GODIVAビーフカレーパン
製造/販売 ローソン X GODIVA
諸元 名称:用生菓子
原材料名:ビーフカレー(牛肉、たまねぎ、にんじん、牛挽肉、オニオンペースト、パン粉、粉あめ、ビーフエキス調味料、チョコレート、しょうが、トマトペースト、小麦粉、砂糖、ミルボワペースト、おろしにんにく、クミン、カレー粉、食塩、ガラムマサラ、酵母エキス、唐辛子)(国内製造)、小麦粉、ショートニング、パン粉、ココア、砂糖、卵、ブドウ糖、パン酵母、食塩、発酵調味料/加工デンプン、着色料(カラメル、カロテン)、調味料(アミノ酸等)、グリシン、増粘剤(メチルセルロース、増粘多糖類)、乳化剤、膨張剤、酢酸Na、pH調整剤、イーストフード、酸化防止剤(V.E)、香料、グリセリンエステル、V.C、(一部に乳製品、卵、小麦、牛肉、大豆、とり肉を含む)
内容量:1個(質量不明)
栄養成分表示(1包装あたり)エネルギー:313Kcal、タンパク質:7.9g、脂質:18.4g、炭水化物:29.9g(うち糖質27.8g/食物繊維2.1g)、食塩相当量:1.3g
口上:「牛ひき肉とビーフエキスでうまみを出し、隠し味にチョコを使用したカレーをココア入りのチョコ生地で包んだ、GODIVA監修のカレーパンです。チョコを使用することでコクが深まり、辛さがマイルドになります」
Junk Point ブランド品が安いよ♪

籤引きで男女をマッチングする古代帝国のイヴェントと切支丹の殉教者との混濁祭が近づいて大型百貨店地下食品売場が鳴動したり、頭と靴だけ巨大な走召小型プルゴリ営業職氏が贈答品を手にクライアントを区別待遇して回ったりする時期が、今年もやって来る(後者例が具体的すぎる点についてはスル〜していただくとして)。 

尤もこの感染症拡大が続く世界情勢下では、昨年にもまして実店舗での販売抑制が続くであろう。
筆者は数年前に「巧克力の街・京都」という提灯記事に踊らされて、1欠片500円の高額アイテムの詰め合わせを取引先用に仕入に行った記憶があるが、あのようなお店は今どうしておられるのだろうか。


(左)ブランド品といえどナマモノですからw(右)そこそこのカロリーを誇る。揚げ物だし

直接販売が振るわないとなれば、執る手段としては「販売力のあるコマーシャルシステムに頼る」ということになる。

言うまでもなくその代表的なモノはEコマースであり、もう一つは「日常系リアル店舗」での展開だろう。

百貨店や専門店街、それとは微妙に異なるがセレクトショップなどを日常的に利用している方は限られているだろうが、コンビニやスーパーには行かない人のほうが少ないのではなかろうか。

そうした日常に、イヴェントという「非日常」を借りてブランド力のあるアイテムを滑り込ませる手法から生まれたプロダクツ....といってよいのだろうか。この100年になんなんとする歴史を誇る老舗メーカーと、いかにも日本的なスノビズム溢れるコンビニとのコラボ商品は。

いや、もとよりGODIVAはコンビニとのコラボ商品をいくつか販売していて、前出のプチゴリ氏が筆者の経営する店舗に贈答品として持ってきたカレのアソートも、セブンイレブンで取寄せ可能商品・税抜¥400也だった(いや、値段を云々するつもりはありませんけど)し、本品取扱のローソン店内を見回すと、年間商品と思われる黒いスイーツやデリカ(チョコパンなど)がそこかしこに存在感を放っている。

そうして改めて本品と向き合ってみると、単なる時期モノなのか、それとも通年アイテムを目指したのか、よく分らなくなる。
筆者が購入したNGH市内の店(カーヴズとお隣さんという言迷の立地)では、時期に合わせて形作られたと思われる「黒々としたコーナー」中に本品が鎮座ましましていたが、一方で包装を見ると、消費期限の欄に「(保管の検査温度)5〜10月・・・30℃/11月〜4月・・・28℃」とあり、(一応は?)通年販売を視野に入れているようにもみえる。

