Century Century CK-67CMB-GRJP1 MX緑軸
Century Century CK-67CMB-GRJP1 MX緑軸
メーカー Century Corp.
諸元
キー配列 日本語/67key(Winx1/Fnx1)
メカニズム MX緑軸
I/F USB
備考
Junk Point 追加生産なし?

筆者の職場環境が激変してから3週間が経過した。

立場的には自由な裁量を与えられたことになる。が、現実には、あちらに気を遣い、こちらに心を配り...と、端から見れば無駄とも思える努力をしている結果、せせこましい毎日を送っているのが実情である。

そんなこんなでこのサイトも開設以来....ともいえるような更新停滞を起こしてしまった。とてもそんな精神的余裕がなかったのは致し方ないとしても、そろそろぐるぐる先生にも見放されてしまいそうなので...ということにして、なんとか再開に漕ぎ着けたいと思った次第だ。

まぁ、そうした筆者の状況は置いておくとして。

裏面に燦然と輝く
『限定生産』

「限定」....なんと甘美な言葉であろう。

かつて似非バイク野郎(中免限定)だった筆者にとって、それはいささかネガティブな意味合いを持つものではあるものの、その2文字に引き寄せられる民衆の多さはどうだろう。
NISMOバージョンのRが出るたびに買っていた高田純次氏から、「週末の一杯は『期間限定発売・氷結○○味」というThe GEDO-san previously known as a "金艮シ可金失え首九百九拾九"さんに至るまで、「限定生産○やぢ」と呼ばれる御仁は枚挙に暇がない。

尤も「数量限定」と「期間限定」では、dx/dt的意味合いからすれば同じような物かも知れないが、時間的スパンをとって俯瞰的に眺めると、両者のレア度には大差が生じるだろう。
そういう意味では「期間限定販売」には、希少価値を高める要素よりは、消費意欲を煽る意図のほうが勝っている....といえなくもないような気がするのだ。

むろんそれは「どっちがより阿漕な商売であるか」ということではない。
いずれも消費者の「これはあのとき限定販売だった秘蔵品だ」とか「そういえば昔そんなのあったなぁ(遠い目)」というような、いずれも近い未来の消費による自己満足感を呼び起こさせると言う意味では、社会的意義を持っていると言えるだろう。

そんな社会的意義を確認する意味で、苦しい台所事情の中からぽちってきたのがこの「世界限定生産300台」キーボードだ。....筆者は別に限定生産お○ぢではないのだが。念のため。

欲を言えば6段
カッコ良さなら5段

以前にも書いたが、Keyboard Junkyを呼称する割にハードウェアに暗い筆者がぐぐってみると、MX緑軸搭載キーボードの初出は一昨年のComputex TAIPEIのようだ。
このときはゲーミングキーボードだった。おそらくその耐久性と、80gという高加重スイッチによる「『叩く』志向ユーザー向け」の特性を活かす目的だったのではないかと推測される。

手元に届いたCK67CMB-GRJP1(以下『GRJP』)。取り出してみると結構重量感がある。剛性からすると内部に鉄板が仕込んであるかも知れない。

配列は基本キーはJISに準拠している。Happy Hacking keyboard Liteとほぼ同じ配列だが、HHKBLiteでは左右にあるFnキーが右側のみ、Altキーが左側のみとなって67キーになる。

筆者にとって問題なのは、デフォルトではEscと全角/半角がコンビになっていて、その切替はFnキーを押しながらの操作となること。つまり、「片手で日本語入力をOn/Offすることができない」のだ。
しかもFnキーの場所がいまいちつかめていない現段階では、そのたびに鍵盤面に視線を落すことになる。これはなかなかに非効率的だ。
背面のDIP-3で、デフォルトの「ESC←→全角半角」切り替えが可能なのだが、とにかく誤変換しびれ節な筆者にとって、この2つのキーは排他的に利用できることが必須とも言えるのだ(笑)。(DIP-4でWinキーをFnキーにすれば片手で切り替え可能)


この重大な短所を除けば、Altショートカッターにとって有難いことに唯一の左altキーがwinキーよりも中央よりに配置されている点、カーソルキーが他のキーと同じ大きさである点など、HHKBLiteよりも筆者よりのセッティングになっている箇所も多い。(ちなみに『Ctrl←→Caps』はDIP-1で切り替え可能)

微妙な配列は
裏面DIPである程度いぢれるが....

さて、肝腎のMX緑軸の感触だが、青軸ユーザーには慣れ親しんだ、あの「チャキチャキ」というTactile感と同じである。
さらに他のレビューを見ると、「青軸のTactile感と黒軸の重さを足した」とある。
筆者は青軸/茶軸/赤軸/MY白軸だけ所有しているので、黒軸の感触は店頭でデモ機に触っただけだが、確かにクリックを感じてから反発力がスッと抜ける青軸に比べ、黒軸と同じようにそのままリニアに底付きまで重さが増していく感じである。
ちなみに底付きまでの物理的加重は『リニア』が示すとおり同じ重さだそうだ。この直線的加重特性ゆえか、当初同じように感じられた66G8362と比べても、かなり『力任せにブッ叩く』方向に味付けしたセッティングと思われる。

このサイズのミニキーボードとしては、なかなかまとまったかっちょいいデザインなのだが、惜しいことにTiltスタンドがない。
Filco製品と同じく、鍵盤手前がパームレストのない高い構造になっているので、筆者としてはこちら側に薄いコルクボードを敷いてタイプするのだが、そうするとTiltスタンドがないことでやや不自然なポジションになってしまう。

それともうひとつ残念なのが、USBホストポートをもっていないことだ。
USB接続でないのであればそれは致し方ないのだが、本機は有線接続なので、省スペースのコンソールとして使用する場合にマウスをつなげることができるかどうかは結構重要かも知れないと思った次第だ。

MX緑軸
ModelM系が好きな方はお好みかも

GRJPのスイッチはLEDを内蔵していて、「Fn+V」でブルーに点灯する。これはなかなかCoooooolである。
....のだが、輝度が高すぎるせいか、光る鍵盤面からPC画面に目を移すと、最大67個の残像が画面上を派手に舞い踊ることになる。
明るさを調節するか、せめてもう少し落した輝度にセッティングしたほうが、身体的/神経的健康のためによいのではないだろうか。

キートップは他のCherryスイッチ実装機と同じ形状をしている。Spaceバーは中央のスイッチ+左右2個のダミースイッチで支える構造になっていて、本家ZFの機種ほとんどにあるようなspaceバーのシブり感はない。

日本語+英語の入り交じった文章を書く方にはいささか慣れを必要とするかも知れないが、それでも基本的にはHHKBProのライバルとなり得るポテンシャルを秘めた機種と言えるかも知れない。値段もかなりそれに近いけど。


で.....裏面にひっそりと、だが燦然と輝くアルミ製プレートに刻印された

Limited Products
”***/300”

の文字は.....特に意味は無い。筆者にとっては。

いや、ほんとだってば。


(2014/04/20記)
 

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