上に、しかも国家を超えた大陸レベルの規模で存在しているということは、筆者も含めておよそ想像すらしなかったのではなかろうか。

もちろんこの薬品に限ったことではないが、我々日本人,だけでなく、その食文化を持つ人々以外の方がそうした事実、あるいは実物である食品に遭遇した際にまず考えるのは、それが美味いか不味いか....ということではなく

「それ、食えるの?」


ということであろう。

ほぼ読めません
輸出するならせめて英語も併記しましょう

その筋では名高い「SALMIAKKI」は、その爆発的な(本当に爆発するけど)異臭で知られる発酵食品シュールストレミングと並んで、その生産国であるフィンランドのみならず北欧やベネルクス国で食される、他の地域の人々には理解され難い食品である。

おそらく日本での扱いを鑑みるに、シュールストレミングを「腐敗(と紙一重の発酵)食品」の最高峰(*注)とすれば、サルミアッキは文字通り「ケミカル珍味」の極致と言って良いだろう。


こちらを長くご覧いただいている方(そんな方いるのか?)はご承知だと思うが、筆者がサルミアッキを探し始めたのはずいぶん以前のことである。
このときのメイドさんがいる食料品店から始まり、多くの店で探し求めてきたが....当時は秋葉でもアメ横でもそにぷらでも、発見することはかなわなかった。もちろん、尼のaの字も存在しなかった時代であるし、海外通販も筆者にとってはハードルが高かった。

そして、時を経ること干支一周余り。
尼で普通に買えるようになってました。尼恐ろしや。

当初日本の業者が取り扱っていると思い込んでいて「そんなに需要があるのか、大丈夫か輸入業者」と思っていたのだが....到着した包みを見ると、原産国芬蘭からの直送品だった。

これはこれでなんともはや....というところだ。以前Surstromingを個人輸入した際も、発注品以外に頼んでもいない別銘柄のブツを(サンプルとしてだが)大量に送りつけてきて、

「日本で代理店としてシュールストレミングを広めるのにご協力いただけませんか?」

と前のめりなお手紙が同封されていたが、もしかして今回もそのノリなのだろうか。北欧人は思慮深く温厚で控えめな人だと筆者は勝手に思っているが、本当は押し出しの強烈な民族なのかも知れない。

...などと若干心配したが、メール便ぐらいの包装に入っていたのは、例の段だら模様の小箱一つだった。よかった。

ボール紙箱に直で入っている
香りはそれほど感じない

早速開けてみる。

匂いはそれほど感じない。というか、ほとんど無臭で、筆者の知る中では欧州のキャンディでよく使われるアニスの香りがほんのりとする程度だ。
だが、油断は出来ない。筆者とパートナー、そして次男の三人で、おそるおそる口腔内に放り込んだ。

第一印象は「甘塩辛い」。
塩味を出すのであれば、塩化ナトリウムでよかろう、なんでわざわざアンモニウム塩を使うのか....というツッコミは、まあ置いておこう。そこはそれほど不快な味には感じなかった。
その後、予想したとおり、かなり強いアニスの香りが加わり、その後に苦味がじわじわくる印象だ。
そしてそれが、わずかなアンモニア臭とともに喉の奥にぐっとくる。

代表的な奇食サイトをはじめ、多くの方が「地球一不味い飴」と評しておられるが、筆者の感じではそこまで酷い味だとは思われなかった。

問題は「経験したことのない味」が、時間を経るに従って口の中に広がり、それを「不味い」と感じた時に、対処することが困難(吐き出すことを除いて)であることなのではなかろうか。
...そう、飴だったら「なめ続けたくない」と思った瞬間にガリゴリとかみ砕いて飲み込んでしまうことができるのだが....本製品は飴と言うより「超硬質グミ」と言うべき代物で、まずかみくだくことが困難だ。
しかも虫歯の穴でもあろうものなら、そこはグミ宜しくしっかりとこびりついて離れなくなる。飴の固さと、グミのねちっこさを兼ね備えた、なかなかに始末の悪い性状をしているのだ。人によってはタイヤのゴムを長時間咀嚼させられているように感じる方もおられるかもしれない。

てなわけで、筆者と次男は、ひとつ食ったところで「うむ、終了。」となった。
一方でカミさんは「美味しい」と言っていた。いつもながら、その感性はなかなかに計り知れないところのある彼女である(アニスの香りがよかったのかも?)。

そして3つだけ消費されて1ヵ月ほど放置されていた本品は、春休みに帰省した長男が、自宅へ戻る際に箱ごと持っていった。
一体何に使用するつもりだ....>長男



(注):注1:カムチャツカの先住民族が食されるセイウチ肉の発酵食品は、耐性のない日本人が口にすると死亡する可能性が有るというものが存在するそうなので、無差別級ではなくあくまで「日本人が食って無事」なレベルのクラスでの評価である



Sampleとか書いてある....
(布教は全力でお断りします)
(2019/2/27購入、2019/04/14記)

Junk Junky