J-Phone J-P51
製造元 Panasonic
諸元 世界初のムービーメール機能(だっけ?)
Junk Point 善意の塊
備考 世に「マツダ地獄」という言葉がある。ひょっとしたら今は「ミツビシ地獄」の方がキツいのかも知れないが、歴史的にはこちらの方がずっと古い言葉であり、かつ自動車産業の構造を語る上で言い得て妙な表現であるはずだ。

言うまでもなくマツダは、ペリトロコイドがうにうに回る珍妙なエンジンを気合と根性でモノにして以来、「メインストリームに駆け上がりたいけど、そのニッチ根性と技術ヲタクが足を引っ張るとんがった自動車メーカー」であり続けている。

一方、短期決戦のレーシングカーはともかく、一般公道を走る車に求められるのは、動力性能とともに耐久性という面が重要である。

かつてディーゼル車もかくやと思わせるような猛煙を噴きながら走るのが当たり前だったマツダは、後者の点において他メーカーに至極劣る....という、もはや宗教にも似た根強い迷信がある。

結果として、マツダ車は中古下取市場で不当に安く買い叩かれ(除RX-7/8...というのもオカシな気がするが)、「うっかり」マツダ車を買ってしまったユーザーは他メーカー車に買い換えることも叶わず、永遠にマツダの呪縛にハマってしまう....という構図が出来上がるのである。現に筆者の近郷近在では、ワゴンRかと思えばAZワゴン、アルトかと思えばキャロル、キャリィかと思えばスクラム....という、『血の池地獄健康ランド』状態が日々展開されているのである。
かく言う筆者は9年前からAZワゴンに乗っていて、先日ついに10万キロを突破した。筆者のマツダ車歴は1台目だから、幸い蜘蛛の糸はまだつながっている....ように見える(た〜ぼを壊して下取り査定の4倍の資金を投入し交換したことには、この際目をつむっておこう)。

さて、筆者がかつて関東で在宅療養の仕事に携わっていた頃、同僚の女性が「同じキャリアならショートメールだったらタダだし」という提案をしたために、このJ-P51を購入することになった(会社で買ってくれた訳ではない)。

この時点では筆者は当時のJ-Phoneに対して割と好意的だったこともある。「同じPDCの中では比較的低い圧縮レートで音がいい」「写メールを送れる」などなど....そうした他社機に対するアドバンテージ幻想は、購入直前までだった。

今時街中の地上で圏外表示にお目にかかるとは思っていなかったし、一時セールスポイントだった音の良さって何?....というような日々が続き、写した画像もどういうわけか添付することもカメラ屋でプリントアウトすることも、そしてJ-Phoneショップで吸い出すことも出来ない、おまけにJ-Phoneサイトからダウンロードした吸出しツールですら画像が吸い出せない....つまりはどうしようもない、と分かった時にはもう遅かった。

そして社内を見渡すと....当の購入を進言した彼女はそそくさと退職し、J-Phoneを使っているのは筆者一人....という有様に陥った。

解約しようにも、患者さんに教えた番号はこれひとつ。
それもおぢいちゃんおばあちゃんが多いので、新しい番号を教えてもまずしばらくは間違えてかけてくるに違いない。
しかもデータが吸い出せないから、一からしこしこ番号を打ち込まなくてはいけない。加えてVodafoneは当時「買ったショップでしか解約できない」という、まことしやかな噂が流れていた。仕事ではあまり行かないR16沿線のショップで購入した筆者は、蜘蛛の糸を登ろうとして血の池に入水するか、このまま針の山を彷徨うかの二者択一の日々を送りつづけることになる。

そうこうするうちに筆者にもUターンの日が訪れ、ようやく昨年12月初頭、「Vodafone地獄」から解放されるべくショップに向かった筆者。幸い先に述べた噂はガセだと分かり、「都内まで行かなければならないかも....」と戦々恐々としていた筆者は胸をなでおろした。その時。

「お客様は2月までの年間割引に加入されてますね」
....笑顔が素敵な女性店員が、懇切丁寧に1月末までの契約続行を薦めてくれた。筆者が従ったのは言うまでもない。だが....以後約2ヶ月間、この端末に火が入ることは無かった。結局はパック料金二か月分1万数千円也をムダにしたのである。

余談ではあるが、昨年DoCoMo重役からVodafoneトップへ移籍した方が「あと少し私が来るのが遅かったら、Vodafoneは大変な事になるところだった」と就任挨拶で語った。筆者がこの端末を購入したのは正にそんな「大変な事になりそう」な頃だったのである。

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