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短期集中連載(笑)

−この物語は、フィクションである−


その79
「......げははは、超マジ?しゃれになんないんすけど」
「マジマジ、パチったビニのコに逆ナン食らってっけど、超ゲロクーでドタかましたって」
「あのバリムカな?まじマシト入ってるのにBigFaceっての?」
「まんまやんけ、ソレ」
また輪の中に哄笑が広がった。
ここは田んぼの真ん中に建てられた大型ドラッグストアである。
深夜まで営業していて、しかもパンやカップ麺まで揃っているので、最近は夜中にコンビニ代わりに利用する人間が増えている。

"・・・・しかし、自分なんでこんなとこに居るんだろう?"
そんな中で高山正也(17)は最近思うようになった。いや、前からうすうす感じていた事だが。
夜でかけるようになってからもう何年も経つ。最初は高校受験の時、塾の帰りに買い食いして帰るぐらいだったが、高校に入ってからはダチとパチった原チャリでコンビニに集結して、駐車場に座り込むようになった。

最近は補導もうるさくなって、滞在時間が短くなってきた。だが気がつくとそこかしこで座り込んでいる自分がいる。ゲーセン、近くのスーパー、ビデオ屋、そしてドラッグストア....「なんでだろう?やぱタリーからかな?」

そういえばヤンキー座りする奴の背筋力が、一般人より20%低いという研究結果をどこかの記事で読んだ気がする。自分もそうなのだろうか。今度体力テストがあったらちゃんと測ってみよう....などと、正也の思考は螺旋にもつれた。

....「?!」思わず正也は己の目をしばたかせた。
アスファルトの中から、うすぼんやりとした緑色の手が生えている。しかも1本や2本ではない。正也と一緒に座り込む仲間の臀部めがけて、一組ずつ伸びている。
「お、おい!おまえらそれ・・・・?!」
思わず正也は叫んだ。
「ん?どうした?」
「・・・い、いや・・なんか地面にいる、みたいな・・・?」
「や、やっべーぞこいつ。電波入ってないか?」
「・・・ち、ちがうって・・・て気のせいか」
「をいをい、ヤニ過ぎでラリってんじゃねーの?」
改めてみると、そんなものは影も形もなかった。
釈然としないながら、正也はちょっと自分も疲れてたのかと、その時は思った。

翌日、いつものように正也は原チャリでそのドラッグストアに向った。
仲間はもう大方来ていた。
声をかけようとしたその時。
昨日と同じく、今度は緑色の無数の手が、ゆらゆら揺れながら彼らの臀部に伸びていた。
それとともに、低く小さな謳うような声が、駐車場に流れていた。

”尻コ玉、引ん抜きた〜”
”尻コ玉、食いつきた〜”
”土が硬くて、引ん抜けな〜”
”土が硬くて、食いつけな〜”・・・・

正也は手の正体を悟った。
そういえば、田んぼになる前はここが沼だったと、社会科の授業で習った覚えがある。

取り憑かれたように座り込む仲間をそのままに、正也は一目散に家を目指した。








....その80へ続く(26.5位の足に23.5の女物のサンダル履く奴がいるのか?)