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短期集中連載(笑)

−この物語は、フィクションである−


その2

日がすっかり高くなり、夜汽車の車内は黄色く倦んでいた。
深夜までの立ちんぼと、隣のおやぢの大きく開いた口より発する爆音によって、飯山卓治(18)の脳はすっかりゆるんでいた。

「限界に挑戦する!」と、16日連続車中泊を決め込んだのはよかったが、飯山を迎えたのは夏休みに誘われて押し寄せた同類者の群れであった。初日からこんな調子では先が思いやられる。
昨日は一人ではしゃぎまくって、途中停車する駅ごとでソバをたらふく食い、謎の地元飲料をガブ飲みしてきた。そいつらが腹の中で氾濫を起こし、軋みをあげて出口に迫ってくる。これは最早一刻の猶予もならない事態であるのは明白だ。

通路でいまだ轟沈する迷惑千万な輩の上をまたぎこし、飯山は必死の思いで手洗にたどり着いた。ドアを開けたその時・・
朝靄のごとくカスむ彼の目の前に広がったのは、巨大な

白い桃の産卵

であった。

....その3へ続く(のか?)