ただ本品が、共に居並ぶコラボアイテムと決定的に違うのは、調理パンも含めた他の商品が、チョコレートというブランドイメージに沿った「スイーツ」であるのに対して、こいつが「惣菜パン」である点であり、拭い去れないカレー風味のキメラ臭もその辺りから漂ってくるのであろう。

ほぼ表示通りといってよい中身

とりあえず、開封して食ってみることにする。

「カレーの隠し味に板チョコ」とは、よく言われることだ。
だが本製品の見てくれは、ご覧の通り(製造元もイメージしたのか)、その隠し味たるチョコの存在感を全面に押し出したようなビジュアルだ。
これは.....かの地方パン屋で販売されていたサンドウイッチを想起させる奇食品ではないかとの疑念が沸き上がるのは、(その商品を知るものとしては)当然のことだろう。

だが、それは杞憂(←失言w)だった。

昨今(ネタという名のデマも含めて)ネット界隈を賑わせている某元16時間営業コンビニ製品(これとか、これとか)とは異なり、ナイフで切ってみると内部の具材はほぼ包装写真通りと行って良い充実ぶりだ。

そして肝腎の味だが、筆者が以前にKST市のネパール料理店でオーダーして大後悔した「ほうれん草カレー甘口」のような、「上等な料理に蜂蜜をブチまけるが如き」スパイシーな甘ったるさを覚悟していた所、いい方向に裏切られた。

それは....当然と言えば当然なのだが「無加糖チョコレート」を使用している(と思われる)、という点だ。
そもそもカレー(ルー)、あるいはカレーパンは油が味付けの重要な役割を担っている(....というと、今は無き町田のパン屋のおじさんに「油なんか使ってませんよ、何言ってんですか」と色をなされそうだが)。
チョコはいわば「香油」なので、それ以外の雑味(余分な糖分も含めて)なしに使用すれば、味に深みが出るのは自明の理だろう。その結果、質・量ともに、市販されている同サイズの標準的なカレーパンを凌駕する内容になっている。

問題があるとすれば、まずはその価格だろう。
一般的なコンビニ袋カレーパンは、概ね¥120前後の価格設定だが、本品は税込み¥280という、2倍以上の「高額商品w」だ。まあ、コラボした企業のブランド力からすれば、これは致し方の無いところかも知れない。

あとは...「GODIVA」というブランドへの影響であろう。

ヴァレンチン祭りという『特別な期間のみ「下々の場所」まで降臨され、福音をもたらす』というのではなく、「日常的な消費の現場に放り込まれ、ともすれば黄札を貼っつけられて叩き売られる」世俗の垢に塗れる状況が、画像の如く生じているのである。このような状況をベルギーの本社は想定したのだろうか。

いや....あるいはこのようなことかもしれない。

このような「通俗的商業展開」によるブランドイメージ低下を危惧した社員が会社上層部に箴言したところ、
「だったら、試しに君が『イメージを辱める』と思うような商品を世に出してみろ。その結果次第で、君の提言を聞いてやる」
といわれ、本品の発売に踏み切った。
その結果....GODIVAのイメージ低下を惜しむ街の民衆は見て見ぬフリをして、そこかしこで値引札を貼られて売れ残り、店舗から姿を消し....上層部は箴言を受け入れて、イメージの叩き売りにブレーキがかかった。めでたし、めでたし、と。

とすれば....筆者はいわば、節度ある市民の中で、ただ一人レディー・ゴダイヴァのあられもない裸身を覗いた”Peeping Tom”ということになる。

ま、このコーナーがそういうもんなんですけどね。



午前3時に買いましたw
(2021/02/13購入、2021/02/14記)

Junk Junky