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短期集中連載(笑)

−この物語は、フィクションである−


その148

・・・・「ふぅー食った食った....相変わらず『MatchBox』のカレーはまったりコッテリたっぷりでサービスいいのう、そうは思わんか、民子さん」
....あ、あの....(幸子ですけど)....はい....(うぷっ)
「....おや、客のようじゃな」

博士(56)と薄井幸子(28)が『博士ショップ』に戻ってきたのは、月野ルリという女の子が店を訪ねてしばらく後のことだった。

「ああ、博士....帰ってきちゃったんですね」
「なんじゃその言い草は....それとも君の趣味をお邪魔してしまったかな」
「ば、バカなことを言わないでくださいよ!!」
「何を赤くなっとるんじゃ」
「....(大丈夫かしら、この人たち....?)」「...いらっしゃい....」「こ、こんにちは」
背後から薄井に突然声をかけられて、ぎくっとしながらルリは応えた。
「あ、あの....実は知り合いのおねえさんからこちらのお店のことを聞きまして....なくしたものをなんでも見つけてくださるとか、私もお願いしたいことがありまして」
「探し物....はて、そんなお客がいたかな?」
....もしかして....こないだいらっしゃった朽木さんとかおっしゃる方かしら?....失踪した恋人を探してほしいとかおっしゃってましたけど
「はい、そうです」ルリが少し目を輝かせて言った。
....よかった....無事見つかったのですね
「はい、教えていただいた森の近くで白骨死体が出たそうです」
「・・・・」

「....と、とにかくじゃ、私らとしてもルリちゃんの大事なものを見つけるお手伝いをするのにやぶさかじゃないぞ。私の全科学技術を以って事にあたらせてもらおう。大船に乗った気でいるんじゃぞ」
「いえ、おねえさんの話では『占いのおねえさんに見てもらいなさい。ダウジングは百発百中らしいから』と....『間違っても占い屋さんの横の変なお店に引っかかってはダメよ』って言われて....」
「な、なんぢゃとぉぉっ!!」
「は、博士抑えて抑えて....で、ルリちゃんの探し物ってまだ聞いてなかったね」
「犬を探してほしいんです。うちで飼ってたラブラドル・レトリバーの”ポルナレフ”なんですけど、3日前に首輪抜けしていなくなったきりで....もう10歳だし、とっても心配なんです....」
「....ほう、ペットか。私はこれでもペット探偵をやっておったこともあるんじゃ」
「博士、またそういう駄法螺を....」
「何が駄法螺じゃ!よぉし木郷君、私の持てる遺失物探索技術を見て驚くな!!民子さん、勝負じゃ!!」
....え?....え?....
「何で同じ店の中で勝負せにゃならんのですか?....」
「....(え?同じ....店....?)」ルリは混乱した。
「何をいっとる!これは最早地球文明の衝突そのものじゃ!!オカルトが勝つか、科学が勝つか、人類の命運がかかっとるといっても過言ではない!!行くぞ、木郷君!!そこにある2つのトランクを階下に運ぶんじゃ!」「ちょ、ちょっと博士....」
....ま、まってください....

コミックショップ「まんだらげ」の店頭で、彼らに声をかける女性がいた。

「あら、またお出かけなんですねー」
今日は御統ユリカの制服姿で、鵜野森あづさが謎の一団を見送った。
「おお、鵜野森君。今日は帰らんかも知れんからよろしくな」
「わかりましたぁ〜『アキト、今日はどこへ行きたいのぉっ?』」
「....ん?私は博士じゃが....?」

....劇場版にはいまいち疎い博士であった。

彼らの背後から、月野ルリが呟いた。
「ホント、バカばっかり....」・・・・

....その149へ続く(同病相憐れまず)