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短期集中連載(笑)

−この物語は、フイクションである(?)−


その393


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木下隆雄「とあるサブカルチャー解説本によると『鉄っちゃんという趣味は男子が社会性を獲得して成人へと向かうプロセスの一つ』なのだそうです」
小椋良二「また胡散臭い講釈ですか...しかし何となく分かる気もしますな。小さいときは自分の能力のなせる範囲で最大限の自由行動をとってるわけですしね。親の財布をクスねてチャリンコで峠を2つ越えて○浜教材社にらぢこんを買いに行ったり、県境を越えた隣町の本屋で紀信のむふふ写真集をげとに行ったりと」
木下「そして生活指導の教師に見つかって校長室に拘束されたり、机の一番下の引き出しから発見されて緊急家族会議が開かれたりするわけですな」
小椋「がぼっ」
木下「....ことほど左様に謳歌していた『短い手足による無節操な自由』の時期を過ぎて、伸びた手足が他人にぶつからないよう大人の節度を持った行動を取る、その第一歩として鉄道の旅があるというわけです。動かせないレール、決められたタイムスケジュールを遵守しながら、いかに自分の思うところへ模型を走らせ、あるいは実際に乗車し、写真を撮り、スタンプを押し、蕎麦を立ち食いするか...それは正に義務を遂行しながら権利を行使する、法治国家に暮らす『大人の自由』といえるでしょう」
小椋「しかし青年たるもの、決められた道ばかり走っていては型に嵌った人格が形成されてしまうでしょう。やはり場合によってはJTB時刻表書を捨てて荒野を目指すのもまた重要なぷろせすかと思いますが」
木下「そしてマメ科の野草食って低血糖死すると」
小椋「をを、"Into the Wild"」



木下「さて、今年もとつにうの季節がやってまいりました」
小椋「タイトルは『肆』になってますが、3回目である件について小一時間」
木下「そこはそれ、落ちたら...」
小椋「座布団床ごと没収」
木下「しくしく...」

最凶酷道R418(の端っこ)に迂回

小椋「しかし幹線道路が10年以上も通行止めというのはいかがなものでしょう....まあ沿線集落がほぼ廃村ですから影響は少ないかもしれませんが」
木下「むしろ崖下ダイブを減らせて良いのではありませんか」
小椋「お、おっとろし〜....って結局我々のように迂回して突っ込めば同じことなのでは」
木下「それもそうですね」
小椋「やり」



木下「樽見の先、東板屋の集落から県道255を北上します」
小椋「....って看板に『林道』とありますが」
木下「ま、まぁ似たようなモンでしょう、いずれ合流するでしょうし」



木下「....」
小椋「....なんかこう、R157かそれ以上のOSRです」
木下「お、おーえす?」
小椋「落ちたら死ぬ  レート
木下「ごろごろぐしゃっ」
小椋「ちーん」



木下「そんなわけで、上大須の折越林道起点にやって参りました。一見右折のようですがそっちは集落、林道は左です」
小椋「そうなんですけど、看板....」
木下「枯れ木も山の賑わいと申しますし」
小椋「な、なぞ」
木下「看板は枯れていても季節は春、新緑の林道はチモチいいですなぁ」
小椋「そんなこといって拓海くんごっこしてると、ほら目の前」



木下「ぬ、主様〜」
小椋「そらかわせぇッッッ」



木下「折越林道の終点近く、越波の集落です」
小椋「驚きましたな、R157沿線は廃集落だらけというのに、こちらはちゃんと人の住んでる気配があります」
木下「人かどうかはわかりませんけどね」
小椋「え?....え?」
木下「それはともかく、樽見の町からここまで来るのにR157が通っていれば、車でものの10〜15分もあれば十分なのに、折越林道経由だとすでに小一時間かかってます。よく苦情が出ないもんですな」
小椋「だからさきほど貴方がおっしゃったように...」
木下「あ、そうか(ポン)」
小椋「納得すな〜」
木下「こ、ここをお通りの方は写真のわんこにご注意を。ぬるぬる走ってるとどこまでもついて来ますよ」



木下「この集落を抜けて端を渡ると猫峠林道」
小椋「あ〜たは一休さんか」
木下「き、緊急整備事業というのはどのような緊急性なのでしょうか....この先にたしか集落はなかったように思いますが」
小椋「いや、他のR157サイトによると、冬季は樽見に疎開する集落があるとのことです。通行止め区間の南なのか北なのかははっきりしませんが」
木下「とすると、ここは一応生活道路なんですね」
小椋「そのようです。とてもそうは思えませんが」



木下「何も見当たらなかった猫峠を越えて少し降りると、いよいよ目指すR157が眼下に見えてきます」
小椋「逆の意味で彼我の差は明らかですな、片や『緊急整備事業』、片や『400番台的国家規模の放置ぷれい』」
木下「は、はぁ....まぁとりあえず降りていってみましょう」



木下「で、こちらが根尾大河原の交差点です」
小椋「また何やら立ってますけど」
木下「先ほども申し上げましたが....」
小椋「はいはい、でもこちらは何か置いてもありますよ」
木下「片足上げて微妙な配置ですな、まるで我々のような者を突入に誘うが如く」
小椋「なるほど、これは人ならぬ者のとらっぷと」
木下「そ、そなんでしょうか」



木下「有名なQuartier Latinの石畳洗い越し....ではありませんが、結構な水量です」
小椋「あれに比べると大分路面の凹が浅いですな、その分水没面積が大分広いようですけど歩行者を想定していないんでしょうか」
木下「いるのですか、そのようなものが」
小椋「まぁ、そうですね....てそんなことを言ってると」



木下「ア―――――ッ!!」
小椋「何かいたんですか」
木下「いたのは遭難チャリンカ〜だけでした。しかし幾ら除雪完了間近というガセネタに踊らされたとはいえ、ロードバイクで越えるというのは....根性は賞賛に値しますが、我々以外は言隹も通らない酷道、人里は峠2つ向こう、両輪パンクして軽装に気温10℃とくれば、ヘタすりゃ○○でましたよ」
小椋「確かに....それはそうと何やら崖っぷちに、そこでぷっつり途切れたチャレンヂの跡が。もちろん我々のものではありません」
木下「よ、よせやあい」



木下「結局今回もまた、嗚呼堂々の立ち往生(何回目だ)」
小椋「仕方有りませんな、今年は大分雪が多かったのでR418冠山林道もまだ未開通ですし。やはり6月辺りまで待つ必要があるのでは」
木下「でも結局は毎年恒例の、『6月末に除雪・復旧完了→日本海側特有の梅雨明け豪雨で崩落→夏を通して復旧作業→作業完了間近に台風で崩落そのまま冬が来て埋まる→また春が来て除雪して...』ちうような地獄車なのではないでしょうか」
小椋「そうしてこの辺りの『魔化魍道路』たちは、沿線自治体の生気を吸い取って生き続けると」
木下「お、おっとろし〜」

....その394へ続く(何か来る、変なのが来る)