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短期集中連載(笑)

−この物語は、フィクションである−


その229

「クズクズクズクズクズばかりッ!」「ごみクズボロクズカンナクズッ!!」「何をやってもダメ高校〜!!」
狭い球場に罵声と嘲笑が渦巻いている。

マウンドに駆け寄った上山勝男(16)は、自分たちを取り囲むかのように塁を埋めるランナーを一瞥した後、戦意喪失状態の2年生ピッチャーに声をかけた。
「とにかく....まだ始まったばかりですから打たせて行きましょう、先輩」
そう、試合は始まったばかりなのだ....イニング的には。

新人たちが中心となる初陣、秋の全国高校野球神奈川県大会、一回戦が各地で行われていた。その中の一試合、闘院学園対葛野高校が始まってすでに3時間が経過している。
スコアボードにはまだ6つの数字しかはめ込まれていない。

 
葛野高校 0 0 0             0 0 15
闘院学園 7 15 11             33 28 0

「....もういいよ、どうだって」
「そんな事言わずに....とりあえず1アウトずつ取っていきましょう。ランナーは気にしなくていいですから、ね」

なんとかピッチャーをなだめてキャッチャーボックスに戻った勝男は、挫けそうになる自分を鼓舞するように、場違いな大声を出した。
「しまっていこーっ!」

プレイが再開された。

バッターは闘院中軸の3番。あの3番は大振りだから、インローが苦手のはずだ....
勝男がサインを送る。

しかしろくにそれを見もしないで投じられた棒球がド真中に来た。
”あっ....”

一瞬目をつぶった勝男。
その動作に一瞬遅れて、秋空に突き抜けるような快音が響き渡った。

....目の前を通り過ぎる4人のランナーを茫然と見送る勝男。
ふと見ると、ピッチャーがマウンドにうずくまっている。
マウンドに駆け寄った勝男の視線を避けるように、先輩が言った。

「オレ、足をひねっちゃったよ。こりゃもうムリだな」
「だ、大丈夫ですか....」
様子を見ようとしゃがみこんだ勝男を慌てて制した。
「いいんだよ、怪我したフリだフリ」
「そ、そんな....」
「これ以上やっても赤恥かくだけ、棄権しようぜ」
「そうだな、有沢以外は誰が投げても同じ、だったらやめとこう」「そうだそうだ」....

棄権は勝男の意向を無視して、すでに決定されていた。
審判に事情を伝える先輩たちの後姿を、茫然と勝男は眺めていた....

....3回コールド、0−37という大敗転じて0−9の放棄試合となった日の翌日。

部室にやってきた勝男を待っていたのは、顔色を失った同じ1年生の部員4人と、机に積み上げられた退部届だった。

残った部員、僅か5名。
葛野高校野球部は、存亡の危機に直面していた。....

....『博士ショップ』は、中野ブロードウェイにある。

「のう木郷君、ワシらの出番はまだかのう」
「何のことですか博士、それより早くこの多宝塔を粗大ゴミに出してきてください。改宗者が行っちゃいますよ」・・・・


....その230へ続く(女子部員がぷれいするのを見たい)