Wireless keyboard for Nexus7(後期型)
発売元/製造元 言迷(minisuit?)
諸元
キー配列 84key/US
メカニズム ゴム椀/パンタグラフ
備考 I/F:Bluetooth 3.0
Junk Point を?それってLibretto?(違

以前にも述べたように、ある工業製品がガリバーへと成長したのち無数の模倣を生むと同時に、その周囲には「周辺機器」という形での追従者が発生する。
逆に言えば、ひとたびその分野でのディファクトスタンダードを確立すれば、頼まずともそうした周囲に群がるメーカーが、その製品の機能向上に寄与してくれることになるのではないか。

ただ、その追従者の向かう方向が、ガリバーの意図と必ずしも一致するわけではない。
囲い込みがそのビジネスモデルの本質であるメーカーならなおさらであろう(任●堂におけるRナントカとか、林檎電話における外部ストレージとか)。
もしかすると、スマホや7インチ以下のタブレットにおける外付けハードウェアキーボードも、そうした不憫なカテゴリーに含まれる代物なのかもしれない。ちょっとそう思う。
Nexus7と一体感のあるデザイン
(ドットピッチが微妙に違うのはご愛敬)

筆者はかつて「4.7インチ画面のPalmTopPC110で授業の板書」という常軌を逸した使い方をしていたので、人間の順応性に限りない信頼を置いている方なのだが、それでも知人(PCビギナー)からEeePCの購入について相談を受けたときには思いとどまるよう回答したことがある。

そのうえ、7インチ以下のサイズのタブレットであれば、縦向き使用に限って言えば、バーチャルキーボードでも親指入力でかなり速く打てる...というのが一般の認識のようだ。

同じAsustek製、しかも同じ7インチ画面のNexus7のサイズに合わせたこのキーボードは、リアルキーボード入力派の筆者に、いかなる操作性をもたらしてくれるのか。

そこそこ安定感のあるパンタグラフ
大型キーにはチャチながらスタビも装備

本機は発売からかなり経っているようでもあり、ネット上には数多くのレビューが存在するので、一般的な仕様や紹介はここでは省く。
筆者が購入したのは「tab」キーが追加され、代わりに「_」「ー」「+」がctrlキーとのコンビネーションに変更された後期型だ。

これらのコンビネーションキーのうち、筆者が当惑するのは「ー」だ。

このコーナーが存在する理由の通り、筆者が入力する文章にはこの長音マークが頻出する。で、筆者は「左小指でctrl」+「右小指で-」を押すのだが、このとき右薬指がタスクスイッチアイコンにふれてしまい、入力中にタスク切り替え画面になってしまうことが多い。
また、これを回避するために右中指で操作に行くと画面から目が離れてしまい、ブラインドタッチが中断してしまうのだ。

それともう一つ、このtabキー付き後期型が開発された背景として「『タスク切り替えをAlt+Tabでやりたい』というユーザーの声に応えた」との紹介があったのだが、それにしてはaltキーが右側一つで、左側はAndroidのホームキーになっている。つまりキーボードの片手操作でタスクを切り替えにくい。
これでは本末転倒ではないだろうか。せめて右側にホーム、左にaltを配してくれれば...と思った。
特に筆者はATOK for Androidユーザーなので、全角/半角切り替えにもAltキーを使用する(Alt+space)ため、スペースキー左側の方が操作しやすいのである。

そうした細かな(だが筆者にとっては深刻な)問題点を除けば、キー自体はパンタグラフ構造でぐらつきが少ないし、配列はAscii配列に忠実だし、文字キーのピッチもすべて等長でブラインドタッチの型を体に覚えさせやすい。

見よこのミニノートばりのフォルム
目方がありグリップも良いので安定しています

筆者購入元の「ShopU」の紹介には『見た目や 手ざわりはGOODです! ただ、重さはNexus7の340g+本品220g=560gとなるため、小さなサイズの割に重めとなります』とある。
たしかにその通りだが、その重さが使用時の安定感をもたらしているのもまた事実だ。ポインティングデバイスはないが、ほぼミニノートの感覚で使えると考えて差し支えない。

残念ながら、入力操作に対する反応は林檎製品+BTキーボードに比べて今一つもっさりしている。
これはNexus7+他のキーボードでも同様なので、このキーボード特有の現象ではないのかもしれない。
が、先ほどのコンビネーション入力の際に、ctrlキーを離すのが一瞬でも遅れると「0」が入力されてしまうのは、やはりこの機特有のマイナス点なのだろうか。

問題のタスクスイッチアイコンに触れてしまう件
慣れれば克服してしまうかも...

日本語入力の切り替えという面では、
・Wnn環境では入力箇所をタップしないと、半角→全角に切り替えられない
・ATOK環境では入力箇所をタップしないと、全角→半角に切り替えられない
という不具合がある。これが日本語入力システムのバグなのか、このキーボードの不具合なのかは不明である。

以前からこのコーナーで述べているように、スマホやピュアタブレット(....この言葉も死語となりつつあるのか【フッ】)の入力に、そのままソフトキーパッドを使うのか、ハードウェアキーボードを追加するかは、そのユーザーがブラインドタッチを習得しているか否かに左右される。

もう半剥げのBSとEnter,コンビキーのトップが剥げたらどうしよう..?
(ちなみに筆者はかなりの乾燥肌ですが)

触覚と、それにともなう位置感覚を利用できない未習得者であれば、わざわざ重量も増えて入力効率の向上にもそれほど寄与しない外付けハードウェアキーボードを積極的に選択する理由がないだろう。
「今ではもっぱらNexus7のスタンドとして利用しています。トホホ」というレビューがあったが、それはそれで有効な使い方かもしれない(BTキーボードとしては実売がかなり安いしw)。ちなみに筆者はNexus7以外の7インチタブレット(Suli SL-7)を装着してみたが、問題なく使用できた(スタンドとして)。

筆者はこの文章を入力しているうちに、上記の「深刻な」問題点をも含めてこのキーボードにほぼ慣れてしまい、5本指を使ったブラインドが問題ないレベルまで身についてしまった。というわけで、筆者としてはよい買い物だったと思える。

習得の課程(半日程度の連続使用)で、一部キートップ印字が半ば剥げてしまったのは、工業製品としてはあまり誉められたくをりち〜とは言えないかもだが。



(2013/05/12記)

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