PIONEER MPC-KB1
製造元/発売元 Apple Computer Inc./PIONEER ELECTORIC Corp.
諸元
キー配列 80keys+Power key(US)
メカニズム ゴム椀/membrane
備考 I/F:ADBx2(connecting to USB via iMATE)
Junk Point デバイスドライバ公開中
「互換機」の存在がパーソナルコンピューティング文化の発展に寄与したのは間違いない事実として、当初の目的である「開発元の市場影響力を高める」ことに成功したかどうかは、幾つかの例を見ても明らかであろう。

砂糖水販売者が1994年に打ち出したMacOSライセンス供与は、唯我独尊氏の復帰に伴って僅か3年で終焉を迎え、微塵子のような「仲間たち」は、親分に飲み込まれたり、別の互換機を売る有象無象の一員となったりと、それぞれの末路を辿っている。
上が丼様謹呈6100に付属の「II」
下が開拓者様謹製本機
目蜂Mと同様に、もしAppleがこのままライセンス供与を続けていたら、今日のマカー文化はどのような「違う未来」を迎えていたであろうか。

もしかするとこのままAppleがハードウェアシェアの下落に伴いMicrosoftのようなソフトウェア専業メーカーとなっていたかもしれない。
もしハードウェア開発を放擲していたとすれば、今日のiOS搭載の端末は生まれていなかったかも知れず、結果PCからタブレットへの市場の遷移ももっと緩やかなモノになっていたかも知れないのである。

そうなるとiTunesを核としたメディア市場もここまで成長しておらず、コンテンツでなく有形メディア販売としての音楽市場がここまで縮小することもなかった可能性がある。
燦然と輝く音叉
だが、シールだ(キリッ)

裏返して考えると、単に一「個人向けコンピュータメーカー」に過ぎないAppleの影響は、これほどまでに世界的に大きな存在であるということなのだろう。マカーでない筆者にはいささか認めたくない見解なのだが。

で、そうした前向きな文化的影響力に背を向けて存在するのが、「過去の遺構文化」としてのおぢゃんくであり、このMPC-KB1はそのひとつといえよう。

当時のPIONEER MPCシリーズはPerfomaや6100AVのロジックボードをそのまま使っていたとのことで、このキーボードも、PIONEERで金型をおこした後継機種のKB2とちがい、Appleから導入したものに音叉マークを貼り付けた安直な仕上げになっている。

何故我が道を行く逆さゴム椀
黄ばみの言迷は言迷のままです→章魚たん

ゆえに以前鉢丼氏から贈呈頂いたPowerMac6100/60に付属のApple keyboardIIと同じモノ....かと思ったのだが、これが微妙に違う。

CtrlとCaps Lockが入れ替わっているし(Lock機構も)、ESCや記号の位置がUS配列になっている。また10キーの0の右側がピリオドだけになっている。本家のほうがJIS配列になっているところが興味深い。

とはいえ機構的にはゴム椀/membraneなのは同じで、この辺はローコスト化の時代の流れを感じさせる。

本板は長期にわたって放置されていたのか、内部のゴミ集積はそれほどでもないにもかかわらず、キーの渋りがやや強く感じられた。
もっとも、MY白軸などに比べると押し下げの重さはまだマシだと思われる。底突きのくぐもり感は筆者好みではないのだが。
(左上)鉄板入ってます(右上)MITUMI製
ネジ3本外せば筐体バラせるが、上部のプラ爪がちとやっかい

筆者所有のこの個体は、先日ポンバシをうろついた際にバスタグに落ちていたもので、ケーブルなしでワンコインだった。
今日のUSB採用マシンで使用する際にキーデバイスとなるiMateが、国内ではほぼ入手不可能な状況だけに、この値段でも拾っていく人はいなかったのだろう。

経年劣化なのか、筆者にはいささか重めの押し下げ圧に感じられる。やはりExtended keyboardIIの軽やかなAlpsスイッチのタッチには及ばない気がする。
とはいえ、かの音響メーカーがPC市場に参入していた過去の歴史を今日に伝える貴重な存在でもある。なにより
2015年8月の今日に至るまでデバイスドライバを提供し続けるところが、かのメーカーのユーザーに対する真摯な姿勢を示しているといえるのではないだろうか。

....単なる放置という可能性も否定できないが。




裏面はほぼ同じ
貴重なロゴだわ


(2015/08/23記)

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