DELL L-100


製造元 言迷のMade in China(DELL OEM)
諸元
キー配列 日本語/Microsoft109準拠
メカニズム メンブレン/ゴム椀
備考 I/F:USB, 排水機構付
Junk Point ぎゅうぎゅう2号
Personal Computerがメーカーの割拠からIBM, Microsoftといった巨人による統一へと向かうその直前後(日本人の筆者にとっては1991年のOADG結成、あるいは遡って1982年のPC-9801発表あたりから)、華やかに発表される本体の陰で、標準化され一見没個性的な(中にはヘンなのもいたが)多くのキーボードたちも共に世に送り出されてきた。 彼らは多くのカタログ写真の中で「本体の上に積まれたディスプレイ、その手前にキーボード」というお決まりの構図に収まっていて、パソコンを表現する記号の一つと化していた。
あれから20余年の時が流れ、「最新・最高性能」を謳ったPCたちは歴史の彼方とおぢゃんか〜達の元へと旅立ち、人々の記憶から消え去ろうとしている。

そして.....今なお生き残るのは、没個性の塊と思われていた当時のキーボードたちのみといったら言いすぎだろううか。
彼らは単純ゆえの堅牢さを持ち、コーヒーやカップ麺の荒波・ヤニの暴風といった試練を乗り越えて今日に至るのだ。
にもかかわらず、そのマンマシンインターフェイス性能は、ともすればコストダウンの矢面に立たされてみる影もなくやせ衰えた後輩たちを凌駕するほどである。

・・・・で、その「やせ衰えた後輩」の代表格といってもいいのではないだろうか、このしとは。

ネットで「母さんにぱそこんを買おうと思うのだが、でるでいいかな」という書き込みを見た。PCをある程度触ったことのある人にとって、言い得て妙、ではないだろうか。「初心者にはデルで十分」・・・つまり使わなくともそれほど損でない.....ということか。
カタログスペックが高性能機と遜色ないのに、値段が異常に安いのは、やはりどこかにカラクリなり手抜きなりがあると見るのが妥当だろう。
デルの場合、そのひとつが現れているのが、この「純正」キーボードだと筆者には思われる。

持った感じが、Lenovo SK-8835並の軽さとペラペラ感である。もちろん据え置き用途だから、もう少し厚いのだが、プラスチックの安物感全開ゆえにそれが全然感じられない。
ボトムキーが流行りのラウンド型になっている。手のひらになじむ感じだが、掌底でこれらのキーをひっかけて打つ癖のある筆者のような人には、少々慣れが必要だ。

多分事業所への大量納入を前提に考えられているのかもしれないが、浸水防止用の排水溝が数カ所設けてある。
こういうところは意外にきめが細かいのだが、肝心のタッチは語るべきものを持っていない。

クリック感はほとんどなく、リニアな押し下げ感なのだが、コンタクトするポイントから「ぐにゅうう〜〜」という感じで反発が増し、底付きするメリハリがあまり感じられない。
つまり、どこまで押し下げればコンタクトするかが感覚的にわかりづらく、結果ついつい無用な力を込めてしまう。筆者はここの文書の前半を打ってみたが、かなり前腕に疲労を感じた。

筆者の職場ではこのキーボードが標準なのだが、筆者はさっさととっぱらって5576-C01とHHKB Lite2を使っているが、毎日これを使用している受付の女性が気の毒に思えてきた。

所詮は慣れなのかもしれないが、初めてPCに触れる人が、こうした入力機器に当たってしまうのはあまり幸運といえないのではないだろうか。
筆者の持論「初心者には最高級機を」がここでもあてはまるのだ。

これから10年先、今日販売されているPCで、いったいどの部分が「分解さん」....いやいや誤変換「文化遺産」として残るであろうか、と考えたとき、今の使い捨てPC文化を真剣に見直す必要があるのではないだろうか.....いささか大げさながらそう思った。

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