テレカプラー2
製造元 Connectix
諸元 2.4/9.6/14.4/28.8k全二重/半二重通信
パルス/トーン切替
Junk Point 職場の消滅
備考 以前筆者が勤務していた、今は廃墟と化している薬局は、同じ経営者のこれも瓦礫の山となっているクリニックの隣にあり、両者はビジネスホンで結ばれていた。
「ビジネスホン」「ホームテレホン」....これらPBXと呼ばれる交換機システムは、普通にモデムからダイヤルしても全く応答しない、下手にデジタルPBXに繋ごうものなら数Aの直撃電流がモデムを焼く....という、かつてダイヤルアップ接続が当たり前だった時代の、ネットワーキング不良社員の天敵であった。

当時携帯も持たなかった筆者は、「げし」もせず、1日3人しか来ない患者を待って日が暮れるのを待つ怠惰な日々に終止符を打つべく、投資を決意した。
裕福な知人は当時数万円した「InLineCoupler(PBX回線にアナログモデムを直結接続する装置)」で回線をジャックしていたが、筆者にはそこまでの余裕がない。よし、モデムでダイヤル不能なら直接電話をかけよう....

....そうして行き着いたのが究極のデータ通信手段「音響カプラ」である。

これさえあれば、とりあえず電話があるところなら地球上のどこからでもモジュラージャック形状の違いなどを気にすることなく、モデムでダイヤルアップが可能である。理論的には。

だが今日ほどダイヤルアップIP接続の帯域が広くなかったとはいえ、300bps〜600bpsといった、当時でも想像がつかないような低速で、かつtelnetのテキストオンリーな通信が当り前だった時代の遺物ともいえるデバイスが果たして使い物になるのか?....出たとこ勝負を繰り返しては自爆してばかりの筆者も、さすがにこの時はそうした疑念を抱かざるを得なかった。

しかし筆者の不安はいい方向に裏切られた。

疑念の元となった「カプラで可能なのは9600bpsまで」とという記事を読んだのはいつの日だったか。このカプラーの最高通信速度は「1」で14.4kbps、この「2」と、そして現行機種(まだ売ってるんです^^;)の「2+」では28.8kbpsに達している。技術革新の努力....というか、ヲタクの底力というのは恐ろしいものである。

ただしいくら閑な薬局とはいえ、相模線が至近を通過する掘立て小屋ともなるとなにがしかの物音や振動はあるもので、28.8kbpsともなると受話器にガッチリとセットし、バスタオルを巻いて遮音し、その上でデスクの引き出しに放り込んでやっと数回に1回ネゴシエーションに成功するか....というくらいのものであった。

しかしながら父島渡航の折り、衛星回線で信号が遅延する島の電話では、電話のモジュラージャックへモデムを直結するよりも、14.4kbps設定でカプラ接続した方が安定してDATA/FAXとも通信できたのはちょっとしたオドロキであった。

一昨年研修で渡英することになった筆者は、愛機ThinkPad535と、British Telecom用のモジュラージャック、そして念のためこのTelecouplerを携行することにした。
宿泊先がいくら北海沿岸の田舎町といっても、これさえあれば無問題だ....

....大有りでした....

....電話が有りませんでした……_| ̄|○……

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