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短期集中連載(笑)

−この物語は、フイクションである(?)−


その363

木下隆雄「かつて司馬遼太郎氏は『徳川家康は鎖国をしたという一点のみにおいて大嫌いだ』と述べたそうですが、その深層には拭いがたき『太閤はん』へのシンパシィと『東夷』への敵愾心が見え隠れしていると言わざるを得ないでしょう」
小椋良二「はぁ、そうなんですか」
木下「熱意のない反応ですね貴方は、そんなわけで事今日に至っても通天閣と空ろな木、タコ焼きとゲロ焼き、淡路島と夢の島、ボウクレアとデーブといった具合に、東西対立の構図はこの国の社会に影を落しているのではないかと思うのです」
小椋「比較対象とする価値もないのが混じっているような気がしますが....しかしそうは言ってもこれほど情報と交通の行き来が発達した現在では、そうした対立も解消の方向に向かうのではないでしょうか、秩父の仙章魚さんとか、関西風味を丼ごと丸呑みする行徳のオバQさんとか、『饂飩はいりこダシだ!』と主張なさる讃岐発大田区行き銀河鉄道さんとか」
木下「貴方の例示も適当かどうか若干疑問ですが...まそれはともかく、時を遡ること410年前のイニシエより東西冷戦の最前線たるこの地域に住んでいる我々としては、その戦場取材を日常的に行える好機を与えられているのではないでしょうか」
小椋「は、はぁ...」

東西スペック比較

木下「先ほどのオバQさんちに出ていた仕様書です」
小椋「ほぉ、オフィシャルサイトですか。ミニどん兵衛は東よりも西のほうが1kcal少ないとか、どうでも良い豆知識も載ってますな」
木下「ここの記載によると、『戦闘員消費者への調査に基づき、岐阜県の関ヶ原を境として東西に分けております』とのことですが、その板門店たる当地ではどのような布陣になっているのか、毎年52.5億食のカップ麺を貪食する全国1億3千万のカプラーの皆様方には興味津々ではありませんでしょうか」
小椋「で、あれですか、我々はお仕事ほったらかしてネタ拾いと」
木下「し、職場の長たちももったいないオバさんと臭味役の宴にとつにうしているのですから良いのでは」
小椋「方や熟れモノの粋、それに比べてこちらは....同じ伝統食でも雲丹とミル貝ほどの差が」
木下「ぶらんでんぶるぐ協奏曲とお月さんまんまる音頭ぐらいの差でしょう」
小椋「をを、国分寺書店」

サークルK伊吹店

木下「さて、まずは近所から」
小椋「ていうか、貴方んちの怪獣が通ってるとこの目の前では」
木下「そ、そんな大きな声で....さて、各店で買って食い比べるわけにも行きませんので、ここはひとつJANで確認を」
小椋「陳列棚前にかがみ込んでケータイ撮影、あからさまに怪しいです」
木下「と、とりあえずここは....『西』のようですね」
小椋「まぁ、滋賀県ですからね」

せぶれぶ山東一色店

木下「では、山を大きく迂回して中山道側から攻めていくことにしましょう」
小椋「なるほど、つまりギャル店長を愛でに行かれると」
木下「さ、さぁどうでしょう....やはりここも『西』」
小椋「まだ国境まで11km近くありますからね」

労損山東一色店

木下「で、こちらはさきほどのセブレブにほど近いお店です」
小椋「お隣のラブホ、綴りが間違ってますね。正しくは"Lisbao"です」
木下「海まで70km近くある港町です....てそれはおいといて」
小椋「どうやらここも『西』ですな」

労損柏原店

木下「さて、中山道の近江の国側最後の宿場町にさしかかりました。国境まであと6km」
小椋「大丈夫ですか、だいぶ宵闇が迫って参りましたが」
木下「問題ないでしょう、どうせ24時間営業だし。で、ここも依然として『西』です」
小椋「いや、そいうことではなくて...」
木下「さ、とっとと次いきましょう。いよいよ美濃の国にとつにう」

おばちゃん袋をありがとう♪

小椋「....とつにうしたのはいいんですが、店が一つもありませんな」
木下「た、確かに....あるのは葬儀場と言迷のハコモノ行政パークだけ」
小椋「大体国境地帯はこんなもんなんでしょうか」
木下「そうこうするうちに駅前の繁華街にやってきました」
小椋「は、繁華?」
木下「ぜろと1では大きな差があります」
小椋「や、やり....しかしお店のおばちゃん『今日はもう全部売れてまったでよ〜』って...そんなに売れるのか、ここでは」
木下「し、仕方有りません。ぢぢつはぢぢつとして、幸いちびカップが一つ残ってました、こいつは....をを、ついに『東』登場」
小椋「ホントに国境はあったのですね、いやまぢで」
木下「な、何をいまさら」

