FlickTyper BT
発売元/製造元 インター・ラボ株式会社
諸元
キー配列 Layout depends on the type of IMEs on the mobilephone.
メカニズム
備考 I/F:Bluetooth 4.0/USB type-A(Bus powered)
Junk Point

20〜29歳台のスマホ所有率と、PCのそれは2014年には既に逆転していた。どちらか「だけ」のユーザーばかりではないと思われるので一概には言えないが、普段より使用されるHIDがキーボードよりもタッチ入力になっている...という傾向は、今後も強くなるであろう。
一方で、現在日本で主流のフリック入力が、スマホ/タブレットなどのタッチ型HIDを持つデバイスの標準となっているかというと、そうでもないようだ。巨大市場・中国ではトグル入力(....は誤用だそうだが、とりあえずこの一般化した語句を用いる)の「ガラケー型スマホ」が多数発売されているし、米国でもハードウェアQWERTYキーボードを持つBlackberryの新モデルが未だに継続的に発表されている。

しかし、「母音+子音=文字」が体系化されている日本語では、適切な予測変換機能を装備することで入力効率を飛躍的に高める事が可能であることは、現在の状況を見れば明らかだ。
尤もこれは、画一的な表現を繰り返し行うような場合(例えばSNSへの書き込み/レスなど)に向いているのであって、多彩な表現を行おうとすると、途端に効率が低下してしまうと思われる....のは、旧デバイスからの変更に乗り遅れた旧世代の筆者などの僻みなのであろうか。

キー配列
ふた昔前のUSBメモリードライブぐらいな感じ
ウラにはOEMロゴ貼付を目論んだ?と思われる空き凹が

いずれにしても、日本におけるフリック入力の普及が、PCへと波及してもおかしくはない。
タッチパネルを持たないPCでも、フリック入力が使えれば....という趣旨で考案されたのが、この「Android/iOSのタッチ入力端末をPCのHIDとして使用するデバイス」"FlickTyper"なのであろう。

筆者が当初(筆者などからみれば)ややキワモノに見えるこのデバイスを入手した際、開発/発売元が大陸製でなく、日本の企業であることを知った時は「ほぉ、日本の企業もなかなかやるな。こういうデバイスを形にする発想と技術があったとは」と感心したのだ。
だが今になって上記のような状況を考察すると、日本人であるからこそのユーザーニーズの把握であり、出るべくして国内メーカーから出てきたプロダクトといってもいいのでは...と思った。

いや、実際これを買う人がどのくらいいるのかは言迷なのですけどね、タブレットやスマホのみでドキュメントを作成している人にとっては別にいらないデバイスなわけですから。
アプリはiOS/Android。Winは...ない模様
BT接続と入力コンソールを担う

この製品の優れていると思われるところは、Bluetoothホストデバイスでありながら、特にBTスタックは不要で、ドライバもOSが持っている標準ドライバしか使用せず、接続先のPC環境に改変を加えないという所だろう。
この点は想定される使用シーンを想定すると非常に重要に思われる。つまり「自分のスマホ/タブレットで原稿を書き、職場/学校のPCで体裁を整える」という場合が考えられるからだ。

ちなみに、このデバイスの前モデル(まだ発売されている。半額大バーゲン状態草だけど)はUSBの有線接続だった。こちらもドライバは不要であったと思われるが、ケーブルと、本品よりも大きな本体を持ち歩くこと、スマホ側のアプリの煮詰めが甘かった(予測変換が使えない/iOS非対応など)といった不便な点が、本製品では改善されている。筆者としては、本製品でももう少し小さくできなかったのかな...というのが、筆者の正直なところなのだが。

改良が加えられているとはいえ、スマホの入力側から直接PCの入力用APIを叩けるわけではない...という根源的な問題はあり、したがってその動作にはいささかトリッキーな手順を必要としている。

1)FlickTyperBTアプリ上で、フリック入力

2)変換された語句/文節をPCにコード送信

3)PC側のIMEで、受信したコードを文字に変換

で、この3の動作がIMEに依存していて、MS-IMEを使用していて、かつその「予測変換」の文字列数が「5」以上に設定されているときのみ正しく文字が入力され、それ以外のIMEは動作保証外となっている。
ちなみに筆者の環境ではATOK2015でも試してみたが、やはりこちらはうまく変換されず、ただ受信したコードが表示されることになる。例として、「変換」と入力してATOKに送信すると「590963db」と表示される。

(左)PC側がATOK2015の場合。「変換」の文字コードが入ってしまう
(右)MS-IMEで「予測変換」5文字以上に設定すると正しく入力される

筆者所有のXperia compact(SO-02J)の場合、標準でGoogle日本語入力が設定されてない。一方でフリック入力を使おうとすると筆者の場合ATOKしか入ってなかったので、Google日本語入力をインストールする羽目になった。
勿論フリックでないIME、例えばSwiftKeyなどのQWERTY配列入力システムでも入力できるが、それになんの意味があるかは問わないことにしよう。
入力の際( ^ω^ )←のような顔文字も入力はできるが....全角かよ、ということになる。
ちなみに筆者使用環境では、接続したままスマホがスリープに入ると、復帰時に再接続ができず、一旦アプリを終了して再起動する必要がある。

さて、その入力の印象であるが....これはもうひとえに、スマホ側の入力システムの性能と...入力者の習熟度とに左右される。
管理者はパートナーに「スマホの入力だったら、トグル(ローテーション?)よりフリックのほうが絶対に速いよ」などと説いてたりするのだが、当の本人がまったくフリックに習熟していない。

よって...当デバイスに対する筆者の必要性はほぼない、といってよい。

その割に、購入後しばらくはポケットに入れてほぼ毎日持ち歩いていた。

何ゆえに....と問うまでもない。
唯一の携行動機、「本コーナーのネタ」の為である。




おまけ

FlickTyperにiPhone8Plusを接続、それにBTkeyboardを接続してQWERTY入力も可
・・・特に、意味は、ない。



(2017/12購入、2018/03/05記)

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