短期集中連載(笑)
葛野高校:中島−上山 目大藤沢:松本幸行−木俣
「....いやはや、思いがけず接戦になったのう。こんなこともあろうかと昨日の晩のうちに本塁を板状重力波増幅フィールド発生機『裏ドラ1号』にすり変えておいて成功じゃったな、木郷君」 「もうあんな犯罪はごめんですからね、博士」 「照れるでないぞ木郷君、君のミニスカートもなかなか似合っておったぞ」 「・・・・」 前日のプロ野球の試合終了時にボールガールにヘンシンして細工をした木郷君だった。 ちょっと嬉しそうに頬を赤らめている。 「・・・・とにかくじゃ、明日は決勝だからな、今日は早く帰って体を休めるように。練習はナシじゃ。後を頼むぞ新太郎君」 「(いつもやってないじゃん....でもまあいっか)分かりました監督」 出番の少なくなった上山(17)が答えた。 「フレディはα線維反応加速テンプレート『うぃうぃるろっきゅー』を調整するからな、ここに残ってくれ」 後半のスタミナ切れが解消されたのはこのような 「・・・・」 以前の出っ歯からテンプレートによってスッキリとした歯並びになった中島が頷いた。 作業にかかろうとした博士に歩み寄ってきたものがいる。 「なんじゃ、反井田?ワシに何か用があるのか?」 「あの....博士、実は僕の足....」 「ん?何じゃ?まさかキミの足は骨肉腫とか言うんじゃないだろうな....?」 「な、なんでそれを....?!」 「そうか、キミはバレリーナだったのだな」 「い、いえ違いますが....でもこんな足じゃチームに....」 「心配ないぞ反井田。キミはその物理的な存在感だけで十分じゃ。試合ではここんところ影が薄かったし」 「そ、そんな....」 彼が決勝打を放ったことを、博士はすっかり忘れているようだ。 「....でも....でも自分、試合に出たいんです!!少しでもみんなとぷれいしたいんです!!博士ぇッ!!」 「アー分かった分かった!!鬱陶しいから離れろ!!要するにその足で走れれば文句無いんじゃな?」 「え、ええまあ....」 鼻水だらけの顔を博士から離した反井田が応えた。 「心配するな。キミは最後の切り札として待機して貰おう。その時に.....フッフッフッ」 「....ヘッヘッヘッ」 どこからともなく五香粉の匂いが漂ってくる。 決戦は、明日の午後。 |