短期集中連載(笑)
−この物語は、フィクションである−
その155
『博士ショップ』は、中野ブロードウェイにある。
「う"〜〜、ヒマだにょ〜」
カウンタにアゴを乗っけながら、お店番の鵜野森あづさが1人ごちた。
さっきまで店内にサナダムシの群れの如く張り巡らされたケーブルを整理してはスパークを飛ばしたり、ケースの中に陳列された対人接触型失態励起システム「やりツボ名人」のPOPを書いてみたりしていたが、朝から1人もお買い上げ客がいない。
「博士ぇ〜、早く帰ってくるにょ〜〜」
いい加減退屈してきたあづさがグズるたびに猫耳が揺れ、首とアタマにつけた巨大な鈴がガラガラと音を立てた。
「あ、あづささん....アタマに響きません?....」
横手の占いコーナーから薄井幸子(28)が声をかけた。
「へ〜きにょ。これは必須装備だにょ」
....近所の祠にあったのをガメって自作したことは内緒である。
「....それにしてもあづささん....博士はどちらに行かれたんですか?...昨日帰る時は何もおっしゃってませんでしたが....」
「八王子のファミレスに行くとか行ってたにょ。今日も発明品の実験だとかいってたにょ....」
「発明品....ファミレス....ですか...?」
「にゅ....あたしもよくわかんないで...あ」
「すんませ〜ん、この『やりツボ名人』っての、一つ下さい」
何を思ったか、アメ横の袋を持った実直そうな青年がお店にやってきた。
「あ、どうも毎度でにゅ〜。今日はサービスがあるにょ」
「へぇぇ、そうなんですか....?....実は私でじ○のファンなもんで....あの...写真撮らせてもらってもいいですか?」
「いいにょ、んじゃその前に....目からびーむにょっ」
こおおおおおおおっ
....青年は閃光の中で燃え上がった。
袋の中のバロットが爆発し、四方に茹でたヒナが飛び散った。辺りには謎な香辛料と人肉の焼け焦げた臭いがが立ち込める。
惨劇を目の当たりにして、薄井は呟いた。
「....まあ....辛いものがお好きな方だったのね...」
....どうやら薄井も博士に染まってきたらしい。
....その頃博士(56)と木郷君(27)は、元八王子にいた。・・・・
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