Microsoft natural Multimedia Keyboard 1.0A
製造元 Microsoft Corp.
諸元
キー配列 107keys+17media keys/OADG
メカニズム ゴム椀+メンブレン/一体型キートップ
備考 I/F:PS/2
Junk Point ふくらみの手触りがよい(でへ)

先日、社内ベンチャーに関する報道番組を見た。
複雑化・多様化する現在の産業界で、独立ベンチャーの入り込む余地が減少する一方で、巨大組織内でのいわゆる「企業内起業」が増えているという。

「有為な才能は集団の中に一定の割合で存在する」という、いささか乱暴な前提の上ではあるが、巨大な社会である大企業は人材の宝庫である....という考え方も成り立つかもしれない。そうした人材を硬直した組織の中で殺してしまうのが「大企業病」であり、逆に活かしていこうというのが社内ベンチャーという動きといえよう。

バックアップのない起業者にとって、「失敗すれば全てを失う」リスクを、大企業の組織力でヘッジできるのは大きなアドバンテージだろう(尤も、クリエイターの箭内氏はそうした環境での起業に付きまとう最終的な運営の甘さを指摘していたが)。
有象無象のベンチャーが、得体が知れない斬新な製品を世に送り出してくる...というのは、筆者のようなガヂェッツ好きには喜ばしいことなのだが、現実はそう甘くはない。
いつしかそうしたベンチャーの大半は泡沫の如く消滅し、ごく幸運な一部が成長を続け...そして残りは大企業に買収されて下請けの一部門となり、起業者は買収で手にした巨額の資金を次の事業に投入するため事業を離れ....そして当の先鋭的なデバイスは、マスプロダクツの一機能として取り込まれ、ひっそり余生を送る....という図式になるのだ。

湾曲のフィット感は流石"Genuine ergonomic"
「ナンチャッテ」で感じた違和感が少ない

一方の取り込む側の代表格がGoogleであり(というよりGoogleそのものが大企業というより社内ベンチャーの巨大集合体だと思う。筆者は未だGoogleのビジネスモデルを理解しかねているのだが)、 このキーボードの開発元であるMicrosoftだろう。

スイスのLogicoolはともかく、このMicrosoftが世界のキーボード/マウスのトップベンダーであるという事実は、Topreや富士通といった独自の技術を持つメーカーが存在する日本に暮らす筆者にはいささかイメージしにくい。

そもそもMicrosoftの入力ハードウェア部門自体も、元々はMicrosoftの社内ベンチャーであったため、筆者には新参メーカーのイメージがある。

しかし筆者が秋葉のヂャンク屋で拾い上げて以来15年以上に亘って使い続けている「なすびマウス」や、このNatural keyboardシリーズのような大胆なデザインを提案したり、それまで存在しなかった機能をデバイスに付加してくる意外性(パッドや机面を選ばない光学マウスはMicrosoftの発明である)もまた、そのプロダクツの特徴といえる。

.....おそらくはそうしたものを実現できるのは、その豊富な資金力と、「ハードとソフトの連携も思いのまま」という、OS市場における圧倒的なシェアが背景にあるわけで、そこが筆者を始めとする多くの(?)PCユーザーとって「オモシロイ製品なのに面白くない」点でもあるのだ。

マルチメディアキーの殆どがVista標準ドライバで動作
筆者は以前にも所謂「Ergonomic keyboard」を購入し、普段使いのノーマルキーボードとの余りの違和感に体調不良に陥ってしまったことがあった。
それは筆者の微妙なタイピングの癖によるところもあったのだが、やはりいつもの姿勢に慣れていると、いくら「体に自然なポジションが可能」と言われても、筆者にとってはそれが極めて不自然なタイピングポジション....ということになるのである。

筆者が本機購入以前に所有していたのは、ノーマルな平板キーボードとのコンバーチブルという「なんちゃって」エルゴノミックキーボードだった。それと比較すると、本機はキー表面全体がラウンドしており、平面を局面にはめ込んだ前者とはやはり違う。
何より、いくら工夫されていると言っても軟性プラスチックの土台にはめ込むタイプではなく、しっかりとした筐体に設置されたキーは叩く感触がかなり違って、自然でなめらかな動きを可能にする。

軸はSilitekかChikonyに似ているが
プラ土台(白)は厚手でしっかりしている
キー動作機構については見るべきものはなく、ふつうのゴム椀である。
かなり使い込まれたものであるせいか、筐体の軋み音も若干気になるが、わりとしっかりしていて剛性が高い。軸を支える構造物は当然湾曲しているのだが、かなりしっかりとした材質のプラスチックで、キーストロークによって撓むことは殆ど無い。

流石はMicrosoft謹製...というべきか、筆者のVista機にUSB変換ケーブルで接続してもメディアキーはちゃんと動作する。この辺のそつのなさがまた......いいような悪いような、なのだ。

で、これを常用機とするかどうかについての判断基準は、.....やはりサイズだった。筆者の60cmルミナス机ではちと苦しいのはいずれのエルゴノミクスキーボードも同じである。

最近Microsoftは"Stingray"のようなエルゴノミックキーボードを発表した。
筆者としては、ちとグラグラしている。(←いい加減懲りろよ>自分)



ちと頼りなさげな脚
大仰な警告(読むのに肩がコるぜ)


(2014/01/13記)

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