| キー配列 | 日本語/Microsoft109key準拠 |
| メカニズム | メンブレン/ゴム椀 |
| 備考 | PS/2 |
彼・彼女ら全てがいわゆる「ネゴの達人」、ていうか口先三寸だけで世の中を渡ってきた人々ばかりだったのだが、その中でも印象的だったのが、まるで風船を膨らませたような体型の、開発部の常務であった。
筆者は時々彼と食事に行くことがあったが（大体は彼の好物のとんかつ屋）、料理の前にご飯が運ばれてくると、それは約３秒で彼の胃に納まり、約４秒後には「オネエサン、おかわり！」の彼の声が店内に響くことになる。
健康産業の重役でありながら常に高血糖＆高脂血症に悩まされ、養生を勧めると「僕はねｪこもっちさん、この仕事を始める前は120キロあったんですよ。それがね、体に気を遣うようになってから30キロも減量できたんですよ。こもっちさんももっと頑張らなきゃね」とヌケヌケと言ってのけるような人物であった。
一方、これは実際のところ彼と何の関係も無いのだが、当時の会社の近くに、筆者が良く行く牛丼とカレーの店があった。
ここで供されるカレーと牛丼は、飯の上に赤身付の牛脂と溶けたラードがかけられたような、非常にまろやかな味わいが特徴であった。
「牛友」という名のその店独特の味わい、それはまるでかの「〇友」重役の濃厚で暑苦しい姿と重なり、いつしか我々は彼を「牛友部長」、やがて省略して「牛ちゃん」と呼ぶようになっていた。
...そして今なお、「牛」あるいは「ぎゅう」という音は、筆者の中で(そして恐らくは同僚だったカミサンの中でも)彼の存在そのものと連想集合系を形作っている。
そんなこんなの残暑厳しいある日、筆者は汗だくになりながら大須の行きつけのおぢゃんくショップに出かけ、店頭でこのキーボードを見つけた。
ダークガンメタルの筐体に鈍く輝く「IBM」の文字。値札には....「\100」とある。
躊躇する理由は何も無かったが、いちおうチェックのつもりでキーを叩いてみた。......
「ぎゅう。」
....筆者の脳裏に、あの汗＆脂だくの笑顔が浮かんだ。
慌てて同じコンテナに放り込まれていた他の個体を試した。
「ぎゅう。」
やはり同じだ。これは筆者が記憶しているIBM鍵盤とは全く異形の存在である。ちなみにやはりコンテナに同居していた\100の「TOSHIBA」ロゴk/bを叩くと....軽快なゴム椀式タッチが指先に伝わってきた。これは悩ましいところである。
....数瞬自問した後、筆者は決断を下した。
「まいっか。別に使うわけじゃないから」
キートップ文字の黄ばみ具合からすると、どこぞのIT系企業で端末として使われていたNetVistaかNetfinityあたりに付属していたものだろうか。
きっとタバコ片手のSEさんやプログラマさんたちに「なんだこの情けないキータッチは。使えねェ」とかブツクサ言われながらヤニにまみれた指で日々ドつかれていたのだろう。
ある意味不憫なこのキーボードを、機会があったら掃除＆整備してリフレッシュしてあげようと思う。....ってまだクルマに積みっ放しだ。
(2008/12/17追記)
・・・・ようやく掃除した。このファイルの作成日時から推測すると、購入から２年３ヶ月めの快挙である。
それで掃除して「ぎゅう。」が改善されたかというと・・・・・まあ一応そうなんですが、今度は別の問題が浮上した。
BackSpaceとF12が「ふたりふじこ」状態なのだ。これはBackspaceのハードヒッターである筆者にとっては致命的ともいえる。
BackSpaceの右半分を叩くと、F12も反応してしまい、秀丸を使用していると「行番号の表示/非表示」が機能してしまい、大変に鬱陶しい。
これはまた分解しなければならないのか....と、また放置の匂いがし始めている。
掃除したところで、この程度の打鍵感と思うと、流石にやる気が萎えてしまうのだ。
(2009/04/16さらに追記)
・・・指がすべったか、我が家に新品がやってきてしまった。
しかも1000円＋送料1200円、上記中古品の22倍の価格だ。とあるぢゃんくの大天使（イ吏 彳走）な方が「ぢゃんくにつぎ込むのは1000円が限度」と仰っておられたが、その戒律を遥かに破ってしまった。このような事がバレれば荷電粒子砲をブチ込まれることは間違いないだろう。
早速驚愕母艦に繋いでみた。別段問題なく動作した....当たり前か。
しかし如何せん数年前の機種であるだけに、どうやらゴム椀が硬化しているのか、ややたっちが固めになっていた。叩き続ければなれて軟らかくなってくるのかもしれないが。