"満を持して登場" ....といって良いのだろうか。
Lenovo USでは先行発売されていたが、数ヶ月のタイムラグでようやく日本でも発売が開始された。
筆者もそうだが、「待ちかねた」「遅すぎる」というTrackPointユーザーの声はかなりあったように思われる。
だが考えてみると、ここまでLenovo(IBM)がWirelessのTrackPointキーボードを出さなかったのは、「出す必要がなかった」ためではないだろうか。ThinkPadはノートとして完結しているし、デスクトップでTrackPointを使いたいというユーザーはUSB接続モデルだけで何とか採算が取れる程度の需要しかない....と考えていたのかも知れない。
だがここに来てキーボードレスのタブレット端末が急速に市場を席巻し「通常使用はタブレットのみで、大量入力の時だけキーボードを使用」というスタイルが定着しつつあるのだろう。そうしたニーズを鑑みて、今回の発売となったのではないだろうか。
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新型TrackPoint 薄さのためには仕方がないか...でもデスクトップで標準ドライバでもしゅたたです |
だが期待の一方で、不安を抱いていたTrackPointユーザーも多かったのではないだろうか。
何せ低コスト化+薄型軽量化の流れの中で、かつての重厚なThinkPadのキータッチを望むのは非常に困難になってきている。
筆者もSK-8835では非常にガッカリさせられた苦い経験がある。
そのうえ市場に出回る一般的なBluetoothキーボードと比べて、余りにも価格設定が高いと思う。これであのペラペラなプラ板がやって来たら....勢い余ってポチってしまった筆者は、余りにも少ない情報を漁りつつ、「これはやっちまったのでは...」という不安を抱きながら、大陸からの航空便を待っていたのである。
...そして今日(2013/07/05)、それはやって来た。
オーダーメイド紳士服のケースのような巨大な段ボールの中に、ポツンと小さな梱包がひとつ。
こんな包装で、海外からの便で大丈夫だったのだろうか。
とりあえずとり出してみる。USB充電なのだが、すでに充電済みでボンディングすれば直ぐ使える。
まずは筆者のデスクトップで使用してみた。
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メディアキーとファンクションはコンビ Fn+Escでデフォルトを切り替え可能 |
特に専用のドライバは同梱されていなかったのだが、TrackPointの動作は標準のマウスドライバで軽快に動く。
ただ、もちろん...というべきか、6列の最上段に配置されているメディアキーは動作しない。
というかこのメディアキー、Fnとのコンビネーションでファンクションキーになる標準設定になっている。これは非常に残念だ。
これもタブレット端末での使用を前提とした設定なのかも知れないが、仕事使いのPCユーザーにはかなり鬱陶しい。
ひょっとしたらLenovoのサイトのドライバを入れればその辺の設定を変更できるのではないかと思ったが、ダメだった。
これは従来のPCに慣れ親しんだ...というか、おそらくこのキーボードの購入を検討しているユーザー層にとってはかなりの減点ポイントになる気がするので、是非とも改善(キーアサインを変更できるドライバの提供など)をお願いしたい。
↑上記訂正!!「Fn+Esc」でデフォルトを「メディア/ファンクション」切り替え可能です。Good!!
(ただし前出のドライバが必要な模様。同様にメデイアキーも対応する機能がPCにあれば動作する)
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手前の脚の分はやはり撓む でもSK-8835からは格段に剛性が上がっているので○ |
で、一方で打鍵感はというと、これは悪くない。というか、かなり良い感触だ。
筆者は余りアイソレーションキーになじんでいないのだが、ストロークもクリック感もちょうど良い加減に設定されている。最近は店頭で実機に触れる機会が殆ど無くなってしまったが、これがイマドキのThinkPadのキーボードなのだろうか。
さすがにプラスチック筐体故にチルトを立てた状態で中央を押すと撓んでしまうのは仕方ないにしても、剛性感もかなり上がっている。
筆者が現在使用しているT410sは一時「史上最高のキーボード」と喧伝されていたが、実際に叩くとペラペラ感満点の安っぽい感触に思えた。それと比べると、かつてのThink560/600/770あたりは望むべくもないにしても、別路線からの快適なタイプフィールを追求している感じがして、いっときの低迷を脱した感があるといってもよい。
以前にここで紹介したSonyのPlaystation Bluetooth keyboardとは、キーボードの素性は比較するまでもなくこちらが優れていると思う。
そこかしこのThinkPad関連のサイトで目にする6段化については、筆者への影響はそれほどでもない。
「PrtSc」が右下段に下りてきているのは若干邪魔かも知れないが、Winshot使いの筆者には意外に便利である。「PgUp/Down」がカーソルキーの近くに来ているのはうっかり叩いて「これページの何処?」ということが頻出するので、ここはマイナスポイントだが、その他の基本的な配列が大きくいじられていないので使い勝手は悪くないように思う。
なにせ、かつての「似非フルピッチ」を経験してきた世代にとっては、真のフルピッチというのは非常に有り難いのである。
というわけで、結論としては「買い」だろう。
ただし、「1.30諭吉」という常識外の価格がこなれてくれば....という条件付きだ。全くの所、一部のファン...というかマニアの囲い込みを狙ったマーケティングとしか思えない。「○マト」の劇場限定BDのように。
多くの方にTrackPointのアドバンテージを布教....いや普及するためにも、Fnキーと価格は何とかして頂きたいところである。
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(2013/07/05記)
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