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短期集中連載(笑)

−この物語は、フィクションである(?)−


その39

木下隆雄「しかし今年の夏は暑かったですね、ビルの地下でセミの鳴き声が聞こえるほどでしたから」
小椋良二「いつの話をしてるんですか....もうこのシリーズも『タイタニア』と化してしまったのかと」
木下「それを言うなら『七都市物語』でしょう」
小椋「あの作家の長編書き下ろしはどれも短編と思っといた方が落胆せずにすみますからね」
木下「ここだって短編ばっかしじゃないですか」
小椋「いえ、コンセプトは首尾一貫したものがありますよ」
木下「それは?」
小椋「ヲ」
木下「・・・・(ウンウン)」

木下「しかし、せっかく『定期券カッター』で調べたら新宿〜職場と新宿〜秋葉原の定期券が同額と判って、晴れてアキバ通いができるようになったのに、ここんとこ全然来れませんでしたね」
小椋「ここんとこ忙しかったですからね」
木下「オトモダチの結婚式でメガネっ子メイド服着て歌い踊るのに忙しかったと」
小椋「そ、それはその・・・・」
木下「まあそれは置くとしても、3年間も定期のことに気づかずに毎週土曜日切符を買ってしこしこ通ってたというのもマヌケなハナシですね」
小椋「しくしく」

小椋「(気を取り直して)で、今日久々にアキバに来たわけですがいかがですか」
木下「んーなんかパっとしませんね、i850マザーがフェイス辺りにだいぶ入荷していたのと、AthlonXPが結構売れてることぐらいでしょうか。あとは道端に2.5inch6GBのHDDが\4000ぐらいで落ちてたのが旧型マシンユーザーにはありがたいかと...」
小椋「何をサ○ロフ佐藤氏みたいな通り一遍なインプレしてるんですか、せっかく来たんだから、もっと大きな視点でアキバを捉えないと」
木下「むっ、ならば貴方の言うその視点とは?」
小椋「たとえばですよ、ほら

こんなところとか」
木下「なんだ、只の駅前じゃないですか」
小椋「・・・・それは早計というものでしょう。壁面を良く見てください。以前から指摘されてるアキバの電脳街からヲ街へのパラダイムシフトという現実が浮き彫りに・・・・」
木下「あ、ホントだ......たしかにこのラジ館なんか3〜6階までほとんどホビーショップで7階にお宝トレードショップが開店間近、ガチャポンが置いてないフロアが無く、デンキ関連ショップは片隅で今にも倒れそう....という惨状ですもんね」
小椋「どこを見てもアニメ・フィギュア・同人誌・トレカ・・・・この業界ばっかりは不況知らずと言っていいかと」
木下「アダルト系の進出もそこかしこに見えますね、ひとつのビルまるごとAVソフト売り場ってとこも出てきました。このビルなんかどうです、AVと玉葱、エロとメシが雑居してますよ。まさに、いつイカれた奴のせいで爆発炎上してもおかしくない、擬似歌舞伎町状態ですな」
小椋「それは流石にシャレになりませんが...ね、アキバがどんどん変質しているのが大きな視点で見るとよくわかるでしょう」
木下「しかし『ヲ』というと、なにかひとつジャンルが足りないような・・・・なんだろう?」
小椋「よくぞ気づいてくれました、こちらですね」



木下「....ここはいくらなんでもコア過ぎませんか?」
小椋「ひとつのモデルですよモデル」
木下「しかしこの手の店は以前は結構見たような気がするんですが.....『コスパ』のビルも大部分のテナントが撤退したみたいだし、あのうっかり登ると前頭部痛打の階段のある『ルリの部屋』とやらも同人誌の店に変わっちゃったですね。あんましうまくいってないみたいですが」
小椋「お気づきになりましたか、それでは今回はこの問題について掘り下げてみましょう。題して『"ヲ"バブル崩壊・アリの一穴?アキバコスプレ業界意外な不振のナゼ?』」
木下「(んな大層なモノでも無いような気がするが....)というと?」
小椋「まず、コスプレのメインユーザーというと、どんな人がアタマに浮かぶでしょう?」
木下「う〜ん...有明・コミケ・サンロード....」
小椋「核心突き過ぎ」
木下「まあ、夢子ちゃんで、経済的にも安定している20代の独身女性....ってカンジですか」
小椋「そう、本来はそのとおり。さて、そういう人がアキバにわざわざお買いモノに来るでしょうか?」
木下「来ないでしょうねぇ、ヤフオクとかオリジナル工房なんかでネット通販したり製作依頼した方がよっぽど品揃えもモノもいいし」
小椋「反対にアキバに来る『ヲ』といえば?」
木下「汗かき・小太り・ショルダーバッグ....」
小椋「つまり...」
木下「あなたのことか...」
小椋「やかましいっ.....まあともかく、そういう人がこんな服を着られるでしょうか」
木下「う〜ん一番大きなサイズが13号ですか....着た途端にフリフリメイド服がボデコンと化しますね」
小椋「スクール水着化ともいえそうですな、鏡に写った自分の姿を見て愕然としないのは、よほどの自己耽美的ヘンタイかプロフェッショナルぐらいなもんでしょう」
木下「あと考えられるとすれば、『カノジョに着せて楽しむ』ですが....」
小椋「そのような人たちにカノジョが・・・・」
木下「・・・」
小椋「...つまりアキバに出店してもヒヤカシばっかしで店舗需要ほとんど見込めず、高い家賃が出ていくばかりというわけで」
木下「どんどん潰れていくわけですな、なるほど」
小椋「やっぱりコスプレするなら、サイズ的に男性用XL(17号)とか、25.5cmのヒールとかぐらいまで揃ってて、アタマのてっぺんから足の先までコーディネートしてくれるちゃんとしたお店に行ったほうがいいかと....」
木下「最後が妙にCMみたく具体的なんですけど・・・・貴方よっぽど嬉しかったのね」
小椋「だってチョ〜〜→かあいいんだもんっ♪」
木下「やりー」


....その40へ続く(わしゃアラレちゃんとちゃうっ)