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短期集中連載(笑)
−この物語は、フィクションである−
その141
......サンプラザの前。
広場に敷かれた、コンクリートの石畳。
その4マス分だけ、僅かに色が違って見える....ような気がする。
そこを指差しながら、木郷君は博士に尋ねた。
「....で、結局あれは何なんです、博士?僕に器物破損のマネまでさせて....」
「ちゃんとはまっておるから良いではないか。あれは板状重力波遮蔽フィールド発生機、『ドラえもんの足1号』じゃ」
「....まんまのネーミングですね。それはいいんですがどうしてあんなところに?」
「まあ見ておるがいい。ほれ木郷君、逃すんじゃないぞ」
「博士、これは何ですか」
「見てのとおり、DVじゃ」
「これで....何をせよと?」
「ほら、早く構えんか。ずーむ・いんっ」
....擬装タイルの所へ、タイトスカートにピンヒールのOL風の女性が近づいてきた。
「きゃっ」
着地しようとした女性の足が重力遮蔽フィールドに乗っかり、地上から約5mm上空を前方へ滑空した。ヒールが飛び、そのまま女性はしりもちをついてしまう。
「おおっ?!ガーターじゃぞ、男の浪漫じゃ!木郷君、しっかり捉えたな?!」
「....博士....まだ構えてもいませんが」
「ええいっ、何をしておるかっ!」
「博士....犯罪ですってば」
「やかましいっ!『リビドーがテクノロジーを加速する』ワシの敬愛する江崎教授の名言じゃ。カメラをよこせっ」
「だ、だめですっ....」
「ちょっと、覗きよっ!!痴漢よぉっ!!」
「ま、まずいっ撤収だ木郷君」
老人とは思えぬ俊足で博士は現場を離脱する。
相変わらず逃げ足だけは誰にも負けないようだ。置いていかれそうになる木郷君。
「ま、待ってくださいよ〜」
「お巡りさん、あっちです〜!!」「こらまてっ!!」....
....ほうほうのていでブロードウェイに逃げ込む2人。
ここまでくれば「勝手知ったる魔窟の迷宮」だ。博士と木郷君はそ知らぬ顔で『博士ショップ』に戻ってきた。
「あら、おかえりなさい。今日はおまわりさんにつかまらなかったのですね」
大原ミレイのメイド服姿で、鵜野森あづさが笑顔で迎えた。
「何だその言い草は、鵜野森君....ワシらは純粋な学究の徒としての使命を....」
「いやホント、そのうちブチ込まれると思うよ。博士だけね。お客さんは来た?」
「そういえば....『腸のクリーニングキット』を買っていった人が一人いましたよ」
「!!....説明書は渡してくれた?!」
「いいえ」
「た、大変だ....!!追いかけなきゃ!!」
「大丈夫ですよ」
「大丈夫なもんか!あれを飲んだら....」
「彼女、博士と木郷さんが留守だといったら、相談があるとかで『3時ごろまた来ます』って言ってましたよ。もうじき戻ってくるんじゃないですか?」
「あ、あーそう......でも....何の相談だろう?」
「さあ、そこまでは....博士のお知り合いかと思ったんですが」
「ワシの?さあ、憶えがないなぁ....」
「あ、いらしたわ....じゃ、私はこれで」
「ありがとう」
「......さてと、何かご相談があるとのことだそうじゃが?」
「....ある人を....殺してほしいのです....」
「......は?」・・・・
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