焼きペヤングメーカーKS-354-PC(KDEG-001W)
製造元
発売元
ライソン株式会社
諸元 【本体・計量キット】
PP【本体プレート】アルミニウム(表面:ダブルフッ素樹脂加工)
【外寸】約W305xD210xH75mm
【プレート内側】約W240xD160xH25mm
温度ヒューズ240℃/定格消費電力750W/AC100V/50-60Hz
Junk Point Rev.2?
GIGAMAX未対応


すみっこ暮らし
(左)対応は超大盛(2玉)まで/(右)取説は正直いらんかも..と思ったが

昨年(2019年)の暮れも押し迫った一日、筆者はいつもの如く大須に赴いた。
定点観測を済ませた後、いつもと違う路地に漂い込んだ筆者は、老舗SMクラブのお隣りにある油そば屋に入り、筆者が知る限り極めて油そばの源流に近い一品を久々に堪能した。

それは以前、元会社同僚の会社設立に参加し、右も左もわからず店舗開設までの役員会に出席した後、神奈川の自宅への深夜の帰途、必ずと言っていいほど寄っていた、荻窪にあった「元祖油そば屋(名前は失念したが)」の味によく似ていたのである。
イマドキのアレンジ油そばと違い、メン+タレ+脂+ネギ+チャーシュー。以上である。これにラー油カスの辛くない七味+酢をぶっかけ、混ぜて食べる。マヨネーズも、肉味噌も全くない。潔い。

....で、今この文章を書きながらその味を思い出したのは「もしかして、これって『焼きそば』なのではなかろうか」...と思ったからである。
もちろん、あの「豚肉を炒めて野菜を加え、更に炒めたところにメンを入れ、ソースをかけて焼く」アレではない。
1963年、世界の食に革命をもたらした安藤百福により開発された「日清焼そば」に連なる「ソースがけゆで麺」だ。

(左)本体と「いらんかも」取説/(右)手動火力調節はOn/Offのみ

思えば、我々日本人は半世紀以上の長きにわたって、「焼いていない」モノを「焼きそば」と呼び、「タレ(ソース)にメンを和えた」食感と味に馴されてきたのである。
その間、ローストしたメンを使用するなどの工夫をしたモノはあったが、「高温加熱調理をしない」という、大きな潮流は変わらなかった。

そろそろ、「本当の焼き」に目覚める時期ではないか。
〇〇焼きそば焼こう♪」などという昭和のフェイクCMは、もう駆逐されて然るべきだ。
(↑注意!:衝撃楽曲が流れます

本機「焼きペヤングメーカー」は、そうした「焼きそばの第二次革命」を予感させるものであっただろう。
一見、UFOとともに「カップ(焼いてない)焼きそば」の双璧をなす製品の人気に便乗したイロモノグッズと思わせているが、公式サイトを見ると、開発者の本気度が見える....気がする。

たとえば、「温度調節のない単能ホットプレート」にみえる点だ。
本体を見回すと、操作部は電源スイッチだけ。手動での加熱調整はできない仕組みになっている。

水の量を量る計量キット。実は本体よりキラーデバイス?
...でも計量カップがあれば不要かもww

しかしサイト解説によると「たくさんのペヤングをテストし、水分の蒸発率、ソースの焦げ方を研究し、(サーモスタットで自動的に?)最適な温度を設定」したとのことだ。
具体的には、通常のホットプレートよりも高めの温度を維持する仕組みだ。グラフを見ると、最低温度を150℃に保つように設定されているようだ。

製品サイトにもあるように、ペヤングソース焼きそばは「油揚げめん」タイプである。湯戻しして150〜170℃で加熱すると、ちょうど炒め物〜揚げ物ぐらいの調理となり、香ばしい「焼きペヤング」を調理できる設定となっている....と思われるのだ。


梱包の中に、右画像のような一見地味なデバイスが含まれている。
麺を茹でる水量を測る「計量キット」だ。

しかしこれがないと、適正な量の水を注入できなくなる。
ご覧のように、本当に一見しただけでは必要なのかどうかよくわからないデバイスのため、何かの拍子に紛失...と言う可能性は十分に考えられる。
そうなるとこのメーカーは、まるでレシーバーを紛失した2.4GHzRFキーボードのように無用の長物と化してしまう...のではないか。
このようなものにせずとも、鉄板の側面にちょこっと目盛を刻めば済む話だったようにも思うのだが、そこは「Wフッ素樹脂コーティング」という自慢の装備に印字するというのが、コスト増を招く要素として却下されたのかも知れない。クラウドファンディングで500諭吉も集めたくせに、ケチくさいことだ。
(左上)フタがないので転がしながら茹でるめんどっちさ
→(左下)でもそこそこ均一に茹だる(右下)→敢えて添付ソースを使わない筆者

サイト解説に、以下のくだりがある。
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全工程は約10分以内に完了します。
通常のペヤングも お湯を沸騰させるところから全体で10分程かかるので、ほぼ同じ時間で完成することになります。

違うのは待つのではなく、完成までペヤングと向き合わなければいけないことです。

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で、向き合ってみる(テーブルのあちら側のパートナーさんとも)。

上述の如く火加減が出来ないので、みるみる蒸発していく茹で水の水位をにらみつつ、水没している下半分がほぐれるタイミングを計りながらひっくり返す必要がある。
筆者は大盛りなので1玉で済んでいるが、超大盛りだとこれを2玉同時にやらなければいけない。

筆者は自前の野菜を用意し、ソースも今(2019年末〜2020年始にかけて)閉店ラッシュで話題のステーキ屋さん監修のモノを使ったが、ペヤング標準装備のソレを使用する場合は、また様子が違ってくる。

いずれにしても、火力調節が手動で出来ないので、調理の最適解を模索しつつ、同じタイミングで作業が出来るように何度も繰り返し使用することが重要なポイントなのではないだろうか。

....て自分、関東人ではないので、そこまでペヤンガーではないんですけど。

筆者が本機を購入したのはヤマダ電器NGH店。

通路に山積みになっており、確か「特価¥2.48野口」とのことだった。で、全然売れている様子がなかった。

せめて火力調節ダイヤルの一つでもついていれば、「お一人様」or「俺と嫁」向けの小規模ロースターとして重宝したとも思われるが、そうした用途を排除してただひたすらに「焼きペヤングメーカー」たらんとしたのだろう。

その無駄な心意気やよし...というところで。



信頼のダブルフッ素樹脂コート
(んな大層なモンではないような気が)
でも丸洗いできないので、拭き取りでOKなのは重要なポイントか


誰も「焼こう」などと歌っていない(筆者の半世紀に亘る思い込みでした)



(2019/08/15購入、2019/09/29稼働開始、2019/11/10記、2020/01/08脱稿)

Junk Junky