FILCO FKB108MC/NB |
---|
![]() |
|||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
製造元 | ダイヤテック | ||||||||
諸元 |
|
||||||||
Junk Point | − | ||||||||
筆者も以前はその傾向があったのだが、世の中にはクリック感のあるタッチを持つキーボードを「メカニカル」と呼ぶ向きも多いように聞く。 何を以て「メカニカル(=機械式)」とするのか。 キーのストロークという力学的作用を電気信号に変換する....それをすべて「機械的」とするならば、Virtual keyboardなどごく少数の言迷の例を除いて、この世に存在するほとんどのキーボードは「メカニカル」であることになる。 「接点を持つ」方式であるものに絞っても、今日主流の「メンブレンスイッチ+ゴム椀」でもこれに該当する。そうでないものと言えば、東プレなどのキャパシティブぐらいだろう。 結局の所、そのキーボードが持つ機構は、耐久性などの客観的特性はともかく、操作感という主観的特性に関しては「ある程度特徴付ける」ぐらいに留まると言えるかも知れない。 初期のPC-9801付属キーボードやCherry黒軸/赤軸のように、独立した接点機構を持ちながらリニアアクションでクリック感がほとんどないキーボードもあれば、IBMのModel-Mのようにメンブレンスイッチでありながら豪快なクリック感を持つものもある。 要は味付けなのだ。 天然のイクラと人工のイクラは、その道のプロでも間違えるほど味わいにほとんど差がないそうだ。味わう前から「これは人工モノだ。だから不味い」と決めてかかるのはナンセンスである。 「『メカニカル』=えらい、『メンブレン』=普通」と考えるのは、それに似ているであろう(か?) だが、そうは言っても歴然とした差は存在する。 某有名サイトの受け売りだが、例えば耐久性について考えてみると、打鍵の圧力が直接接点への圧力となるメンブレン式に比して、打鍵の強弱にかかわらず常に一定の圧力で接点が接触するようなMX/MLスイッチ機構、あるいはそもそも接点が存在しないキャパシティブの方が、耐久性において遙かに優れることは容易に想像できる。 逆にこうした耐久性をメンブレン式で実現しようとすると、当然ゴム椀やシートを工夫して底突きの圧力をコントロールする必要が出てくるだろう。 こうした工夫の影響が、打鍵の「切れの良さ」をくぐもらせている可能性はあるのではないか。 Cherryスイッチや東プレキャパシティブでは、そうした「爽快な打鍵感を鈍らせる工夫」という制約がないのである。 .....で、そんなわけ...かどうかは定かではないが、長らくIBMのバックリングスプリングk/bに傾倒してきた筆者も、『機構もタッチもメカニカル本流』のCherryスイッチk/bを試してみようという気になったのだ。 さて、その段になって筆者は考え込んだ。 Cherryスイッチの評判はあちこちで見聞きしていたし、わずかながら実際にネオテックで触ってみたりもしていた。 しかし生来物覚えの悪い筆者は、黒/白/茶/青...と、まるで青柳ういろうのようなラインナップ各々の特性を覚えきれず、どれを選ぶか、確とした決心がつきかねた。 結局青軸の決め手となったのは、「しっかりとしたクリック感のある"Click tactile feel"ゆえ」....というよりは、ダイヤテックオンラインショップ上に踊る「少量生産」「ネットショップ限定モデル」の文字であったことは否定できない。
マジェスタッチシリーズは奥行きを切り詰めたコンパクトな筐体だが、それ故に手前側が切り立っていて、IBM鍵盤のようになだらかなフォルムに慣れた筆者が使うと、手首が折れて少々扱いにくい。 これは『渡りに舟』....と思ったのだが、このナマコ君はこのキーボードには高すぎたようだ。手首が屈曲方向に曲がって、これの方がちと辛い。ソッコーで棚のオブジェと化してしまった。 さて、肝心のタイプフィールだが、これが何とも筆者的には微妙である。 他のCherryスイッチと違い、キーハンマーが二重構造になっていて量産しにくいため、このスイッチを使用するキーボードは稀少だという。 確かに稀少なのは分かるのだが、それが他に比べて良好なタッチであることを保証する訳ではない。 バックリングスプリングの「カシュンカシュン」という切れ味の良いクリック音とはまた違う「チェキチェキ」といった感じの可愛らしい音がする。モノの解説を見ると「黒軸や茶軸よりクリックがハッキリとして、軽い感じ」とある。前半は確かにそうだが、後半はどうだろうかと思う。 この後に買った茶軸に比べると、コンタクト後のタッチが少し重い感じがする。 その点はそれでまた、叩く感じのタイプに向いていると考えることもできる。 筆者が何より「もう少し....」と感じるのは、Majestouchの日本語108シリーズに共通なのだろうが、スペースバーを大きくするために、筆者が多用するCtrl/alt/無変換キーと、何よりBackSpaceキーが小さいという点だ。 ただ平に文章を叩いているぶんには、入力→変換の繰り返しなので、このキーボードは使いやすいのだろう。 だが、筆者は全角/半角・かな/カナを頻繁に切り換え、ショートカットも多用する。 そういう使用方法には、このキーデザインは少々難あり....という気がする。 タッチ自体は嫌いでない....というか、かなり好きな部類に入るので(周囲の目を気にしなければだが)、ゐぃん/Contextキーを持つ108キーボードという点も含めて「惜しい!」というのが筆者の感想である。 106配列出してくれませんかねぇ......。>ダイヤテックさん (2009/01/08記) |