さ〜くるK不破関ヶ原店

小椋「私、先ほどの駅前商店街をみて思ったのですが」
木下「はい、何でしょう」
小椋「この地域ってサンプル抽出して分布を見るには母数が少なすぎるのでは」
木下「そ、そんな身も蓋もないことを....とにかく数は力です、一人でも多くの味方を確保することです」
小椋「な、イ可の?」
木下「そんなこといってる間にとうちゃくしました。さてここは桃配山の麓、かのタヌキがふんぞり返ってた所です」
小椋「ということは....やはり『東』ですね」
木下「か、関係有るのか」
小椋「いや別に」

労損垂井不帰店

木下「さて次を....と思ったのですが、ここから垂井まで、また延々と商店不毛地帯が」
小椋「大体駅前以外にあまり人が住んでいる気配がありません」
木下「仕方ないですね、とりあえずここは東側の辺縁地帯を当たっておきましょう」
小椋「しかしここはまた、凄い地名ですな」
木下「『不帰茶(かえらずちゃ)』というのが名産だそうです。JAによれば『縁起の良い茶』だとか」
小椋「き、きょわ」
木下「それは置いとくとして、ここもやはり『東』のようです」
小椋「忘れてたのですが、両方置いている所はなかったですか」
木下「流石にそれは有りませんでした。もしそうならちゃんと分けて陳列するでしょうし」
小椋「それはそうですね」

せぶれぶ垂井町宮代店

木下「で、これはいつもの給油スポット」
小椋「なんでここだけ店の正面ショットがないんですか」
木下「た、たまには変化をつけてみようかと、読者の皆様も飽きてしまうといけませんし」
小椋「店の前に屯してるヤンキ〜にビビッたということですね」
木下「めめめ滅相もない」
小椋「さ、ここも『東』でした。とっとと次行きましょう」

労損関ヶ原店

小椋「戦い済んで日が暮れて、地に死屍累々、天に一番星....ここは屍山血河のど真ん中です」
木下「ど、どうなさったんですか、落ち武者が憑依って頭頂部があるしんど状態なのは管理者さんだと思うのですが」
小椋「そんな四半世紀前のギャグかましてると和田ア○子に植毛賛歌21をぶちカマされますよ」
木下「さ、さぁあと1件、夜霧に霞む激戦地の状況やいかに」
小椋「なんこつつくね食いながら何大げさなこと仰ってるのですか」
木下「いやお腹が空いてしまって」
小椋「食の取材とは思えません」
木下「え、えと....やはり『東』か、それではここまでの戦力配置図を」



小椋「....まあなんと言いますか、思った通りですな。国境を挟んでまっぷたつの睨み合いです」
木下「ここまではっきり分かれていると、調査した意味があったのでしょうか」
小椋「をいこら」
木下「い、いやその、結局はメーカーの方針もそうなのですが、小売店での販売施策と言うよりは、その小売店の仕入元がどの地域にあるかによって、その分布状況が決まってくると思うのです」
小椋「確かに」
木下「その上で考えると、たぶん配送センターのエリア分けが厳然としてあるコンビニでは、国境を超えての勢力のハミ出しはほとんど考えられないのではないでしょうか。逆に流動的な地域経済においては、その辺の仕切りが曖昧になってくることも考えられるわけです」
小椋「なるほど、『晩飯のおかずを買いに、国境を歩いて越えて隣町のラトビアに行くエストニア人』みたいな」
木下「な、なぞ....しかしそういう意味では、もっと普通の八百屋とかを回る必要がありました」
小椋「ていうか、ありました?そいう店」
木下「い、いやその....この地域は7時過ぎたら深夜ですし」
小椋「国境の空白地帯はそういうことだったのですか」
木下「そいこと」
小椋「で、話は変わるのですが」

おうちで合戦

小椋「この峠の丼の群像はどうされたのですか、先ほどは確かJANコード調査に留めるようなことを仰っていた様な」
木下「い、いやその....流石に『ケータイ撮影→ダッシュ』は怪しすぎるかと」
小椋「つまり紛れですか、なかなかにちきんな事です」
木下「いや、カレーは和風のようですが」
小椋「やりやり」

....その364へ続く(DMZ?)